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2002年11月8日(金)「しんぶん赤旗」

参院委 5日制で学校調査

林議員 文科省局長が答弁

文部科学省は7日の参院文教科学委員会で,日本共産党の林紀子議員にたいして,学校5日制と新学習指導要領のもとでの学校現場の状況について調査することを明らかにしました。

林議員は,全日本教職員組合の学校5日制・新学習指導要領の全国アンケートを紹介しました。「子どもの学校生活のゆとりは」との問いに,「とても忙しくなった」55.4%,「少し忙しくなった』31.5%であわせて86.9%が「忙しくなった」と回答しています。

林議員は「定数など条件整備の不十分さで現場の多忙感が逆に高まっている。5日制の意義を見失わずによりよく生かす環境整備が必要」との教員の声もあげて,新学習指導要領が5日制に対応できておらず,かえって「ゆとり」が奪われているのが実態だと指摘,現場の実態に目を向けるよう求めました。

文部科学省の矢野重典初等中等教育局長は「一定期間を経過した後,児童生徒を対象とした意識調査を実施」すると述べました。

さらに林議員は,修学旅行の説明をしていた54歳の男性教員が倒れそのまま死亡する事件がおきた広島県委の調査では,100人1人強が病気で休職中という異常な実態が明らかになったことにふれ,厚生労働省が2月煮出した「過重労働による健康障害防止のための総合対策」を各県の教育委員会に徹底するよう求めました。


155/参/文教科学委員会/第2号/2002年11月7日

文部科学大臣
遠山敦子君
文部科学副大臣
河村建夫君
文部科学大臣政務官
池坊保子君
常任委員会専門員
巻端俊兒君
政府参考人(総務省自治財政局長)
林 省吾君
政府参考人(消防庁次長)
北里敏明君
政府参考人(文部科学大臣官房長)
結城章夫君
政府参考人(文部科学大臣官房文教施設部長)
萩原久和君
政府参考人(文部科学省生涯学習政策局長)
近藤信司君
政府参考人(文部科学省初等中等教育局長)
矢野重典君
政府参考人(文部科学省高等教育局長)
工藤智規君
政府参考人(文部科学省高等教育局私学部長)
玉井日出夫君
政府参考人(文部科学省研究振興局長)
石川 明君

○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。
 私は,5月23日の本委員会で,この4月からの新学習指導要領の実施に伴って小中学校の教員が本当に大変な忙しさだという実態をお示しいたしました。そういたしましたら,教員の持ち時間数を今までより増やさないという,そういう趣旨があるから,そういう趣旨,念のためにきちんと伝わっているかどうかチェックをすると,そういうお答えを矢野局長の方からいただきました。
 大分日にちがたってしまいましたけれども,そのチェックというのはしていただけたのか,そしてその結果はどうだったのかというのをお聞きしたいと思います。

○政府参考人(矢野重典君) 5月23日の当委員会での私の答弁につきましては,これは,少人数指導の加配を受けるためには教員の持ち時間数を今までよりも増やさなきゃならないという指導を各県に行っているのではないかとの,そういう委員の御指摘に対しまして,私どもの計画の様式でございましたけれども,その様式で示していることはそのような趣旨ではないことをもう既に各機関の教育委員会に説明した旨を御説明をいたしたところでございますが,その際に,委員からそのことが分かるよう文書で通知すべきではないかという御指摘もございましたことから,私どもの趣旨,今申し上げたような趣旨が全県に正確に受け止められているかどうかをチェックいたしましょうと,そういう趣旨で私は答弁を申し上げたわけでございます。
 そのことにつきましては,本年の6月に,各都道府県教育委員会に平成14年度の公立義務教育諸学校教職員定数を報告いただいた際に,我が省の先ほど申し上げたような趣旨が各都道府県に正確に受け止められているかどうかということを全県に確認をいたしましたところ,私どもの趣旨がきちんと受け止められていることを確認をできたところでございます。

○林紀子君 きちんと受け止められているというお話があったんですけれども,実は私も方々を回っておりまして,二学期が始まってから島根県に行きました。そのとき,教員の皆さんに実情は今どうかというのを伺ったんですけれども,そのときには,時間割が組めない,打合せが不可能だ,教材研究ができない,これは一学期から続く忙しさだということを口々におっしゃっていたんですね。
 実態を本当に学校の現場までつかんでいただけたのかどうか,教育委員会に確かにそう言っていただいたというのはいいんですけれども,それで本当に大丈夫だよという,今おっしゃったわけですが,本当にそういうふうに変わっているんでしょうか。

○政府参考人(矢野重典君) 私が申し上げたそのチェックというのは,少人数指導の加配を受けるためには教員の持ち時間数を今までより増やさなきゃならないというふうに受け止められているということであれば,それは今回の加配の趣旨ではありませんよということを,そのことが条件でなければ加配を受けられないんですよということではありませんということの,そういう我が方の趣旨を各都道府県に確認したところ,各都道府県においては私どもの趣旨をきちんと正確に理解していたということを確認したわけでございます。

○林紀子君 その趣旨ということなんですけれども,その趣旨が貫徹されれば本当は忙しくなくなるという結果が現れるんだと思うんですが,その結果が現れていないということで,ちゃんと実態をつかんでいただきたいということをそれでは改めて申し上げたいと思います。
 そこで,お聞きしたいんですけれども,学校5日制が始まって,この間の子供の状況など,学校がどのように変化したと認識をなさっているのかどうか,そこをお聞かせください。

○政府参考人(矢野重典君) 御案内のように,この4月から完全学校週5日制が導入されましたし,同時に,小中学校におきましては新しい学習指導要領が全面実施されたところでございます。
 現在,それぞれの学校におきましては,学習指導要領につきましては,これは2年間にわたる移行期間というのがあったわけでございますが,そうした移行期間中の取組を踏まえながら,また完全学校週5日制につきましては,これは御案内のように,平成4年の9月から月一回の試行をやってございますし,平成7年からは月二回の学校5日制を実施したわけでございます。
 そうした経験を踏まえながら,新しい教育課程の円滑な実施に努めているその最中でございます。まだ始まったばかりでございますが,そういう状況の中で,文部科学省としては,今,現時点における児童生徒の状況等につきましてはきちんとした調査という形では把握いたしておりませんが,今後,これはある程度一定の時間というんでしょうか,期間が経過することが調査をする上では必要かと思うわけでございますけれども,そうした一定の期間を経過した後に児童生徒や教員などを対象とした意識調査を,これは全国的な意味での調査を実施をいたしたいと考えているところでございます。

○林紀子君 一定の期間が必要だということは確かなんですけれども,これだけ先生たちが忙しいともう本当に授業も成り立たないんじゃないかということで,11月1日には,全日本教職員組合が学校5日制・新学習指導要領の全国アンケートというのを行ったその結果を発表いたしました。
 新聞やラジオなどでも取り上げられましたけれども,全国1万6239人の小中学校の教員から答えを回収したということですから,かなりこの母数が大きいわけですから正確に現在の小中学校の学校の現場,その様子が分かるんじゃないかと思うんですね。子供の学校生活のゆとりはという問いに対して,とても忙しくなったというのが55.4%,これは子供の生活ですね。そして,少し忙しくなったが31.5%。合わせて86.9%が,子供の学校生活は忙しくなった,こういうふうに答えているわけですね。
 一定の期間と言いますが,もう一学期は過ぎまして二学期も半ばになっているわけですが,これでゆとりの教育と言えるとお思いになりますでしょうか。

○政府参考人(矢野重典君) 改めて申し上げますと,完全学校週5日制の下での新しい教育課程の基準である学校指導要領,これは子供たちに基礎・基本を確実に身に付けさせ,それを基に,自ら学び自ら考える力などの確かな学力を育成することをねらいとしているわけでございます。
 このために,新しい学習指導要領では,授業時数の縮減以上に教育の内容を厳選し,それによって生じた時間的,精神的な余裕を活用して子供一人一人の理解や,また習熟の程度に応じたきめ細かな指導を行うことができるようにしているわけでございます。
 そういう学習指導要領のねらいの下に,そのねらいを実現するべく,今と申しますか,これまで2年間の準備を経てきて,そういう試行等の準備を経て,今全国の学校ではそうした学習指導要領のねらいを実現するべくすべての教職員が日夜御努力をいただいているというふうに考えているところでございまして,私どもとしては,そうした教職員の努力を都道府県教育委員会また市町村教育委員会共々,様々な形で応援をしてまいりたい,かように考えているところでございます。

○林紀子君 随分努力をしていると思うんですが,その努力というのも人間の体ですから限界があるわけですよね。
 先生が忙しくなったというのはこの前お伝えしたんですが,今度は子供が忙しくなっているという今アンケートの結果をお伝えしたんですが,これは労働組合が調査したアンケートだけではなくて,県の教育委員会が調査したアンケート,これは長野県の例なんですが,5日制の気掛かりな点は何だという問いに対して,児童生徒の学校生活が忙しくなった,ここが一番気掛かりだと,そういう先生の答えというのが小学校では47%,中学校では45%,高校では43%,非常に多くなっているんですね。
 ですから,基礎・基本というお話もありましたけれども,子供たちが忙し過ぎる,この点についてはどういうふうにお考えになりますでしょうか。

○政府参考人(矢野重典君) そういう個々の具体的なケースについては私はコメントできる立場にはないわけでございますが,先ほど申し上げておりますように,新しい学習指導要領というのは教育の内容を厳選したわけでございます。そして,厳選することによって時間的,精神的ゆとりが生じるわけでございます。そういう余裕を活用してきめ細かな指導ができるようにというのが正に新しい学習指導要領のねらいとするわけでございます。
 そういうねらいを持った学習指導要領がスタートしたばかりでございますので,ある意味では若干これまでと違った内容についての戸惑いなり,あるいはまだまだ工夫というんでしょうか,工夫の余地があるというところがあるかもしれませんけれども,そこは是非,今申し上げましたようなねらいの下,ねらいを実現するべく様々な工夫や努力をしていただきながら,この趣旨,このねらいがきちんと趣旨どおりに,ねらいどおり実現できるように私どもとしては御努力をしていただきたいと思うわけでございますし,またそのために,先ほど来申し上げていますように,様々な形で行政としても応援をしていく必要があろうかと思っております。

○林紀子君 どうも話がかみ合わないような気がするんですけれども,それは,やっぱりきちんと現場のところを押さえていないというところが一番の問題なんじゃないかと思うんですね。
 大臣にお聞きしたいんですけれども,今,やり取り何だかちっとも私もかみ合わない話だなと思っているんですけれども,このアンケートの自由記載のところにはこういう声があるんです。
 基礎・基本を大切にと言っていながら,じっくり時間を掛けて基礎・基本の力を育てる時間が取りにくいというのは矛盾を感じます。指導要領が現場の声や研究者,国民の声がもっと反映された内容になることを望みます。それ以外にも,学校5日制が悪いのではなくて,それに対応できていない学習指導要領や,態度を二変三変させる文部科学省,そして定数など条件整備の不十分さで現場の多忙感が高まっている,5日制の意義を見失わずに,よりよく生かす環境整備が必要だ。
 自由記載,何でも書いてくださいというところで,多忙ということ,自分たちの多忙,子供たちの多忙。そして,その理由は,この学習指導要領が5日制に対応できていないでかえってゆとりが奪われている,こういう一番根本的な実態というのが示されている,そういうことなんじゃないかと思うんですけれども,大臣,いかがですか。

○国務大臣(遠山敦子君) 私も,つくづく物事の実際というものをつかむことというのは本当に難しいと思いますね。いろんな意見が出るものなんです。それは教育に限らず,日本の現状についても,いろんな社会の問題についてもいろんな意見があるものでございます。殊に教育に関しては,あるいは学校で起きていることについてはいろんな意見,いろんな見方があるというのは確かでございます。しかし,私としても,できるだけ現場といいますか,各学校で取り組んでおられる状況でありますとか,そしてそこでどんな意見を持っているか,特に子供たちがどのような状況にあるのかというのをしっかり見詰めながらやっていくというのは教育行政の基本だと思っております。
 そのようなことで,私自身もできるだけ学校現場に行ってと思いますが,本当にもう忙しい中で,私こそ忙しいと思っておりますけれども,何ともならない実態の中で,しかし耳を澄まし,心を澄まし,それぞれの専門家たちが寄せてくれる状況を分析したりしながら,現場の意見というものをできるだけ取り入れてやっていくというのが私のスタンスでございます。
 今のお話でございますが,この学校週5日制にしましても,あるいは新しい学習指導要領にしましても,別に今年の4月から始まったということではなくて,実に長い準備期間があってやってまいったわけでございます。そして,その新しい学習指導要領の基本的な考え方の検討に際しましては,これは教育課程審議会等におきまして,学校関係者あるいはPTA関係者,企業・マスコミ関係者,文化関係者など幅広い方々に御審議をいただいておりますし,また公聴会,教職員団体など学校関係者からも御意見をいただいたと承知しております。また,パブリックコメントの形で広く御意見もいただいているわけでございます。
 立案の際にも,しっかりと意見を聴いているはずでございますし,またその新しい学習指導要領について,平成10年の告示以来,本年の4月の実施に至るまで,その趣旨の普及あるいは移行措置などによる実践取組を積み重ねてきたところでございます。
 大きな制度の変換にはどうしてもかなりの努力を要するということは事実でございます。しかし,私は,今の新しい学習指導要領がねらっている基礎・基本をしっかりと身に付けた上で,自分で考える力,自分で行動できる,自分で決断できる,あるいは自分で課題を見付けてそれに取り組む,そういうことを大事にしようよというこの考え方は,21世紀を生きる子供たちにとって極めて適切な方向性であると思っております。
 今,移行期間で大変その準備には御苦労いただいていると思いますが,そういう高い理想の下に今みんなが努力をしているということを十分御理解いただいて,各学校なり教員なり,殊に保護者の方々にも,そういう大きな,本物の力を付けていくために今大きな転換をやっているんだという自覚の下にこの時期を乗り越えてもらいたいと思っております。
 また,私どもとしましては,機会を得るようにしてそのねらいというものを徹底していく,あるいはまたそれを実現に移すに必要ないろんな諸施策がもし必要であればそれをやっていくということが我々の任務であろうかと思っております。
 それからまた,今後,学習指導要領について何か考えていくという際には,是非とも私は,実証的なデータでありますとか,教育現場の問題意識を十分踏まえることはもとより大事だと考えておりまして,殊に国民の皆様が,新しい学習指導要領によって学力低下が起きるのではないかというような御懸念もございますが,いささか過剰な御懸念でもあろうかという気もしないではないわけでございますが,その辺もしっかりしたデータを積み上げていって,そして本当に日本の子供たちにとって優れた教育が展開できるようにしていく,それが非常に大事だと思っておりまして,今後とも私どもとしてはそういった現場の状況というものを十分踏まえて取り組んでいきたいと思っております。

○林紀子君 学習指導要領の問題などはたくさん質問したいところもあるわけですが,時間が限られておりますので,それは次の機会にということで,今,先生たちの御努力をという話が局長の方からも大臣の方からもありましたが,今回のアンケートで,こんなに忙しくていつまで体がもつか心配だ,こういう声が出ているんですね。
 私がおります広島県では,9月末には,修学旅行の説明をしていた54歳の男性の教員が倒れてそのまま亡くなってしまう,こういう状況があったわけです。広島県の教育委員会が調べたところでは,広島県では,教職員百人に一人強の1.22%が病気で休職中。国家公務員全体どうなっているかというのを調べましたら,この割合が0.2%に満たないというんですね。そうしますと,広島県の先生たちの休職中の方というのは何と国家公務員全体の六倍にもなるんです。極めて異常な数字ではないかと思うんですね。
 そこで,もう余り時間ないんですけれどもお聞きしたいんですけれども,厚生労働省は今年の2月に過重労働による健康障害防止のための総合対策という通知を出しました。この内容が生かされていたら広島のような事態というのは防げたんじゃないかと思うともう本当に残念なんですけれども,文部科学省はこの通知を県の教育委員会に徹底しているのかどうか,お聞きしたいと思います。

○政府参考人(矢野重典君) 教員が心身ともに健康を維持して教育に携わることは大変重要な課題であると私どもも考えているところでございます。
 御指摘の厚生労働省通知でございますが,これは,総務省からの通知によりまして教育委員会も含めた各都道府県及び指定都市に周知されているというふうに理解をいたしているところでございます。したがいまして,各教育委員会におきましても,通知を踏まえて適切な対応が取られているというふうに考えているわけでございますけれども,私どもとしては,重ねて我が省からそれぞれの教育委員会等に対して本通知の趣旨を各種の会議等におきまして周知するということをやりたいと考えているところでございます。

○林紀子君 時間になりましたけれども,会議で徹底するというのは駄目なんですよね。やっぱりきちんとこの通知そのものを出していただきたい。
 総務省を通してと言いますけれども,広島県なんかは,総務省からちゃんとペーパーだけはもらったけれども,しかし文部科学省からちゃんと直接にこういう通知が来ないので残業チェックの対応が難しい,文部科学省から直接来ればもっとずっとやりやすくなると言っているんですね。総務省は,厚生労働省が出した通知ですけれども,ちゃんとかがみというんですか,前文を付けて出しているわけですから。そんなことできるでしょう,簡単に。そういうことを是非やってください。
 そして,昨年の4月には労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準,こういう通知も出されましたけれども,これだってちゃんと出していないわけですから,これは絶対やってくださいということをお願いします。一言で返事してください。

○政府参考人(矢野重典君) 広島のことは承知しておりませんけれども,こういう通知は一般的には総務省を通じて教育委員会も含めて周知されるものでございます。そういう意味で,改めて私どもから出すつもりはございませんが,先ほど申し上げましたように大事な問題でございますので,会議等においてこの趣旨を徹底してまいりたいと思っております。

○林紀子君 本当に,働いている先生たち,努力だけ押し付けて,自分たちの方はやれることはやるとさっき大臣言ったのに,こんなことさえしてくれないんですか。してくれるように重ねてお願いして,私の質問を終わります。


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