2003年3月1日(土)「しんぶん赤旗」
日本共産党の石井郁子議員は27日、衆院予算委員会で、自営業の家族従業者(業者婦人)の権利・地位向上について質問しました。
石井氏は、国の「男女共同参画基本計画」は、女性起業家の資金支援、業者婦人の実態把握などにとどまる一方で、地方自治体の基本計画には、「男女が自立した対等な関係として経営に参加できるよう支援」など業者婦人の地位向上を念頭においた具体的な項目が入っていることを指摘、国の基本計画を見直し、充実するよう求めました。
また、業者婦人の長年の要求である自家労賃について、「従業員が帰った後、夜中まで働く。時間給にすれば、パートにも及ばない」などの声を紹介し、婦人の人格、人権、労働を認めるかどうか基本的な問題だと強調しました。
サミット諸国では、事業のための必要な経費、事業目的のための給与などを条件に「必要な経費ないし損金として控除」(アメリカ)されていることを紹介し、日本でも配偶者や親族の給与を賃金として認めるべきだとのべました。
内閣府の坂東眞理子男女共同参画局長は「日本の制度について、調査する必要があると考えている」とのべました。
石井氏は、「配偶者とその親族が事業に従事したとき、対価の支払いは必要経費に参入しない」とする所得税法56条について、女性の自立や地位向上をすすめる21世紀にふさわしくないので見直すべきだとのべました。
平成十五年二月二十七日(木曜日)
午前九時開議
出席分科員
主査 持永 和見君
亀井 善之君 中山 正暉君
井上 和雄君 今田 保典君
津川 祥吾君 永田 寿康君
細川 律夫君 赤羽 一嘉君
遠藤 和良君 桝屋 敬悟君
兼務 栗原 博久君 兼務 木下 厚君
兼務 水島 広子君 兼務 上田 勇君
兼務 石井 郁子君 兼務 藤木 洋子君
兼務 東門美津子君 兼務 松浪健四郎君
兼務 山谷えり子君
…………………………………
国務大臣
(内閣官房長官)
(男女共同参画担当大臣) 福田 康夫君
国務大臣
(国家公安委員会委員長)
(産業再生機構(仮称)担
当大臣) 谷垣 禎一君
国務大臣
(防衛庁長官) 石破 茂君
国務大臣
(沖縄及び北方対策担当大
臣)
(科学技術政策担当大臣) 細田 博之君
国務大臣
(金融担当大臣)
(経済財政政策担当大臣) 竹中 平蔵君
国務大臣
(規制改革担当大臣) 石原 伸晃君
国務大臣
(防災担当大臣) 鴻池 祥肇君
内閣官房副長官 安倍 晋三君
内閣府副大臣 伊藤 達也君
内閣府副大臣 根本 匠君
内閣府副大臣 米田 建三君
法務副大臣 増田 敏男君
内閣府大臣政務官 大村 秀章君
内閣府大臣政務官 木村 隆秀君
内閣府大臣政務官 阿南 一成君
衆議院事務総長 谷 福丸君
参議院事務総長 川村 良典君
裁判官弾劾裁判所事務局長 天野英太郎君
裁判官訴追委員会事務局長 高田 健一君
国立国会図書館長 黒澤 隆雄君
政府特別補佐人
(人事院総裁) 中島 忠能君
会計検査院長 杉浦 力君
最高裁判所事務総長 竹崎 博允君
政府参考人
(内閣官房拉致被害者・家
族支援室長) 小熊 博君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 永松 荘一君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 山本繁太郎君
政府参考人
(内閣府男女共同参画局長
) 坂東眞理子君
政府参考人
(内閣府道路関係四公団民
営化推進委員会事務局長) 坂野 泰治君
政府参考人
(宮内庁次長) 羽毛田信吾君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 瀬川 勝久君
政府参考人
(警察庁刑事局長) 栗本 英雄君
政府参考人
(警察庁交通局長) 属 憲夫君
政府参考人
(警察庁警備局長) 奥村萬壽雄君
政府参考人
(防衛庁運用局長) 西川 徹矢君
政府参考人
(防衛施設庁長官) 嶋口 武彦君
政府参考人
(防衛施設庁施設部長) 大古 和雄君
政府参考人
(防衛施設庁業務部長) 冨永 洋君
政府参考人
(総務省人事・恩給局長) 久山 慎一君
政府参考人
(総務省情報通信政策局長
) 高原 耕三君
政府参考人
(法務省刑事局長) 樋渡 利秋君
政府参考人
(法務省矯正局長) 中井 憲治君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 齋木 昭隆君
政府参考人
(外務省北米局長) 海老原 紳君
政府参考人
(文部科学省科学技術・学
術政策局原子力安全監) 広瀬 研吉君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・
ガス事業部長) 迎 陽一君
政府参考人
(資源エネルギー庁原子力
安全・保安院審議官) 薦田 康久君
政府参考人
(中小企業庁経営支援部長
) 川口 幸男君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術
審議官) 白取 健治君
政府参考人
(国土交通省道路局次長) 榊 正剛君
政府参考人
(国土交通省自動車交通局
技術安全部長) 中山 寛治君
内閣委員会専門員 小菅 修一君
安全保障委員会専門員 小倉 敏正君
予算委員会専門員 中谷 俊明君
―――――――――――――
○石井(郁)分科員 日本共産党の石井郁子でございます。
きょう、私は、全国で二百万人近いと言われる商工業などの自営業における家族従業者、いわゆる業者婦人の権利、地位向上の問題で御質問させていただきます。
業者婦人の役割については、政府はこのような答弁をされています。「我が国の企業の大部分を占める中小企業の中で」、一部省略いたしますけれども、「家庭そして経営、さらには労働、こういった各面で非常に大きな役割を果たされている」これは二〇〇一年の参議院経済産業委員会でございますけれども、我が党の同僚議員に対しての御答弁でございます。
そこで、まず内閣府の官房長官にお聞きしたいと思います。
今お話しのように、男女共同参画ということが進められておりますけれども、その共同参画という立場から見まして、こうした業者婦人の担っている役割また実態などをどんなふうに考えていらっしゃるか、ちょっと所感をお聞かせいただければと思います。
○福田国務大臣 ただいま委員から御指摘ございましたように、我が国の非農林業における家族従業者の約八割は女性である、こういうことでございます。これは平成十四年の統計でございますけれども、自営中小企業などにおいて、女性家族従業者は経営の重要な担い手であるということでありまして、経営に果たしている役割は極めて大きいものがございます。
男女共同参画の観点からも、基本計画の「雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保」の箇所で規定いたしておりますが、「女性が家族従業者として果たしている役割の重要性が正当に評価されるよう、自営業における経営と家計の分離等、関係者の理解が得られるように」、これから努めていかなければいけない。これは重要なことだと考えております。
○石井(郁)分科員 どうもありがとうございました。
今も御紹介いただきましたけれども、国の男女共同参画基本計画の中にそのような記述がございます。「女性起業家、家族従業者等に対する支援」として幾つか掲げられているわけでございます。ただ、この項目は各省庁でどのように具体化されるかということのようでして、その中身は、一つ一つ、この項目からすぐにはわかってこないわけですね。
一方で、私、きょう、御紹介したいのは、地方自治体が基本計画をつくる、あるいは条例をつくるという動きがずっと進んでいます。先ほどの質問にもそういうことがあったかと思います。私の見たところで、幾つかの自治体で、この業者婦人、自営商工業の家族労働あるいは女性の問題について、かなり踏み込んだ記述が出てきているんですね。
これは大阪の堺市ですけれども、こういうことになっています。「自営業においては、」「男女が自立した対等な関係として経営に参加できるよう支援することが必要」である。また、これも大阪で、岸和田市の例でございますけれども、ここはかなり詳しくて、「自営や家族従業者に従事する女性はこれまで、その働きが十分に評価されず、個人の報酬などの面においてもあいまいな状態に置かれてきました。」一部省略しますけれども、「個人としての経済基盤の確立も進めなければなりません」また、「自営業、家族経営の農漁業等の関係団体に呼びかけて、それらの団体への女性の参画を促進するよう努める」というようなことが書かれています。
ですから、国の方は、先ほど官房長官も御紹介いただきましたけれども、「女性が家族従業者として果たしている役割の重要性が正当に評価されるよう」等々あるわけですけれども、さらに、こういう計画を念頭に置いた上で、業者婦人の地位向上についての具体的な項目が入っているというふうに思われるわけです。
そこで、男女共同参画局長に伺いたいと思います。
私は、基本計画というのは年度を切っての基本計画ですし、また、その後にはさらに新たな計画も立てるというふうになっておりますので、こうした視点で、この業者婦人の問題についての視点で大いに補い、充実させていく必要があるかと思いますが、その御認識を伺いたいと思います。
○坂東政府参考人 お答えいたします。
中小企業庁が平成十四年に実施いたしました調査は、基本計画に盛り込まれております「商工業等の自営業における家族従業者の実態の把握」に基づいて実施されているものであり、我々といたしましては、計画が着実に実施されたものとして評価しております。
○石井(郁)分科員 今の御答弁ですと、実態調査は着実に進んだと。実態調査だけですね。それ以上はないんですか。あるいは、今後どうするかということについて、今の私が御紹介申し上げました地方自治体では、かなり踏み込んだというか、具体的な項目まで入れているということからすると、もっと計画の手直しが必要ではないのでしょうかと伺ったわけですが、いかがでしょうか。
○坂東政府参考人 計画の見直しにつきましては、現行計画が今どのように実施されているか、また、今お話がございましたような地方公共団体でどのように取り組まれているか、また、男女共同参画会議あるいは国民各層の御意見も十分に踏まえて、関係省庁との調整を行いながら実施していくことになると思います。
○石井(郁)分科員 今のお話に出ていますように、業者婦人の実態調査でございますけれども、そのことでちょっと伺いたいと思います。
二〇〇二年三月に、中小企業庁の委託事業として、自営中小企業者の家族の労働と健康に関する調査研究委員会報告書が出されました。これは二十二年ぶりの、政府として行った調査ということで、関係者、業者婦人の間からも大変喜ばれております。これは、百四十六国会で採択されました、業者婦人の支援施策を求めた請願署名という項目の具体化でもありまして、私どもは、そういう二十二年ぶりという点で評価もしているところでございます。
それで、中小企業庁としては、この報告書の結果を内容の特徴も含めてどのように評価していらっしゃるか、若干伺いたいと思います。
○川口政府参考人 近年、働く女性を取り巻く環境も大きく変化していることを踏まえまして、昨年度、自営中小企業に携わる女性について、労働や健康、さらには経営等の側面から、その実態や抱える課題等を把握するため、御指摘のありました調査を行ったところでございます。
本調査によりまして、自営中小企業に携わる女性をめぐる労働状況に関しましては、労働時間の短縮や休日の機会の増加等、従前に比して全般的に改善されてきているという結果が出ておりますが、仕事と家庭で重要な役割が期待される中、近年の厳しい経済情勢も反映しまして、経営面でのさまざまな課題やニーズ等を抱えていることが改めて認識されたところでございます。
中小企業庁といたしましては、本調査の結果も踏まえまして、全国各地の商工会、商工会議所等を通じまして、例えば経営に役立つ情報の提供やITに関する研修等、自営中小企業に携わる女性のニーズに対応した取り組みが積極的に行われるよう、引き続き努力してまいります。
○石井(郁)分科員 この調査は全国商工会連合会に委託されて行ったということですけれども、この調査の対象数、サンプルがどのくらいだったのか。それから、私が見たところ、業者が集中している大都市圏、政令指定都市など、そういうところがどうも少ないんですね。その辺の事実関係をちょっとお示しください。
○川口政府参考人 本調査につきましては、全国商工会連合会に委託したものでございまして、その傘下の全国各地に所在する商工会を活用いたしまして実態調査を行ったものでございます。全国で六百の商工会地域の自営女性約六千名に対しまして、調査票を送付して回収し、調査を実施いたしました。
商工会の地域は町村が多くなっておりますけれども、市の区域や都市部も含まれております。したがいまして、調査対象地域も町村が多くなっておりますが、一部の都市部地域も含まれておるところでございます。
○石井(郁)分科員 首都である東京で見ますと、中規模の六市のみなんですね。それから、私は大阪ですから大阪の例で申し上げますと、大阪府下で四つなんですよ。泉南市、四条畷市、富田林市、河内長野市。大阪に詳しい人が見たら、これは新興住宅地や農地を含むところであって、もちろんそこにも自営商工業者がいらっしゃいますけれども、圧倒的に大阪市とか有名な東大阪市とか、そういう部分がないというのは何か理解に苦しむということがあるんですね。
各都道府県、都市で市町村のサンプル数、例えば北海道だと三十幾つというふうにありますが、北海道は面積も多いんだけれども、大阪で四つだ、四つしか取り上げられていないということになりますと、これで果たして自営商工業者の実態を正確につかんだことになるのかどうか。
とりわけ、都市部というのは特有の問題を抱えているわけですから、しかも、圧倒的に業者数も多いということからしますと、私は、これはいかがかなという問題点を感じたわけでございます。
今、内容等もお話しいただきましたけれども、内容を見てみますと、必ずしも改善されていると一言で言えるような感じはない。項目によって個別に見なくちゃいけないんですけれども、例えば労働時間、これは、二十二年前と比べて、平均が「七〜八時間未満」と答えた人が一九・五%と一番多くなっているということからして、「自営女性の労働時間は短くなっている」という結論なんですね。しかし、これは、一面では、長引く不況で仕事が少なくなっているわけだから、そういうことも考えられるわけでありますけれども、実態は本当にそうなのかということなんです。
私、きょう、御紹介したいんですけれども、皆さん御存じと思いますが、業者婦人の全国団体として全国商工団体連合会婦人部協議会がございます。ここは、大体三年に一度、こういう業者婦人の実態調査を行っているわけでありまして、会員数の大体二割ぐらいは回答を寄せている。
これは二〇〇〇年の実態調査でございますけれども、二万五千人の回答者です。ここは都市部が多いんですね。それによりますと、労働時間、「八時間〜十二時間未満」働いている業者婦人が一番多くて、三五・五%ですよ。「五〜八時間未満」は一七・五%ですから、倍に当たるということになっていますね。だから、「労働時間は短くなっている」とは到底言えないでしょう。
だから、何を、どういう実態を調査するかによって結論は変わってくるわけでございますので、私は、この調査をもって業者婦人の実態はつかめた、わかったということで終わってほしくないというふうにまず申し上げたいと思うんですね。
それで、ぜひ中小企業庁に申し上げたいんですけれども、今後も、こういう点では、もっとサンプル数も考え、あるいは地域や内容、項目等も考えて、やはり大都市区部ももっと組み込んだ調査が必要じゃないのかということをお考えになっているのかどうか。そしてまた、今後の課題も含めて皆さんの御決意のほどを聞かせてください。
○川口政府参考人 本調査では、自営中小企業に携わる女性のニーズといたしまして、経営に役立つ情報の提供であるとか、ITに関する能力の向上であるとか、講習会、研修会の開催等への関心が非常に高いということが確認されたところでございます。
こうしたニーズにつきましては、地域を問わない共通のものであるというふうに私ども考えておりまして、商工会とか商工会議所において、こうしたニーズに対応した事業に積極的に取り組んでいくことによりまして、大都市部の自営中小企業に携わる女性のニーズにもこたえていけるものというふうに考えているところでございます。
いずれにいたしましても、今後とも、中小企業を取り巻く環境の変化といったことを十分踏まえながら、しっかりと対応してまいりたいというふうに考えております。
○石井(郁)分科員 もちろん、今わかっている範囲で、あるいは共通する施策について積極的に取り組むというのは当然のことでありまして、それは大いにしていただきたいわけでございますけれども、私は、実態も正確につかんでいただく、また、調査というのは継続して意味があるわけですから、それはぜひやるべきだというふうに思います。
この点で言いますと、今の御答弁だとどうもはっきりしていませんので、私は参画局にも伺っておきたいんです。
計画にあるように、「実態の把握に努める」、その一歩が今できたわけですから、これで終わりにしないで、今私が申し上げましたように、この分野では本当に環境が激変している、変化が激しいということもありますから、引き続いて実態の正確な把握に努めるということで、局としてリーダーシップも発揮していただきたいというふうに思いますが、いかがでございますか。
○坂東政府参考人 十分な実態の把握、そして、関係者の方々の御意見を十分聞いた上で推進していきたいと思っております。
○石井(郁)分科員 重ねてですけれども、業者婦人の実態調査の一層の充実を引き続き求めていきたいと思います。
次の問題でございますが、中小業者の営業を支えている、経営を女性が支えているということは先ほど官房長官からも御答弁いただきましたけれども、その経営を支えているという面について、長年の切実な要求として出てきているのが自家労賃という問題なんです。
この問題というのは、業者婦人や家族従業者が経営を担っているということはもうはっきりしている、幾ら長時間働いてもその働き分が認められないというか、賃金に結びついていないという問題なんですね。他人が働けば経費になるけれども、家族ではただ、まさにただ働きだという問題があるわけです。
ちょっと実態を申し上げますと、従業員が帰った後で夜中まで働いている、だけれども、時間給にすればパートにも及ばないようなことがある、八時間労働で生活できる工賃をぜひ保障してほしいというようなことですね。それから、大企業、親企業が工賃を決めるときに下請業者の家族一人一人の労働分を考えてほしいというようなことは、自営商工業者の本当に切実な要求としてあるわけでございます。
この業者婦人の方の働き分が認められないという問題は、社会保障の上でも、また、社会生活のいろいろな分野でも、大変影響を持っておりまして、私は一つ例を申し上げるんですが、子供を保育園に入れたい、所得証明が大体必要だけれども、その証明がもらえないということで、かわりに、民生委員に、この人は家業を手伝っていますよ、そういう証明書をもらって行かなければいけないというようなことがいろいろあるんですね。
ですから、このように自家労賃の問題というのは、業者婦人のまさに人格、人権、労働を認めるかどうかという本当に基本的な問題を抱えていると言わなければなりません。
まず、これも男女共同参画局長にぜひ伺いたいと思います。
私、冒頭に申し上げましたように、基本法ができて、基本計画ができていますが、この基本計画の中では非常にあっさりした項目しかありませんので、また、この問題について触れている部分もありませんので、こういう実態や要求についての御認識をどのように持っていらっしゃるか、伺っておきたいと思います。
○坂東政府参考人 ただいま御指摘のように、個人所得課税におきまして、事業主から生計を一にする親族に支払われる対価については、原則として、所得金額の計算上、必要経費にならないものとされておりまして、そういう数字としてなかなか上がってこない。
ただし、青色申告者については、その正確な記帳、記録に基づく家計と事業の分離が行われるものと認められるので、それは必要経費として算入されている。
そしてまた、こういった事情にない白色申告者の場合については、現に家業に従事している家族従業員を専業主婦のような従事していない家族と同一に扱うのは問題ということで、配偶者控除、扶養控除にかえまして、特別の控除、配偶者の場合は八十六万円、配偶者以外は五十万円の白色専従者控除の適用が認められているという現状ですけれども、引き続き、こういった措置が男女の社会における活動の選択に対してどういう影響を与えているのか、本当にライフスタイルの選択に中立的であるかどうかという観点から、その適切な状況把握に今後とも努めていかなければならないと思っております。
○石井(郁)分科員 この問題でも、地方自治体の方では一定の前向きな部分というのが既にもう出てきているんですね。自治体の方は、とにかく、働いている人たちが目の前にいらっしゃるわけですから、もっと切実だと思うんですね。
業者婦人などの実態調査をした地方自治体から、こういうことが上がってきています。
高知市の例を申し上げたいんですが、「女性事業主、家族従業者の報酬や労働時間、休日・休暇の取り決めの有無」ということで質問をちゃんとされていまして、こういうふうに言っています。家族従業者は長時間働いても賃金、給料に結びついていないということで、「家族労働者の労働性については法的な整備が必要」である。
だから、地方自治体からは、やはりこういう問題を解決するには法的な整備が必要だという声が上がっているんですよ。これは国として本当に受けとめなければいけない。そういう点では国の方がおくれちゃっているわけですよ。こういう点で、私は問題を提起したいわけです。
日本が何でこの働き分が必要経費として認められないのかということで言うと、本当に例外的なんですね。
これは御存じと思いますけれども、サミット諸国では、自家労賃問題でどうなっているかということで言いますと、事業のために必要な経費、事業の目的のための給与、対価として合理的な金額であることとして、アメリカの場合は、必要な経費ないし損益として控除する。イギリスの場合は、世帯主の事業所得の必要経費として控除する。西ドイツの場合も、必要経費として控除される。カナダの場合は、事業者の所得から控除できる。
だから、家族従業者、つまり、女性の働き分については、きちんと必要経費として控除されるということになっているんです。だから、日本だけなんですよ。日本だけが何か例外的です。
何でこういうことになっているのか。きょうは、シャウプ税制以来のそういう税制論議のことに入ることはちょっと時間的にできませんけれども、こういう事態をこのままにしておいていいのかという問題意識は、当然、男女共同参画という立場からも持ってしかるべきだというふうに私は思うんですね。いかがでございますか。
○坂東政府参考人 配偶者とその親族の賃金が経費として算入されているかどうか、個別の国については幾つか把握しているようですけれども、国際的にどういうふうな状況なのか、そもそも白色申告制度あるいはそれに類似したものがあるかどうかも含めて、制度全体について調査する必要があるのではないかというふうに担当の部局の方でも考えているようでございます。
○石井(郁)分科員 一つは、法的な整備の必要ということを私は申し上げましたけれども、日本の所得税法の五十六条、ここが実はネックになっているんですね。配偶者とその親族が事業に従事したとき、対価の支払いは必要経費に算入しないとはっきり書いているわけですから、だから、これをもってして、できませんとなっているんですよ。ここのところは、やはり税制の問題として今後検討が必要だと私は思います。
私がきょう申し上げたかったのは、こういう税制のままにしておくことが、女性の地位向上あるいは女性の権利という点から見て本当にいいのかどうか、二十一世紀の日本の社会を考えたときにこのままでいいのかという問題意識を少なくとも男女共同参画局は持っていただきたいなという意味で申し上げているわけでございます。
この部分は研究も多いとはまだまだ言えないんですけれども、私がちょっと見た中では、なぜ日本だけがこうなっているかということについて言いますと、我が国では明治維新まで身分制度だ、戦後に至るまで家父長制的な家制度が存続してきたという点がやはり絡んでいる、これが税制に反映しているんだ、こういう規定が残されている、形成されてきているんじゃないかという研究もございますので、今後、この点もきちんと見ていただきたいと思います。
何度も申しますけれども、女性の自立、地位向上ということが二十一世紀の私たちの大きな課題となっている中で、こういう古い家制度の名残みたいな部分を引きずっていていいのかという点で、そういう問題意識を持っていただきたい、あるいはきちっと研究もしていただきたいということを参画局にお願いしたかったわけでございます。
重ねて御答弁いただければ、前向きな御答弁をいただければありがたいかと思います。
○坂東政府参考人 税等の制度が女性のライフスタイルの選択に中立的であるかどうか、そういった観点から、いろいろな制度について十分検討してまいりたいと思います。
○石井(郁)分科員 申し上げましたように、世界から見て異常なことになっているという点で、私は、その辺の改善が本当に急がれるんじゃないかというふうに思います。
大事なのは、自家労賃を認めるような法整備ということを私は申し上げましたけれども、独立した納税者として認めていくということなんですね。それから、一人一人の人件費の問題として扱っていくという問題だというふうに思いますので、男女共同参画局が、これは局だけでできないと思いますから、関係省庁とも大いに連携をとりながら、この点でもぜひ参画局がリーダーシップをとって大いに問題にのせていただきたいということを重ねて強調しておきたいと思います。
時間なんですけれども、もう一点。
きょう、質問する時間がなかったんですが、今、国民健康保険の問題で、国保は三割なのに何でサラリーマンの分を三割にしてはいけないのかという議論になっていますけれども、しかし、国保も、三割という中で、実にまだまだ足りない部分というのはいっぱいあるんですね。その一つが、これも問題になっておりますけれども、傷病手当とか出産手当、業者の婦人からすると最も必要なそういう手当がないという問題なんです。
御紹介だけしますけれども、これも、自治体の中では研究もされ出してきています。きょうはずっと大阪の例ですが、大阪の吹田市というところですけれども、こういうことを言っているんですね。被保険者の入院件数、入院日数、出産件数などの実績をもとに大阪府の最低賃金を適用すれば約八億円、一人当たりの保険料への影響として考えられると試算して、それから、どのぐらいでこういう傷病手当、出産手当がちゃんとできるのかということで、こういう試算まで始まっている。
私は、自治体がそこまでやり出しているわけですから、国自身がこういう試算、算定も含めてその実現の道を開く努力を大いにしてもらいたい、していくべきだということを申し上げておきたいと思います。
時間が参りました。きょうは、業者婦人の実態を含めて、今後、施策としてぜひ取り組んでいただきたいことを申し上げました。日本経済を支えている、本当に重要な役割を持っている業者婦人でありまして、それを実現させるという点での緊急性が非常にあると思います。そういうことで、重ねて、計画の充実、そしてまた具体的な施策の発展ということをお願いいたしまして、質問を終わります。
どうもありがとうございました。


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