2003年3月15日(土)「しんぶん赤旗」
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遠山敦子文部科学相は十四日の衆院文部科学委員会で、国立大学の受験資格を欧米系の外国人学校だけに認めようとしていることについて、「まだ決定したわけではない。パブリックコメント(意見公募)を求めているところであり、(アジア系学校も)十分考えていきたい」とのべました。日本共産党の石井郁子議員の質問に答えたもの。
文部科学省は六日、高卒者や大検合格者に限定してきた大学受験資格について、米英の学校評価機関が認定した外国人学校の卒業生にも認めることを決めました。しかし、朝鮮人学校などアジア系学校にたいする評価機関がないため除外され、大検に合格しないと受験できないままです。石井氏は、入学資格は長年にわたる要望であるとともに、日弁連人権委員会が入学資格を認めるよう勧告を出すなど国際的にも問われる問題になっていることを指摘。差別的扱いは許されないとのべ、受験資格を認めるよう求めました。
日本共産党の石井郁子議員は14日の衆院文部科学委員会で、教職員給与の国庫負担を削減する「義務教育費国庫負担削減法案」にかんして「義務教育費の根幹、教職員の給与費を守る」という遠山敦子文科相の言明をとりあげ、給与とは退職手当など各種手当を含むものであり、国庫負担からの削減は認められないとのべました。
遠山氏は「給与には広義と狭義の給与があり、狭義の給与に退職手当は含まない」と答弁。これにたいして石井氏は、市町村率学校教職員給与負担法で給与費に退職手当が明示されていることも示して、「いつそんな解釈を決めたのか」と追及しました。
遠山氏は「学問上の分け方」としか弁明できず、石井氏は「説明を勝手に変えている。根幹を守るといいながら給与費の削減をすすめている」と批判しました。
さらに石井氏は、片山虎之助総務相が今回の国庫負担削減を国と地方における税源配分のあり方を見直すまでの「つなぎ」だとのべていることにふれ、「国庫負担の地方への全面以上に向けた"つなぎ"だ。根幹を守るといいながら退職手当などに手を付けたら総崩れになる」とのべました。
遠山氏は「教育の土俵の上で考えていく」「新たな条件下で議論されるべきだ」と答弁。石井氏は、「遠山文科相の進める教育改革は教育からの財政的撤退であり、教育の土台を破壊するもの」と批判しました。
平成十五年三月十四日(金曜日)
午前十時開議
出席委員
委員長 古屋 圭司君
理事 奥山 茂彦君 理事 鈴木 恒夫君
理事 馳 浩君 理事 森田 健作君
理事 鎌田さゆり君 理事 山元 勉君
理事 斉藤 鉄夫君 理事 佐藤 公治君
青山 丘君 伊藤信太郎君
小渕 優子君 大野 松茂君
岡下 信子君 岸田 文雄君
近藤 基彦君 佐藤 静雄君
谷田 武彦君 中谷 元君
林田 彪君 松島みどり君
松野 博一君 森岡 正宏君
柳澤 伯夫君 大石 尚子君
五十嵐文彦君 鳩山由紀夫君
肥田美代子君 平野 博文君
藤村 修君 松原 仁君
山口 壯君 白保 台一君
西 博義君 東 順治君
黄川田 徹君 石井 郁子君
児玉 健次君 中西 績介君
山内 惠子君 松浪健四郎君
…………………………………
文部科学大臣 遠山 敦子君
文部科学副大臣 河村 建夫君
文部科学大臣政務官 大野 松茂君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育
局長) 矢野 重典君
参考人
(東京都教育委員会教育長
) 横山 洋吉君
参考人
(千葉大学教育学部教授) 天笠 茂君
文部科学委員会専門員 柴田 寛治君
――――◇―――――
○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
参考人としてきょうはおいでいただきまして、心からお礼申し上げます。
先ほど意見陳述を伺いまして、お二人共通されて義務教育の重要性、またその水準の維持向上のためにも義務教育費の国庫負担制度というのは堅持されるべきであるということを強調されたというふうに私は受けとめまして、聞かせていただきました。
それで、まず天笠参考人に伺いたいと思うんですけれども、文科省に公立学校教員の給与制度等に関する検討会議が置かれておりますけれども、その委員もしていらっしゃると思うんですが、そういう立場からもきょうはおいでいただいたのかなというふうに私は理解しております。
そこで、この検討会議ではどういう議論がなされてきたんでしょうか。また、義務教育費の国庫負担制度の削減についてここでも議論があったのかどうか、またその論点は何だったのか、お聞かせいただければというふうに思います。
○天笠参考人 私、今お話のありましたメンバーの一員ということにさせていただいているわけなんですけれども、この間の私なりの印象としては、論点がはっきりするまでに至らないというんでしょうか、状況を追っていくところで精いっぱいだったというんでしょうか、比較的短い間に次々と、ある意味では私の視野の外と言ってもいいかと思うんですけれども、そういうところから問題が提起されて、その状況がどういうことであって、それについてどんな意義があるかとか課題があるかとかというふうな形の情報を主としていただく。もちろん、それについては少しそれについての印象とかコメントを加えるわけですけれども、論点としてそれを詰めていくような議論の展開がそこまであって、この状況に対してどういうふうなことで詰めていくのかどうなのかというところまではなかなか詰め切れなかったというのが私の印象であります。
○石井(郁)委員 せっかくそこまでお話しいただきましたので、もう少し伺いたいのでございますけれども、今、義務教育費国庫負担制度の問題ですから、特に給与費の問題について、これをどういうふうに考えていくのかとか、どういう問題性があるのかとか、そういうようなことについての議論というのはあったんでしょうか。
○天笠参考人 私の認識ですと、給与費はどうあったらいいかというふうな議論ということよりも、むしろ、国庫負担制度についてこういう見直しの議論があってと、それは資料等々にもまとめられているところかと思うんですけれども、そういう形での情報の提供というんでしょうか、資料の提供があったというふうに思っておりまして、ですから、給与費云々についての詰めた議論がそこで行われたというふうには私は認識しておりません。
○石井(郁)委員 引き続きまして、これは天笠参考人にお伺いしたいと思うんです。
この点は共通している点でもあるんですけれども、今回の法改正で国庫負担制度の根幹が維持されたというのは、当委員会でもいろいろあることですけれども、先ほども、根幹が維持されているということでございました。
しかし、削減対象は、共済費長期給付に要する経費、公務災害補償基金負担金等の経費でございまして、今後も退職手当や児童手当も削減対象だと。当初、文部省から五千億円という巨大な額が示されたわけですけれども、義務教育の真の根幹ではないから削減する、根幹は守ったと。では、一体その義務教育の根幹というのは、国庫負担制度の根幹というのはどういう範囲だというふうにお考えでしょうか。
○天笠参考人 私は、直接的には、少なくとも先生方の給与の二分の一負担というんでしょうか、というふうに思っております。ただ、諸手当等々というのも当然そこにはかかわってくるかと思うんですけれども、そういうふうにまずは受けとめているというところであります。
○石井(郁)委員 横山参考人にも、この点ではお話しいただければと思いますが、義務教育の国庫負担の根幹という問題、根幹というのは何ですかということをお聞かせください。
○横山参考人 先ほども申し上げましたが、個々の自治体における予算編成過程の中で、一般財源措置というのは、非常に裁量権の強い、ある意味ではゼロから百まである世界でございます。そういう財源で義務教育の所要経費が担保された場合には非常に不安定なものになってしまう。したがって、私自身が財政論的に言う根幹というのは、義務教育が、ある程度地方自治体における拘束性の強い財源で措置をされることだと考えております。
○石井(郁)委員 では、引き続きまして、横山参考人に伺いたいと思います。
今回、各自治体からは相当の要望書や意見書がこの問題については出されまして、私どもにいただいた文部省の資料では、要望書を出されている自治体は二十八、意見書が十三でございますから、ほとんどがこの問題で意見が寄せられたということなんですけれども、特に東京都の場合、東京都の意見書を見せていただきますと、都は交付税不交付団体ということで他の道府県と違うと。定員定額方式で国庫負担金が算出されるために、他の道府県における定員実額方式で算出した場合に比べ国庫負担金が抑制されている、特に退職手当については現状でも四割抑制され、今後退職者の増大に伴い抑制額も大きくなる、都財政に負担をかけるということが述べられていたかと思います。
この点、先ほど、不交付団体にも特例が認められてということをちょっと何か触れられたように思うんですけれども、そのことをもう少し詳しくお話しいただければということが一点でございます。
あわせて、もっと広く、この意見書の中でこのように主張されていらっしゃるわけです。「国庫負担金は、国と地方との役割に基づき、地方公共団体の財政状況いかんにかかわらず、国が支出すべきものである。したがって、この義務教育費国庫負担金の減額措置を通じて財源調整を行なうことは、国庫負担金の趣旨に反するとともに、国と地方との間の財政秩序の確立という観点からも適当でない」というふうにございます。
私もそのとおりだというふうに思っていまして、今回、退職手当も国庫負担金の対象から外すというのは全く論外だというふうに考えておりますので、東京における教育財政の立場もあるでしょうし、先ほど来議論の、根幹を維持するという立場からの国の財政負担のあり方という問題、この点での御意見をお聞かせいただければというふうに思います。
○横山参考人 私どもも毎年度、国に対しまして予算編成期に要望活動を行っておりますが、その際、義務教育にかかわるものとしては二点ございます。第一点目が、従来のような国庫負担金の一般財源化に対する反対の要望活動でございます。もう一点は、現状の国庫負担金制度の中で、他県に比して、交付税不交付団体であるがゆえに削減をされている経費がございます。
具体的に申し上げますと、交付税不交付団体を理由とする財源調整は、特に退職手当は百八億でございますが、義務教育費国庫負担金で合わせて約百二十二億、これは通常の国庫負担金の財源調整額でございます。
今回の共済費あるいは公務災害補償基金の一般財源化に伴いまして国庫負担金が減になる金額は、これは東京都ですが、百四十三億でございまして、現在総務省が考えておられます地方特例交付金、これの算定方式によりますと、人口按分比ということでございますので約百億程度、不交付団体ですから。合わせますと、四十億が東京都の持ち出しになる、単独負担になる、こういう計算でございます。
○石井(郁)委員 後段の部分で、今後、退職手当なども国庫負担から外すということがございますので、そのこともちょっと御意見を伺いたいなと思います。
○横山参考人 先ほど来申し上げていますように、私どもは、国庫負担金制度の持つ義務教育の保障機能の根幹が、やはり教員に直接支払われる給与あるいは退職手当であろうと考えております。
だから、退職手当を全額一般財源化することについては、これは相当、四十七都道府県挙げて大変な強い反対の意向表明がある、反対を表明するだろうと思っています。
○石井(郁)委員 今、自治体というか地方では、教育について取り組みが進んでいる面が随分あると思うんです。その一つが三十人学級の単独実施ということになっていると思うんですね。もうかなりの自治体で、当初は小学校一年とか中学校一年からということですけれども、順次進めていくという方向でなっているわけです。
私ども、国会で三十人学級法案というのを野党で提出したこともありまして、与党の否決に遭っているわけですけれども、同時にそのときに、地方でもできる道が開かれたということがあったかと思うんですが、しかし、何しろ地方単独での措置ですから、いろいろ教員の給与その他で大変な御苦労を地方がされているという状況だと思うんですね。
だから、私どもは、そういう点で、今、教育改革ということを言われていますけれども、本当に地域あるいは親そして教師や子供たちを含めて願っている、真っ先に教育の諸条件の整備ということで言うと、そういう三十人学級は、少なくとも、世界からおくれている状況ですから、まずそこからやりたいというのは、私は、本当に大きな流れになってきているなというふうに思っているんですね。
だから、そういうことからしますと、本来、国というのは、そういう流れを促進させるというか支援をするという立場に立つべきだと思いますけれども、まさに今回議論にあるように、国の方は予算を減らす方向ですから、本当に地方自治体に対して冷や水を浴びせかけるようなことになっているわけですね。
だから、そういう点では、もっともっと国としてそういう本来の教育予算をふやすという、そう言えば当然だれでも賛成できるという話ではあるかもしれませんけれども、今進んでいる地方自治体の三十人学級の実施とかそういうことについての御見解、そして、それに対してもっと国に対する要望等々がございましたら、お二人にそれぞれお聞かせいただければというふうに思います。
○横山参考人 東京都を例にとりますと、今東京都が進めております義務教育における教育改革の方向は、少なくとも住民とこれまで閉ざされた学校の関係をどうやって開いていくのか、私どもが強力に進めておりますのは、学校評議員制度も含めて、開かれた学校づくりが最大の眼目で現在進めております。
それから、今先生がおっしゃった三十人学級については、確かに全国的に見れば少なからずそういう趨勢があることは承知はしておりますが、東京都は三十人学級を実施する方向はございません。
それは理由がございます。単にそれは財政論だけではなくて、やはり学校というのは、教科活動としての学習集団、あるいは生活集団といいますか、ある程度の人数の中で、集団の中で教育効果を得ていく、そういう生活集団としての学習効果があるだろう。その生活集団としての学習集団を考えた場合は、私どもは必ずしも三十人が適正規模だとは考えておりません。
一方で、教科学習につきまして、基礎、基本を定着させていく、これもまた必要でございます。これにつきましては、少人数学級が必要である。これは、現在文部科学省が進めております義務教育教職員定数改善計画の中で少人数学級の加配が行われておりまして、それを利用させていただいて習熟度別の少人数学級を実証して、基礎、基本の定着を図っている、そういう実態がございます。必ずしも、三十人学級を一律に標準法上設定することは、私どもは賛成いたしかねるという立場でございます。
○天笠参考人 私は、三十人にすれば教育がよくなって、二十人にすれば云々という、そこのところからもう少し発想をやわらかくしていってもいいんじゃないかというふうに思っております。
ですから、適宜、教育の課題とかそのときの先生と子供の関係とか、それによってやや多く子供たちがいたりとか、あるときはもっと少なくしたりとか、こういうことがそれぞれの学校でそれぞれに応じてできるような、こういう学校をつくるということがむしろ私は大切なんじゃないかというふうに思っております。
ですから、そういう点で、学級の数だけが前に出てきて、そこだけで議論しちゃうよりも、むしろ学校としてどういうふうにやわらかく、そして折に応じてできるのかどうか、そういうふうなところを詰めていけたらいいな、こんなふうに思っております。
以上です。
○石井(郁)委員 時間が参りましたけれども、きょうは、たまたま東京都の教育長さんでいらっしゃったり、また今教育理論で一つの御理論を持っていらっしゃる方ですけれども、全国的には、とにかく三十人学級というのはもう相当な数になってきているんですよ。ここにやはり国民の願いがある。また、良質の教育とか教育の水準を上げるということについて言うと、やはりその最低の条件はつくらなきゃいけないというふうに私は考えておりますということを申し上げまして、終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。
午後の一般質疑
○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
初めに、外国人学校出身者の大学受験資格付与問題が緊急を要する問題として浮かび上がっておりますので、一問伺いたいと思います。
インターナショナルスクール修了者に対する大学受験資格の問題ということで、欧米系スクール修了者については、文部省告示の改定で十四年度中に措置するという発表かと思います。先ほどもいろいろ議論もありましたけれども、その中で、一方、在日韓国・朝鮮人など民族学校を含むアジア系スクールについては外されたということで、私もこの報道では大変驚いたわけであります。これは先ほど、今後検討もという御答弁が一応あったかと思いますけれども、もう一度確認をさせていただきたいのです。
この問題では、やはり、当の学校、大学関係者から強い批判の声が上がっているというのはもっともなことだというふうに私は思うんですね。というのは、特に朝鮮学校については、長年の入学資格付与についての要望、運動もあったわけですよね。それから、日弁連が一九九七年には、五年間に及ぶ調査活動に基づいて報告書を出されている。「朝鮮人学校の資格助成問題に関する人権救済申立事件調査報告書」というものがありまして、その次の年には、総理大臣あてあるいは文科省、大臣あてに勧告書なども送られているということで、関係者の皆さんは、やはりこれは早く実現してほしいという声だった。公立や私立の場合には既に受験資格のあるところもあるということで、なぜ国立ができないのかということもあるわけです。
それで、私、文科省にちょっと聞いてみましたら、インターナショナルスクールというのは一体どのぐらいあるのかということで一覧をいただきましたら、各種学校、ずっとありますけれども、大学資格でいいますと、高校を持っている学校ということになりますけれども、三十幾つある。そのうちの過半数は朝鮮人学校なんですよ。朝鮮学校なんです。だから、ある意味で、大部分の学校については外して、そして十六校だけ認めた。これは、いかにもおかしいじゃないかということになるわけですね。
それで、文科省は、十四年度中に措置するという方向でこの民族学校についても至急検討するということを強く御要望申し上げたいと思いますし、きちんとした御答弁をいただきたいというふうに思います。
○遠山国務大臣 昨年三月の閣議決定において指摘されました、インターナショナルスクールにおいて一定水準の教育を受けて卒業した生徒が希望する場合に、日本の大学や高校に入学する機会を拡大するということで、先般、対応の案を公表したところでございます。
対応の案では、国際的な評価機関で認定を受けている外国人学校を卒業した者について入学資格を認めることとしようということでございますが、対応案の検討に際しまして、最初から特別の外国人学校を除いて検討したものではなくて、そういうものを検討する際には、客観的な第三者的な評価機関で認定を受けているところはよしとするというのが、これは従来の我が国の行政のあり方のみならず、国際的にもそういう方法でこういう資格については考えられていると思います。
残念ながら、アジア系の学校といいますか各種学校等につきましての認定機関がないんですね。そういうことで、結果的にアジア系の外国人学校というものが対応案の中では抜け落ちてしまうということになるわけでございますが、この点につきましては、まだ決定ではございませんで、目下パブリックコメントにかけておりますし、いろいろな御意見があるということも承知をいたしております。
そのようなことから、十分考えてやっていきたいというふうに考えております。
○石井(郁)委員 私は、教育の中に差別があってはいけないわけで、特に国際化と言われている折から、またアジアの中の日本ということで非常に注目もされている折から、こういう問題をやはりこのままにしておくわけにいかない。これは、文科省としての姿勢が本当に問われる問題だし、見識が問われる問題でもありますので、必ずきちんと措置していただきたいということを強く申し上げておきたいと思いますし、また、もっといろいろな問題が含まれておりますので、次の機会にはさらなる質問もさせていただこうかなと思っております。
さて、本題でございますけれども、今回の義務教育費国庫負担法の一部改正案は、共済費長期給付と災害補償基金を国庫負担の対象から外すということで、到底認められないものでございます。きょうは、幾つか確認の質問をしたいと思っております。
そこで、まず、何度も言われています義務教育費の根幹を守るということでございますが、大臣もそれを強調されていらっしゃいますが、その根幹は何かということなんですね。十二日の児玉議員の質問に対して、給与費等というふうに御答弁があったかと思います。その給与費等というのは何を指しているのか、もう少し内容を明確にしていただきたいと思います。
○遠山国務大臣 国が責任を負っております義務教育の水準確保のためには、さまざまな制度なり経費が必要だと思っておりますけれども、根幹とは何かということで、特に今お願いいたしております法律との絡みで申せば、教職員に支払われる給与費ということになると思います。
それで、給与費という考え方にはいろいろな考え方がございまして、定義上でいいますと、広義の定義それから狭義の定義ということになってまいるわけでございます。今般お願いいたしておりますのは、狭義の、狭い意味の給与の中には入らないわけでございますし、また広義の、広い意味での給与といいますよりは、給与等といいますか、給与以外の経費で、しかしそれを国庫負担にしてまいった経費でございます。
そのようなことで、これはなかなか、経費の種類をどのように考えるかというのはいろいろな考え方があろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、給与費という場合には、狭義の給与というものを中心に考えているというところでございます。
○石井(郁)委員 何かどうも、もう少し確認しなきゃいけないんですが、それはちょっと後でおいおい出てくることでございますので、端的にお聞きしますけれども、この法案第二条第一項に、「市町村立学校職員給与負担法第一条に掲げる職員の給料その他の給与及び報酬等に要する経費」、第二項には、「都道府県立の中学校、中等教育学校、盲学校及び聾学校に係る教職員の給与及び報酬等に要する経費」、第三項に、「児童手当法の定めるところによる公立の義務教育諸学校に係る市町村立学校職員給与負担法第一条に掲げる職員に対する児童手当の支給に要する経費」というふうにございます。
これらは、給与費等という範疇に入るということでよろしいですか。
○遠山国務大臣 給与費等といいますか、国庫負担対象経費となっている広義の給与と、今、給与以外の経費のうち児童手当についてお話しでございましたけれども、給与費等という中に含まれるわけですね。
○石井(郁)委員 そこで、市町村立学校職員給与負担法に基づくというふうにありますから、そこでの国庫負担の対象となる給与費目はどうなっているかといいますと、ずっとありまして、給料、扶養手当、調整手当、住居手当、初任給調整手当、ちょっと読み上げますけれども、通勤手当、単身赴任手当、特殊勤務手当、特地勤務手当、僻地手当、時間外勤務手当、宿日直手当、管理職員特別勤務手当、管理職手当、期末手当、勤勉手当、義務教育等教員特別手当、寒冷地手当、それで退職手当まで挙がってございますが、これは、今大臣がおっしゃる根幹である給与費、これは給与費ということで確認していいんでしょうか。
○遠山国務大臣 今読み上げてくださいました手当、扶養手当に始まって、さまざまな手当があるわけでございますが、これは、狭義の、給料そのものとそれから諸手当ということで、給与というふうに考えております。
ただ、退職手当につきましては、退職の給与でございまして、これは広い意味の給与に入るというふうに考えております。広義の給与ということでございます。
○石井(郁)委員 何だか、最初に狭義、広義と分けられたところが独特かと思うんですけれども、義務教育費の根幹は守ると。給与費という場合と給与費等という場合とで、この給与費等というときの等は広義のものだというふうにおっしゃっているんでしょうか。
そして、では、給与費というものに入るものは何なのかという問題なんですよ。給与費というのは給料一本だけで、あとは全部、等だ、広義だというふうな大臣の御見解ですか。
○遠山国務大臣 これは手当の細々したものの解釈にまたがるわけでございまして、政府参考人の方が正確にお答えできるのかと思いますけれども、私どもの一応の分類では、給与という考え方の中に、広い意味の給与とございまして、これは在職給与とそれから退職給与というものがあるのではないか。退職給与というのは、手当でいいますと退職手当でございます。それから、在職給与、これは狭義の給与というふうに考えておりますが、それは給料と諸手当でございますね。これは幾つもございます。先ほどお読み上げになったもののほとんどが該当するわけでございますが、そのように考えております。それで、給与以外の経費として、児童手当、それから公務災害補償基金負担金、共済費長期給付というのが入る。
これらをひっくるめまして、現在は国庫負担対象経費になっているわけでございますが、今般改正をお願いいたしますと、給与以外の経費の中の公務災害補償基金負担金とそれから共済費長期給付というものにつきましては、これは一般財源化していくということになるわけでございます。
○石井(郁)委員 どうも、広義、狭義というふうに分けられましたけれども、これは文科省の統一した見解として、いつごろからそういう見解でこの問題に臨んでいらっしゃるんですか。これは何か公式に発表されたものとかあるんですか。
○遠山国務大臣 これは講学上の分け方でございます。いわゆる学問上といいますか、経費についての諸概念を取りまとめたそういうものの成果として私どもは取り扱っております。
○石井(郁)委員 ちょっとややこしい話をして申しわけないんですけれども、私は、やはり根幹というのは給与費。給与費なのか、給与費等まで含めるのかというのが一つあるんですが、給与費等まで入れて根幹という御答弁だと確認していいんですよね、根幹を守るという場合に。一つは、そこの確認と、しかし、その給与費というのは何なんだと。実は、意外と、それぞれの概念で使われては困るわけで、私ども、今の大臣の御答弁というのはやはり違うと思うんですよね。
これは、給与費という場合には、例えば市町村、自治体が条例などで決めたりしてやるわけでしょう、やっているわけです。これを見ますと、給与という中には、費目で退職手当がちゃんと入っているんですよ。そういう理解なんじゃないでしょうか、普通は。だから、何でここで給与から退職手当というものを外すのかというのはどうも腑に落ちないということで、やはりこれは給与の範疇に入っていますよ。インターネットで引いてみましたけれども、みんな、地方自治体、市町村、自治体は、退職手当は給与の中に入っている。
こういう理解はどうなんですか。それが間違っているんですか。私は、やはりちゃんと入れるべきだし、守るべきだというふうに思いますが、いかがですか。
○河村副大臣 給与費ということになりますと、さっき大臣も答弁いたしましたように、この場合の給与費というのは、さっき大臣が説明された、いわゆる狭義といいますか、退職給与を含まない、退職手当を含まない考えで、私はこれが給与費であるというふうに考えます。
退職手当については広義の給与費に含まれるという説明を大臣がしたと思うのでありますが、退職手当の考え方は、この場合は教員ですが、教員が長期間勤務して退職する場合の、いわゆる勤続報償的なものである。したがいまして、何年勤務したかによってそれも違ってまいります。在職している時点で支給される、いわゆる狭義の給与費と、それから退職後にもらう退職手当というのは別のものだ、これまでこういうふうに整理をしてきております。そういう考えに立っています。
そういう意味もあって、ある職員が、退職後にといいますか、退職して後も、懲罰にかけられるようなことがあって有罪判決を受けたような場合に、給与費までは返せとは言いませんが、報償的な意味のある退職手当は没収、返還をするという判決もあり得るわけでありまして、そういう考え方に立ってみても、いわゆる給与費というのはそのときの在職中に支給されるものであるという考え方で整理をいたしておるところであります。
○石井(郁)委員 本当におかしいんですよ。これまでの文科省の説明はそういうことじゃなかったはずですよ。
これは、文部省教育助成局の財務課、高橋伸一氏の論文を私も見まして、それを紹介しますけれども、「義務教育国庫負担制度について」というのがございますよ。その中には、給料から退職手当まで給与費とはっきり言っています。給与費目として、共済長期給付、公務災害補償基金負担金、児童手当までも挙げていますよ。それから、これは先ほどの市町村立学校教職員給与負担法の中でも、退職手当まで入っていたじゃないですか。だから、法律上ではそうなっているじゃないかと。これは地方財政法でも、第十条は、第一に、「国が、その経費の全部又は一部を負担する」ということで、一項目に「義務教育職員の給与に要する経費」と書いてある。給与に要する経費。それで、わざわざ括弧して、退職一時金とか退職手当とか旅費とかは除くがと。だから、今挙げた費目などは除かれていないわけですよ。
だから、今までの給与という、あなた方が説明したことからしても、その説明を全く、勝手に変えて、それでこういう定義をしているんじゃありませんか。私は、給与費を守るというんだったら、そういうものをきちんと含むということを言明しなきゃいけないというふうに思うんですね。そうしないで、既にもう給与費自身がこうやって削減されていっている。これは一つ削減されたというので、こんな形でやっていく。こんなやり方というのは、私は到底認めるわけにいかないと思うんですが、これは大臣、いかがですか。
だから、義務教育費の根幹だとおっしゃっているわけでしょう。給与費は守りますというのが御答弁ですが、そういうふうにして、これは給与費ではありません、これは給与費ではありませんということで、もう給与費自身が細っているじゃないですか、削減されているじゃないですかということでございますが、いかがですか。これは給与費を守っていることにならない。
○遠山国務大臣 私どもは、その点につきましては非常にしっかりと考えておりまして、給与費で本当の根幹ということになりますと、これは在職給与でございますので、狭義の給与ということで、いわゆる給料とそれから諸手当になるわけでございます。
ただ、給与というその概念というのは、法律によったり、あるいは用い方によってさまざまな用法があるというのが通説であるわけでございますが、私どもがとっておりますのは、狭義の、給料とそれから諸手当で成り立つ在職給与のほかに、退職給与というのがある、これは退職手当でございますが、これらをひっくるめて広い意味の給与と呼ぶ場合もあるわけでございます。
ぎりぎりと詰めていった場合に、では、何かということでございますが、私どもとしては、給与の根幹を守るということで、そこはとにかく守っていきたいと思っているわけでございますけれども、今回お願いしております二つの経費の種類につきましては、これは給与等に入るというふうに考えているわけでございます。できるだけ、その根幹である給与についてしっかり守っていきたいという姿勢をお話ししているわけでございます。
○石井(郁)委員 広義という形を持ち出して、給与費ということを事実上狭めていってしまう、これは私は、法律の解釈としてもやはり勝手な解釈だということでも、本当に認められないと思うんですね。だから、退職手当や児童手当は、給与費としてやはり国庫負担の対象から外すべきでない、給与費だということで、私は、きちんと遵法精神でやっていただきたいということを強調したいと思います。
このことに私がこだわりますのは、片山総務大臣、今回、特例交付金、交付税の特会借り入れで対応したということについて、このように述べていらっしゃるわけですね。二千三百億円ぐらいで税源移譲だとか税源配分のあり方を見直すのはなかなか難しい、やはり兆単位にならないと、ウン兆円単位にならないとと言っている。我々は、それまでのつなぎとして地方特例交付金と地方交付税という考え方をとったと言われているわけでしょう。これは、鎌田さゆり議員の質問に対する本会議の答弁でございます。
だから、全面移譲に向けたつなぎだということをやはり表明されているわけですよ。だから、根幹を守ると言うけれども、結局、給与であるそういう退職手当にも手をつけていったら、これはもう総崩れになっていくんじゃありませんか。そういう意味で、私は、やはりここはきちんとすべきだ、本当に譲れないところなんだということを申し上げているわけでございますが、どうですか、大臣。
○遠山国務大臣 御心配いただいている御趣旨というのは大変よくわかるわけでございますが、とにかくこの問題につきましては、退職手当、児童手当等に係る部分の取り扱いについては、関係省庁間における継続検討課題とするということで、今年度末までに結論を得るということになっております。
私は、今回の一連のプロセスがあったわけでございますけれども、今後どういうふうにしていくかというのは、義務教育費国庫負担制度については、まさに教育改革という角度から教育の土俵の上で考えていくということが一点ございますし、また、経費の点につきましては、私は、仕切り直しといいますか、もう一度この問題を取り扱うというのは、もう一回新たな条件下で議論されてしかるべきだと思っております。
これは私の個人といいますか、この職にある者として考えるものでございますけれども、やはり年末にどういう日本の経済状況になっているのか、どういう日本の財政状況になっているのか、あるいは三位一体論と言われているけれども、それがどんなふうな形をとろうとしているのか、それが明らかでないといけませんし、それから、義務教育費国庫負担金だけにターゲットが当たるとすれば、私はそれはよくないと思うんですね。やはり全体をどうしようとしているかというのがわからないと納得できないわけでございますし、さらに言えば、仮に何かの手当を今回のように地方に移譲するということになりましたら、財源についてはきちっと手当てする、それは満額の回答がない限り協力できないというふうに、私は個人として考えております。
○石井(郁)委員 退職手当、児童手当は、十六年度予算編成までの結論だと。しかし、これはもう危ないと皆さん感じているわけですから、本当にそこのところはきちんともう一度頑張っていただきたいということがあるんですが、私は、今回の法案は、やはり義務教育費の根幹部分を支える義務教育費国庫負担金、大体、二千三百億円も大幅削減ということがありますし、これは、これまでになかったことですよ、これほどの削減は。それから、この後に出てくる国立大学法人法案でいえば、教職員の身分は非公務員型になりますし、国の財政責任というのは放棄することに道を開くということもあります。
大臣が今、教育改革を進めるとおっしゃるんですけれども、私は、文科省の進める教育改革というのは、このようにして義務教育費の大幅削減を受け入れることなんだ、高等教育の財政責任も放棄するんだと。私、こういうことだったら、これは本当に教育行政の中心的任務の放棄だ、教育の土台を破壊するというふうに言わなくてはならないと思うんですね。
そういう意味で、これから大きな議論も必要なんですけれども、私は、国会としては、やはり文科省の言うとおりじゃなくて、きょう、前回と今回の議論でもわかりましたように、委員会の審議を見ても、委員会としてはこれは満場一致で否決してしかるべきではないのか、このことを皆さんに要請もいたしまして、質問を終わらせていただきます。


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