2002年8月8日「しんぶん赤旗」より
帝京大の入試口利き問題で、前事務局長(今年三月に死亡)に責任を押しつける大学側の主張に根拠がないことが七日、衆院文部科学委員会での日本共産党・石井郁子議員の質問で明らかになりました。
この問題で大学側は、宮路和明前厚生労働副大臣が一月三十一日に行った大学側への受験番号通知について「(当時の)事務局長が聞いた」(七月二十三日の参院厚生労働委員会)と弁明しています。石井氏は、前事務局長が重い肝臓ガンで二月五日に再入院しており、本人の家族の話では「今年になるとほとんど寝たきりで、一月三十一日ごろはちょっと近所へ買い物に出かけようと言っても出られない状態だった」ことを示し、事実を文部科学省は確かめているのか、と追及。文科省の工藤智規・高等教育局長は、「一月三十一日の(前事務局長の)出勤については、大学側から聞いた」とのべるだけで、出勤簿も見ていないこと、冲永荘一帝京大総長に確かめていないなど、ずさんな調査であったことを認めました。
石井氏は「大事なところは何も調査しないで、『事務局長の責任』というのでは納得できない」と批判しました。
大学側が医学部の寄付金授受についても「事務局長の判断と責任」としていることについて、石井氏がただしたのにたいし、工藤局長は「事務局長一人で処理し、(受験者が)寄付金をどのように事務局長にもっていくか私どもも疑問を持っている」と問題点を認めました。
2002年8月9日「しんぶん赤旗」より
日本共産党の石井郁子議員は七日の衆院文部科学委員会で、国立大学の法人化問題を取り上げ、文部科学省が法律もできていないのに、既定事実のように各大学に法人化の準備を押しつけている問題を追及しました。
文科省の工藤智規・高等教育局長は「心配、混乱させて申し訳ない。今後心配をかけないよう、応対を含めて注意しながら進めたい」と事実上陳謝しました。この問題で文科省は東大など旧七帝大の事務局長を招集して就業規則のモデルづくりなどをすすめており、石井氏が七月三日の同委員会で、国会を無視した行政側の暴走だと批判していました。
石井氏は、各大学が法人化に向けたグランドデザインの作成、中期計画の検討に追われ、ある大学では二〇〇三年度から七年間にわたり、毎年十人前後の定員削減を計画していることを紹介。その理由を聞いたところ「法人化されたら、運営交付金が毎年10%ずつ削減されるという文科省の指導がある」とのべていることを示し、これまでの文科省の説明に反するのではないかとただしました。
工藤局長は「法人化されれば、国家公務員法の定員削減計画の対象外となる」「(法人化によって)毎年定員を減らすと決まっているわけでもなんでもない」との見解を表明。運営交付金については「国立大がこれまで以上に財政の自立をはかれるように、万全を期していきたい」と答えました。
平成十四年八月七日(水曜日)
午後一時三十分開議
出席委員
委員長 河村 建夫君
理事 斉藤斗志二君 理事 鈴木 恒夫君
理事 田野瀬良太郎君 理事 平野 博文君
理事 斉藤 鉄夫君 理事 武山百合子君
伊藤信太郎君 岡下 信子君
近藤 基彦君 高市 早苗君
高木 毅君 谷田 武彦君
馳 浩君 林田 彪君
松野 博一君 松宮 勲君
森岡 正宏君 大石 尚子君
木下 厚君 武正 公一君
中津川博郷君 中野 寛成君
藤村 修君 牧 義夫君
牧野 聖修君 山元 勉君
佐藤 公治君 石井 郁子君
児玉 健次君 中西 績介君
山内 惠子君
…………………………………
文部科学大臣 遠山 敦子君
文部科学副大臣 岸田 文雄君
政府参考人(文部科学省大臣官房長) 結城 章夫君
政府参考人(文部科学省高等教育局長) 工藤 智規君
政府参考人(文部科学省高等教育局私学部長) 玉井日出夫君
政府参考人(文部科学省スポーツ・青少年局長) 遠藤純一郎君
文部科学委員会専門員 柴田 寛治君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
文部科学行政の基本施策に関する件(帝京大学問題等)
――――◇―――――
○河村委員長 石井郁子君の質疑に入るのでありますが、この際、石井君の質疑に入る前に、政府より発言を求められておりますので、これを許します。工藤高等教育局長。
○工藤政府参考人 貴重なお時間をおかりして恐縮でございます。
去る七月三日の本委員会におきまして、石井委員より国立七大学の事務局長の会議に関する資料の御提示と御質問をいただきました。その時点で必ずしも詳細な事実関係を把握できておりませんで、十分な御説明ができませんでしたことをおわび申し上げますとともに、その後、事実関係を確認いたしましたので、この場をおかりして改めて御説明させていただきます。
まず、御提示のあった資料でございますけれども、一枚目は、本省の人事課が国立七大学の事務局長に人事課主催の会議への出席を依頼した文書でございます。事務連絡の文書でございますので、通例どおり、人事課内の上司に口頭了解を得て、送付しております。
それから、二枚目の文書は、一枚目の会議が開催される以前に国立七大学の事務局長が都内で自主的に開催した会議の出席者の名簿でございます。
一枚目と二枚目は別の会議の資料でございまして、二枚目の出席者名簿の中に本省関係者も含まれておりますが、大学側からの要請を受けて、会計課の担当者が出席しております。
以上が資料についての事実関係でございますが、本省人事課が主催しました会議の性格につきましては、ただいま御説明したとおり、国立七大学の事務局長が法人化に関する会議を自主的に開いて意見交換等を行っていることを踏まえまして、その状況や意見を把握し、本省での検討の参考とするために開催したものでございます。その会議で、本省が国立七大学の事務局長に対して法人化後の大学の管理運営のモデルづくりを指示したというような事実はございません。
なお、本年七月十九日の国立大学協会の総会で、最終報告の制度設計に沿って法人化の準備に入ることが確認されておりまして、これを踏まえて、国立大学協会及び各大学において自主的に法人化の準備が進められております。
また、文部科学省としましても、去る六月二十五日の経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇二において、国立大学の法人化と教員・事務職員等の非公務員化を平成十六年度を目途に開始することが閣議決定されたことを受けまして、必要な準備を進めているところでございます。
文部科学省といたしましては、今後とも各大学の自主性、自律性を高めるという法人化の趣旨を十分踏まえつつ、新制度に円滑に移行することができるよう、国大協や各大学と十分に意思疎通を図り、連携協力して準備を進める必要があると考えております。そのため、その過程において、今後、関係者間の意見交換、情報交換等のための会議を開催したり、相互に必要な作業の依頼等を行ったりすることはあり得るものと考えております。
以上でございます。
○河村委員長 石井郁子君。
○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
冒頭、先般の私の質問に関して、理事会協議に基づきまして、工藤局長から答弁いただきました。しかし、私は到底納得できませんので、本来これでもっと質問しなきゃいけない、それはまた別途の機会に譲りたいと思いますが、今の話の限りでちょっと、二、三だけ確認をさせていただきたいと思っています。
今、資料の説明いただきましたけれども、私は、前回この二枚をお示ししたんですけれども、重要なことは、この国立七大学の事務局長の会議の出席者名簿、文部科学省からもいますよ、七大学もいますよ、そのことが一つの意味だったんですよ。だから、文科省と七大学の事務局長とがいわば一緒に会議をしているということなんです。そもそもこの会議の招集はどこなのかということを私はお尋ねしたんです。
それから、きょうはその内容、四月十一日ですが、その打ち合わせの結果というか打ち合わせ会議後の文書というものを実は私は持っておりまして、これを見ますと、単なる検討状況を文科省がお聞きをするというか、そういうことにとどまっていないんですよ。まさに意見交換をしている。その意見交換の中には、大学側のこういう質問もある、文科省はこう答える、ちゃんとやりとりがあるんですよ、実は。
これは多分文科省がつくっているものでございますけれども、今局長は決してモデルづくりなどは指示していないと言われましたが、これはもうちゃんと書いています。就業規則などのモデルを作成し、各大学に提示する方向で、その提示内容を含め検討している、これは文と書いているんです。大学側は大と書いている。文部省側は文と書いている。ちゃんとあるんですよ。だから、私はこういうことに基づいて、あなた方が言っていることと実際やっていることが違うじゃないかというのが私の質問の趣旨だったわけですね。
そういうことで、きょうは時間がありませんので、その内容は後でもっと詳しくしたいと思いますが、はっきりしておきたいのは、平成十六年が目途ですと。それは政府として、閣議決定としてはそういう目途を決めているかもしれませんが、これは国会はまだ承認していない話ですよ。国立大学を法人化する、これは大臣がたびたびおっしゃっているように、日本の大学の一大変革だ、まさに大事業だ、大転換だという話でしょう。国会で法律も決まっていない、その本体も、そして政省令も決まっていない、大学がどのぐらいの裁量を持って何をするのかもわからない、こういう段階でどんどん事を進めていいのかというのが私の一番尋ねていることでございます。
あえて申し上げますけれども、法治国家で、行政権の活動といえども、国会の制定する法律に服すること、要求されているのではありませんか。法律ができていない、制定もされていないのに、文科省が既定事実のように事をどんどん進める、しかも大学に押しつける。あなた方は大学は自主的にやっていますと言いますが、決してそんなことはありません。それは、文科省の話をよく聞きながらというか、もう聞かざるを得ない状況の中で進めているわけでしょう。そういうことを、これは大学が自主的にやっていますというようなことで強弁をするのは本当にやめていただきたい。国立大学法人化に関する打ち合わせの開催というのは文科省が招集した、これはもうはっきりしていることですよ、文科省がやった、そのことを私は言っているわけであります。
ですから、こういう国会を無視する、まさに行政サイドの暴走としか言いようのないようなやり方というのは絶対認められない。私は、行政の監視というのは立法府の重要な責務でありますから、立法府のまさにそうした有意性もやはり否定するようなやり方で事柄が進められるということについては、断じて黙認するわけにいかないということでありまして、この点では、ぜひ大臣の御答弁もいただきたいと思います。
○工藤政府参考人 私の発言をもとにして、大分御心配、混乱させまして、まことに申しわけないんですが、私どもも不本意に思われるようなことが多々ございます。それは、旧文部省に入省いたしまして、大学の方々、それから教育委員会の方々、いろいろ御相談に見えたり、お話しに見えたりしてございますが、私どももいろいろ申し上げている中で、先方の方から、こういう案でいきたいけれども、どう思うかねという話に対して、いや、こういうことも考えられたらどうですか、ああいうこともどうですかといろいろなアドバイスなどを差し上げるわけでございますけれども、それが現場に伝わると、いや、文部省はこれでいけと言っている、あるいはこういう指示をしたとか、こちらの趣旨と違う伝達で、時々不本意に思うことがあるわけでございます。
ただ、今回の法人化というのは、国立大学をより活性化するために、その自律性を高めて、より教育、研究等に磨きをかけていただくための大きな制度改革だと思ってございまして、これは私どもがいかに気張っても、私どもだけでできるわけではございません。各大学の実情も十分ヒアリングしながら、各大学自身が準備していただかなきゃいけないこと、あるいは大学全体として国大協等で検討されるべきこと、あるいは私どもも一緒に交えさせていただきながらやること、いろいろございます。
そういう過程で、ぜひ法案の御審議までに、いろいろな、先生からどんな鋭い御質問をいただいても、こんなふうにして大学をよくしていきたいということが答弁できますように、しっかりした制度設計に努めてまいりたいと思いますし、そのプロセスの中で、先生にこれ以上御心配をおかけすることのないよう、私ども、言葉遣いや応対等も含めて、注意しながら進めてまいりたいと思います。
○石井(郁)委員 ちょっと一点、具体的に伺っておきたいことがございまして、それは、各大学で法人化に向けたグランドデザインの策定、中期目標、中期計画の検討に追われているんですね。ある大学では、グランドデザイン策定に当たって、平成十五年度から二十一年度にわたって毎年十名前後の定員削減を予定している。それを聞きましたら、法人化されたら運営交付金が毎年一〇%ずつ削減されるという文科省の指導があったから、それを見込んで人員削減数を計上したまでだというふうに述べているようです。
だから、こういう形で、既定事実のように、やはり押しつけているということが出ているわけですよ。この問題で、法人化後も予算を削減する、あるいは人員を削減するのかという問題で私はきちっと答弁をいただきたいと思っています。
というのは、法人化問題というのは、国立大学法人化になれば、いわゆる国家公務員の定数削減の対象から外れるということがこれまでの説明だったというふうに思うんですね。ところが、事態は全然それとは別個の方向で進んでいるわけであります。
この運営交付金を削減する、あるいは人員を削減するというのは文科省の方針ですか。
○工藤政府参考人 おっしゃいますように、法人化いたしますと、いわゆる定員法の範囲外になりますので、定員削減計画の対象外となるのは当然の前提でございます。
ただ、実際に運営費交付金がどういう形で確保されるか、これからさらに財政当局とも詰めながらシミュレーションしていかなきゃいけないわけでございまして、それを毎年十人ずつ減らすとかそういうことが決まっているわけでも何でもございませんので、いろいろな、どこかでシミュレーションしている中でそういうことの検討がされているのかなと今私どももちょっと唖然としたところでございますが、いずれにしても、国立大学の充実のために引き続き、あるいはこれまで以上に財政の充実が図れますように、私ども制度設計に万全を期してまいりたいと思っております。
○石井(郁)委員 何度も申し上げていますけれども、要するに法人化の法律はまだ形が見えていません。そうでしょう。それなのに、法人化後はこういうことになりますということで、それを事実上させているということが大問題なんですよ。これはもう何といったらいいんでしょうか、法律違反、これは法律がないのに法律違反というのかどうかはありますけれども、そういうことが行われていいのかということを私は繰り返して申し上げているわけです。
この先ほどの打ち合わせの会議のメモによりますと、「法人化後も全国的人事交流は存続したいと考えている。」というようなことで、法人化後の話をもうどんどん進めている。だから、こういうことについては本来、文科省は待ったをかけなきゃいけないじゃないですか。あなた方がいろいろ考えるのは、まあ百歩譲って、あるかもしれません。しかし、大学にそれを押しつけることはできないということだけは私は厳しく申し上げておきたいと思います。
だから、そのことは工藤局長自身もよく御存じで、さきの委員会では、私どもが指示したり、いろいろ申し上げているわけでは全くございません、全然そんなことはありませんと声を大きくされておっしゃったわけでしょう。ところが、国会の答弁と実際に大学とやっていることは違う、そのことを私は質問しているわけであります。今後きちんとしていただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。
さて、それで、きょうは帝京問題の質問に入りたいと思います。
まず、宮路前厚生労働副大臣の帝京大学医学部への入試をめぐる口きき問題について、ここからお聞きをしたいと思うんです。
そもそもこの発端というのは、一月三十一日、木曜日、午後十二時三十分、帝京大学総長より、何々君の受験番号を至急連絡ください、何々様にナンバー照会の上、回答済みです、北山というこのメモがわかったことから国会のいわば大問題となったわけですね。実はこれ、そのメモというのはこういうものなんですよ、ちょっとその写真を持ってきましたけれども。
それで、これに対して宮路副大臣は、冲永総長との関係を、二十年ぐらい前から大学の先輩後輩ということを通して、政治の世界を志す以前からよく存じ上げておりますという関係だ、だから受験番号の通知をしたことがあったことは否めないだろうと思いますとお認めになったんですよ。これはもう国会の答弁ですから、お認めになっているんです。
ところが、帝京大学側というのはどうだったのか。私は本当にこの大学の非人間的な体質というのを感じて、もう本当に肌寒い感じがいたします。これは先ほども出ていましたけれども、七月二十三日、参議院の厚生労働委員会での前田参考人のお話なんですけれども、こう言っていますよね。「政治家の先生からのお問い合わせについては、失礼があるといけませんので、すべて事務局長が対応するというようにしておりますので。ただ、それに今回、事務局長が二月にお亡くなりになっていて実際に本人の口からは聞くことはできませんでしたが、周りの帝京大学の方の調査によりますと、想像しますに、今回の受験番号は事務局長が聞いたものと思われます。」だから、これはもう何度も出ていますように、この事務局長の方はお亡くなりになっておりますので、死人に口なしとばかりに、この方の責任になすりつけようとしているとしか言いようがありません。
それで、まず伺いますが、この前事務局長の横田氏は、いつ入院され、退院され、また、再入院されたのはいつなのか、お示しください。
○工藤政府参考人 帝京大学に確認しましたところ、同大学の前事務局長でございます横田享浩氏でございますが、病院への入院日は平成十三年の十月十六日、一たん退院されたのが同年十一月十日でございます。それから、再入院されたのが本年、平成十四年二月の五日とのことでございまして、残念ながらお亡くなりになられたのが本年の三月八日でございます。
○石井(郁)委員 確かに文科省の言われるとおりだと思います。
実は私も、この横田氏の病状について家族の方から伺いました。肝臓がんだったんですね。それによりますと、十一月十日に退院しましたが、病状がかなり悪い。学校へは、南浦和からバスと電車で疲れてぐったりとなって、出ていってもすぐ帰ってくる状態だった。ことしになってからは、学校に行った記憶は年賀に出かけたくらいで、あとはほとんど寝たきりだった。一月三十一日、この日が問題なんですね。一月三十一日ころは、ちょっと近所へ買い物に出かけようといっても出られない状態だった。このころは奥さんがほとんど付き添っておられました。そして、二月五日に再入院です。
だから、一月三十一日に宮路氏が、事務局長、この方に電話をしたという話をされているわけですけれども、横田氏は学校に行っていない、電話をかけたり受けたりする状態になかった。そうじゃないんでしょうか。こうした事実、文科省は、調査をしたら把握できたと思いますが、把握していますか。それをなくして、前田氏の陳述だけをうのみにしているんじゃありませんか。お答えください。
○工藤政府参考人 私どもは現地調査しまして、現にいる教職員、それからもとの事務局長も含めていろいろ聴取したわけでございますが、残念ながら、先ほど来の回答でございました。
それから、亡くなられた横田事務局長の大学への出勤状況につきましては、出勤簿で確認してございまして、先生御指摘のようなあたり、つまり、再入院される前についてある程度出勤しておられたということが確認されているところでございます。
○石井(郁)委員 一月三十一日も出勤されていたんですか。一月三十一日のことをお聞きしているんです。
○工藤政府参考人 失礼申し上げました。
訂正させていただきますが、御指摘の一月三十一日の出勤については、出勤簿でちゃんと出勤しておるということを大学側から聞いたということでございます。
○石井(郁)委員 それもまた聞いた話で、では、現物は見ていないということですね。出勤簿そのものを見ていないということですね。こんな調査というのはあるんでしょうか。現物を見ていない、話だけ聞いている。これだったら、もう帝京大学の報告をうのみにしている、文科省、まずそこですよね。
それで、私は、やはりこの受験番号、この人が、指示どおりにいたしますのでという依頼に対して、受験番号を至急お知らせくださいと。これは、このメモ、帝京大学冲永総長とはっきり書いていますよ。冲永総長が、君、何々君の受験番号を知らせてほしいと。だから宮路事務所の側は、これはまた宮路前厚生労働副大臣その人なのか事務所の方なのかという問題は残りますけれども、事務所の方が連絡しているんです。冲永総長とやりとりをしているんですよ、このメモは。
ですから、そういうことに対して、国会に呼ばれた前田参考人が、国会の陳述の中では、冲永総長に尋ねたけれども、本人は全く心当たりがないと言っている、こういう答弁をされているんですよ。これもまた私は信じられない。ここにはちゃんと電話したとやりとりがあるわけですから。
ということになりますと、文科省は、こうしたことをやはりまず、現物も確かめていない、冲永総長自身にも確かめてもいない、それでこういう文科省の調査報告書になっている、概要になっているということで、先ほど来、事務局長の責任と判断でやった、それを覆すような事実はなかったと言い切っているわけでしょう。ちゃんと調査していないじゃないですか。一体文部省はどんな調査をしたんですか。もう一度、この冲永総長に関する部分についてお答えください。
○工藤政府参考人 当日は、今の御指摘の件も含めて、もちろん視野に入れながら調査に向かったわけでございますが、何しろ今回の主目的は、大臣からもお話し申し上げていますように、不適切な入試の合否判定があったかないか、それと寄附金との関係がどうであったかということでございまして、その関係の資料の精査に忙殺されたこともございまして、今の出勤簿の現物の確認まではちょっと至らなかったのは、手ぬるかったと言えば手ぬるかったかもしれませんが、そういう状況でございました。
それから、冲永総長自身は入院中で、私どもも面会できませんでしたので、御本人から確認には至りませんでしたけれども、さきに七月十六日付で大学の理事長から報告いただいておりますいわゆる口ききの関係について言いますと、総長も含めてそれを受けていないということでございまして、私どもとしてはそれ以上なすすべがないという状況だったのでございます。
○石井(郁)委員 ですから、もうとにかく大学側の報告を受けているだけ、現物にも本人にも当たっていない、それをもって調査の概要、調査報告ということですから。私はこんな調査報告はないと思いますよ。
冲永総長については入院中というお話、わざわざなさいましたが、それは知られている話ですけれども、一カ月の入院でしょう。病床に行ったっていいじゃないですか。面会謝絶というような状況じゃないでしょう。何で会いに行かないんですか。そんな調査というのはないと思いますね。
にもかかわらず、今回の現地調査の概要で、国会議員及び秘書の問い合わせについては、いずれの者も受けたことがないと言っているというわけで、だから、受けたとすれば、もうあなた方がわざわざ調査を外している冲永総長以外にないんですよ。
事実上、帝京大とそういう寄附金行為というのがもうずっとあるわけだから、問題は、どういう、だれが、どうしてこういうことが可能になったかということが、今きちんと真相を明らかにしなきゃいけないわけですから、その大事なところを何も調査もしないで、事務局長だけの判断、責任でやったこと、そう言い切るという根拠はないでしょう。これはもう、どうしたって私たちはこれで納得できません。
それで、冲永総長の関与については、私は今後いろいろ出てくると思います。
これも、先日の参議院の文教科学委員会で畑野議員が取り上げておわかりのとおりでございますけれども、帝京安積高校の組合員銃撃事件というのがあったんですよね。これはもう結審している、刑も確定している問題ですが、そこでの供述調書の中にこういうくだりがあるんですよ。これは、組合員の銃撃事件というのは本当にとんでもない話ですが、これを指示したのがこの安積高校の元事務局長で石橋氏という方ですけれども、その方がこういう供述ですよね。
私が神田さんから頼まれて、神田さんというのはある建設会社の方ですが、学園の斎藤理事長から帝京大学の冲永総長に働きかけをしてもらった結果、神田さんの次男は無事帝京大学経済学部に入学することができたということがあったのです。そして、私は、たしか平成七年一月ごろ、神田さんからその謝礼として現金百万円をいただいたのです。ちなみに、神田さんは帝京大学の冲永総長に対しては一千万円の謝礼をしたとのことでした。
これは、ちゃんと裁判の記録ですよ。供述調書でしょう。例えば、これだって参議院の委員会で明らかにしているんですから、こういうことだって調べなきゃいけないじゃないですか、冲永総長自身に当たったりしながら。そういうことをしないで、こんな事務局長だけの責任、判断という調書が出てくる。これはもう、あなた方がまじめに調査したなんて到底思えません。
この調査報告書はこう書いていますよね。医学部の寄附金授受の取り扱いは、他に知らせることなく事務局長の判断と責任において行ってきた。私たち、これは真っ赤なうそで、総長自身の判断で私は取り扱っているというふうに考えています。これは、私は考えています。文科省はどうですか。
○工藤政府参考人 私どもでまとめましたレポート、受け売りで、かつ、それを私どもとして納得したということではございませんで、先ほど御指摘の学内外からのいわゆる口ききといいましょうか、問い合わせについては、先方の話としてこういうことであったということで、それを私どもとして否定も肯定もできる資料が得られなかったので、そうとどめているわけでございます。
それと、冲永総長自身は関与していないというのは、先ほど申しましたように、七月十六日に文書で私どもに報告があったわけでございまして、それも含めて、先方の主張はこうであったということでございます。
それと、今御指摘の、事務局長がお一人で、本当にそう信じているのかというお話でございますが、私どもも大変不自然な話だと思ってございまして、随分周辺の方々も含めて事情聴取し、あるいは関係の書類等も見たのでございますけれども、少なくともそれを覆すような新たな資料は発見できなかったのでございます。
ただ、多額のこれだけの寄附金を一人で預かり、あるいはその配分まで処理するというのはいかにも不自然な話でございまして、仮に一歩譲って事務局長一人でおやりになったとしても、当時の経営陣の管理責任というのは大変重いのではないかと思っているところでございます。
○石井(郁)委員 三日間にわたった調査報告書は、しかし、これで終わりではないという話もございますから、これからもされるんでしょうけれども、しかしながら、かなりある結論を断定的に出されていますから、これは十分な調査の上で出たものではないということで、そのような含みで御答弁されているように思いますけれども。
ちょっと角度を変えまして、私、寄附金の問題でもお尋ねいたします。
これはぜひ大臣に御見解をいただきたいんですけれども、今回の文科省の調査でも、正規に処理されず簿外処理による寄附金額は、一人当たり約四千六百万円。本当に高額です。私のところにもやはり内部告発的なというか、いろいろなことがございます。ある方は入試の前に一億八千万円払っているということです。だから、そういう寄附金の額の高額さというのは、本当に庶民の感覚や普通の国民の感覚から考えられないでしょう。こういうことがまかり通っているという、つまり、入試あるいは大学受験ということに巨大なお金が動くということは、これは文科省としてどう考えているのか。これは、最も公正公平であるべき入学試験という問題、あるいは入学ということをめぐって、こんなことは本当に異常です。この点での大臣の御認識を伺っておきたいと思います。
○遠山国務大臣 大学自体が、社会的な存在として、本来あるべきすぐれた教育研究を展開してもらうためにあるわけでございまして、特に入試に関連してお金が動く、あるいはお金、寄附金につきまして、文部省が既に出しました通知に反してそういうことが行われるということは極めて遺憾でございます。
今回、そのことにつきまして、過去五年にわたりましてそういうことが毎年行われてきたということが明確になったわけでございます。額についてもわかったわけでございまして、簿外処理も行われていたということでございまして、いずれも、私どもとしては、こういう大学の入試にかかわる一連の事件につきましては極めて遺憾というふうに考えているところでございます。これに対しましては、厳正に対処していく必要があるという姿勢でおります。
○石井(郁)委員 ずっと出ていますように、どうもこの帝京大学というのは、こういう多額の寄附金集めということでいろいろ蓄財をしているんじゃないかという問題もあるわけですけれども、やはり教育機関がこういうことをしていいわけはない。まさに教育の名にかりてお金集めをしているという点では、幾つも本当に反社会的なというか、問題をはらんでいると私は考えております。
またちょっと戻りますが、その寄附金を扱っているのは事務局長の専権事項で、冲永総長とは全く関係がないということは今答弁の中で出ているわけですけれども、それは余りにもおかしいわけで、この大学では研究費のわずかなお金の支出でも実は総長の決裁が要る、これは御存じでしょう。私も大学の方からお聞きをしました。これは、研究費の出金願書、願書を出さなきゃならないんですね。ちゃんと総長決裁日とありますよ。これは、大学関係者によると、本当に文具の果てまで、小さな支出まで総長に全部出さなきゃいけない、総長決裁が必要。だから、お金については、やはり出し入れ、総長のところで集中して行われているということは明らかじゃないですか。
私は、この調査報告書の記載をこの限りで信用したとしても、疑惑の核心になるのは、入学者総数の約一割に存在する入学手続前の寄附金納付者、これに、事務局長に寄附金を持っていくように指示したのはだれかということなんですよ。何で事務局長のところにちゃんとその申し込みが行くんですか。これはどう考えたって、なぜなのかという説明が今までありません。どうして保護者が寄附金の納付先が事務局長であることを知るのですかということですね。やはり最初に、宮路さんの話に戻りますように、帝京大学の総長からいろいろ行っているんじゃないですか、指示は。その辺は、調査を通して、今どういう御認識ですか。
○工藤政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、事務局長が一人で処理した、しかも寄附者との関係が、本当にどうして事務局長にストレートに接触できるようになっているのか、先生と同様の疑問を私どもも抱いて、いろいろ追及したのでございます。
それにしても新たな事実の解明には至らなかったということでございまして、先ほど申し上げましたように、今、向こうの主張は主張としてありながら、私どもとしてはやはり大学経営陣全体の責任の重さというのは今後追及していかなきゃいけないのではないかと思っているところでございます。
○石井(郁)委員 ですから、やはり先般出されました帝京大学の特別調査委員会のこの報告書も、そして今回の文科省の現地調査の概要も、私、重大な事実に触れていない、あるいは真相を隠している、真実を隠しているというふうに、隠しているというか、真実にはほど遠いと言わなければならないと思っています。
それで、委員長にぜひお願いをしたいと思いますが、冲永氏を呼ぶということは決定的に大事だというふうに思います。本委員会に必ず冲永氏を参考人として呼ぶことにとどまらないという話も先ほどからありますが、もう証人喚問が必要じゃないのかということも含めて、ぜひ協議をしていただきたい。また同時に、宮路前副大臣についても、参考人として呼んでいただきたいということをお願いしたいと思います。
○河村委員長 理事会で検討させていただきます。
○石井(郁)委員 私、最後に、合否判定会議の実態についてお聞きをします。
今回は不正入試はなかったというのが文科省の調査の一応の結論になっておりますけれども、やはり入試を判定するのは教授会ですよね、教授会です。
そこで伺いたいんですが、帝京大学が提出した調査報告書によれば、帝京大学入試の合否判定を決定する教授会では、実は出席した教授に成績原簿が手渡されていません。総長がいて、わきに学部長がいて、医学部だったら病院長がおられて、そして口頭で合格点と人数だけを示す、何点まで、何人ということのようであります。出席した教授はそれを承認するだけだと。だから、非常に短い時間で教授会は終わっているということが明らかになりました。
この実態については、私もさきの委員会でいろいろお聞きをしておりましたので、こういう実態じゃないのかということを指摘したとおりでありますけれども、今回は、文科省の現地調査の概要でも、それが事実だということが明らかになったと思うんです。つまり、どの受験者が合格したのかということは教授会は知らないということです。それから、教授会は合格者の確定もしていないということです。この事実は文科省はお認めになりますね。
○工藤政府参考人 学部長や医学部の教授等からのヒアリング、それから、教授会の議事録とか関係の書類等を精査しまして、合否判定の教授会において、合否判定資料というのは成績順に並べたものを一部のみ、一部だけ作成して、総長や学部長等がこれを見ながら、総長というのも学長であるとともに教授でもいらっしゃいまして、教授会メンバーなわけですが、限られた方が見ながら、合格者数と合格最低点が総長から発表され、了承されているというのはおっしゃるとおりでございます。
ただ、追加合格の繰り上げも含めまして、そのリストに載った成績順にどこまでどう繰り上げるかということも含めて総長と学部長に一任することも教授会で了承されているということでございまして、教授会でどこまで決めたかというと、そういう委任も含めて、教授会として一応判定がなされているという理解をすべきじゃないかと思っております。
○石井(郁)委員 総長と学部長、学長と学部長に一任を教授会でしているということですが、ただ、それだって、学長の側から、一任してくれという形で言っているんじゃないですか。それを断れないという関係に教授会があるということの事例だというふうにも私は思います。
やはり、成績原簿というのが一通しかない、一通しかないんですよ。これはぜひ皆さん、文科省、各私学、いや、国立だってそうですけれども、入試の合否判定というのはどういうふうにしているか、あなた方が一番よく御存じでしょう、これは。教授会の中で全員が見るんじゃないですか、原簿は。ことしの成績はどのぐらいだと。成績が、例年と比べて何点、非常に合格点が高かったとか低いとか、それを判断するのも教授会でしょう。
ちょっと私の例を申し上げて恐縮ですけれども、私がいた大学では、本当に大きな教授会ですけれども、全員見ましたよ、全員。そうやって、それはもちろん受験番号しかわかりません、個人の名前なんか一切わかりませんけれども、全員見て、ここまでにするということを決めるのが教授会じゃないですか。
だから、極めて異常なんですよ、ここの教授会は。異常でしょう。そういう異常で行われているのに、不正入試は行われていない、こう言い切るというのも、いかにも私は、きょうは帝京大をかばっているとしか言いようがないんですけれども、一体なぜ合否判定をきちんと教授会で、教授全員が名簿、資料を見てやらないのかということについて、大学側はどういう説明をしているんですか。
○工藤政府参考人 大学側の御説明によりますと、情報漏えいを防止するためということでございまして、ただ、他の教授は、教授会メンバーであれば、閲覧することを禁止しているわけではなくて、希望すれば見ることができる状況であるという御説明でございます。
ただ、今御指摘がありましたように、教授会でどういう合否判定をするか、それぞれの大学の教授会が決めるべき話でございますが、氏名を秘して、受験番号で、それを全員で点数を審査しながら決めるということもごく通例で私ども承知しているわけでございますが、一部、サンプリングで聞いてみますと、やはり情報漏えいを気にしながら、かなり限られた部数で合否判定をするという例もあるようでございまして、それはそれぞれの大学の教授会の見識の問題ではないかと思うわけでございます。
○石井(郁)委員 私は、工藤局長がそういう御認識だったら、やはり、本当に大学の教授会の自治というものに対する認識はなっていないと言わざるを得ないですよね。今の話は、逆に言えば、入試情報というのは総長とその取り巻きだけしか知らない、知らせないようにしているということなんですよ。そういう話ですよ。
それから、教授会のあり方はいろいろあるとおっしゃいましたけれども、学校教育法の施行規則六十七条、入学、退学、転学云々、教授会の議を経て、学長が定めると。教授会の議を経てということになっているじゃないですか。そうでしょう。この大学では、教授会の議になっていないんですよ。総長と学部長が一方的に人数を決めるんですから、点数も決めるんですから。後は一任ですから。
こういうことをもって、だから私は、不正入試が起こり得るやはり条件というか温床というか、ここにあるわけでしょう。それになぜ目を向けないんですか。こういう実態にもかかわらず、教授会は機能していると先ほどおっしゃいました、他の委員の質問に対して。私は、これは本当に驚きました。教授会の自治が成り立っていないし、大学の民主主義が成り立っていないというのが今回の帝京大学の実態じゃありませんか。
だから、そういう文科省の認識では、やはりこの帝京大学の問題を明らかにすることはできないというふうに言わざるを得ません。それから、管理運営体制の正常化をやはり図っていく、教授会が教授会らしく審議の場にしていく、入試判定を本当に公正明朗にしていくということについて、今後とも実態解明をきちんとやるべきだということを強く申し上げて、質問を終わります。



Copyright(C)石井郁子事務所 2001
本サイト内のテキスト・写真等全ての掲載物の著作権は石井郁子事務所に属します。
リンク希望の方は、お手数ですがメールにてお知らせください。
石井郁子トップページはこちらから