2002年6月17日「しんぶん赤旗」より

教員の自主性支援こそ

参院委で畑野議員

研修義務付けは不当


 畑野君枝議員は4日の参院文教科学委員会で、教員の能力・適性等を評価して10年目の「研修」を義務づけることの不当性をとりあげました。

 文部科学省の矢野重典初等中等教育局長は「研修は職務研修と自主研修であり」「いずれも同じように重い」と答弁。

 遠山敦子文科相は、これまでの自主研修だけでは指導力向上を図るには必ずしも十分でないとして、「(10年研修を)義務づける」と述べました。

 教育公務員特例法の第19条1に「教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない」と明記した理由として、同法制定の提案理由補足説明(1948年)のなかで当時の政府が、「権利としての研修をなし得るような機会を持たなければならない」と答弁しています。畑野議員はこの事実をあげ、任命権者は「自主的、主体的な研修活動を奨励、支援していく」条件整備が大切であり、法案はそれとは正反対だと批判しました。


2002年6月5日「しんぶん赤旗」より

主催国政府の努力を

W杯空席問題で畑野議員

参院


 日本共産党の畑野君枝議員は、4日の参院文教科学委員会で、サッカー・ワールドカップ日韓大会会場の観客席に大量の空席が生まれている問題について、主催国日本の政府として、早急な解決のため努力するよう求めました。

 畑野氏は、3日までに日本で開催された5試合だけですでに5万席近い空席が出ていることを指摘。「4日開催の日本戦で大量の空席が出た場合、運営上の失態にもなる」と述べ、政府としての事態解決に向けた努力を要求しました。

 文科省の岸田文雄副大臣は「多数の空席が発生したことは大変残念。関係者に対し、強く善処を求めていかなければならない」としたうえで「文部科学省としても、引き続き関係者に働きかけ、国民が納得できる形で対応してもらわなければならないと考えている」と答弁。遠山敦子文科相は「さらに知恵を絞ってできるだけのことはやっていきたい」と述べました。


154-参-文教科学委員会-12号
2002年06月04日
畑野君枝議員 質問部分
林紀子議員 討論部分
採決 会議録


平成十四年六月四日(火曜日)
   午前十時二分開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         橋本 聖子君
    理 事
                阿南 一成君
                仲道 俊哉君
                小林  元君
                風間  昶君
                林  紀子君
    委 員
                有馬 朗人君
                有村 治子君
                泉  信也君
                大仁田 厚君
                加納 時男君
                後藤 博子君
                中曽根弘文君
                岩本  司君
                神本美恵子君
                輿石  東君
                鈴木  寛君
                山本 香苗君
                畑野 君枝君
                西岡 武夫君
                山本 正和君
   国務大臣
       文部科学大臣   遠山 敦子君
   副大臣
       文部科学副大臣  岸田 文雄君
   大臣政務官
       文部科学大臣政務官       池坊 保子君
   事務局側
       常任委員会専門員        巻端 俊兒君
   政府参考人
       文部科学省生涯習政策局長   近藤 信司君
       文部科学省初等等教育局長   矢野 重典君
       文部科学省高等教育局長     工藤 智規君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○教育公務員特例法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)

    ─────────────

○畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。
 まず最初に、今行われておりますワールドカップサッカーのチケット問題、特に空席問題について伺わせていただきます。
 今回、史上初の日韓共同開催ということで大変白熱をしております。今日からはいよいよこの日本で日本代表の試合も始まるということになっております。
 しかし、新聞などの報道でも「日本戦空席数千か」などと、日本戦のチケット購入を目指しながら一次販売で約二百倍の厳しい競争率で落選をした多くのサポーターにとりましては、大量の空席が出た場合に、本当に許し難い運営上の失態ということにもなり得るというふうに思うんですね。三日までに日本国内で開催された五試合だけでも五万近い空席が出ておりますし、三日の新潟ドームでの空席数は収容総数の二五%を超える高い比率になっている。こういう事態というのは、できるだけ多くの人がスタジアムで直接ワールドカップを楽しむという開催趣旨からいっても極めて遺憾のことだというふうに思います。
 ある知事さんからは、このまま推移すれば海外販売チケットを扱うイギリスの代理業者バイロム社を訴える、こういうような声も出ておりまして、もう各自治体が本当に努力をこれまでされてきたわけですけれども、主催国日本としても、FIFAやあるいはJAWOCに向けて本当に事態解決に向けて努力していただくということを主催者である日本の政府として遠山文部大臣からも、この事態の早急な解決のための御努力をお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○副大臣(岸田文雄君) まず多数の空席が発生したことの原因は、正式にはFIFAから説明がなされていないわけですが、そのほとんどがバイロム社が取り扱った海外一般販売分の未販売分及び外国サッカー協会販売分の返却分が大量に発生したものだというふうに推定はしております。
 いずれにしましても、そういった理由があるにせよ、多数の空席が発生したこと、大変残念なことであり、関係者に対してはやはり強くその善処を求めていかなければいけないと考えております。
 昨日、文部科学省としましてもFIFAに対しまして要請文書を送付したところでありますし、また昨日、FIFAとJAWOCが東京で会合を持ちまして、これに対してどう対応するのか、その検討をし、発表をしたというふうに承知しております。
 先ほど申しました仕組みの中での発生でありますが、文部科学省としましても引き続き関係者に働き掛けをして、この問題、国民が納得できる形でその対応をしてもらわなければいけないというふうに考えております。

○畑野君枝君 本当に前大会に次いで二度目のこういう事態が起きているわけで、ファンは二の次、利益第一ではないかという声も上がっているわけですね。そういう点では文部科学省としてもいろいろな取組をされていらっしゃるということですが、是非、再度、遠山文部科学大臣にそういう立場を御確認させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(遠山敦子君) 正に私どもも同じ気持ちでございまして、実は波状的にここ一週間ぐらいこの問題をもう一生懸命やっておりまして、私からもFIFAの会長に出しましたし、今、副大臣から説明いたしましたように局長からも出しまして、今もなおやってもらっております。いろんな案を出してFIFAと交渉するようにやっておりまして、そして、特に今日第一戦でございますので、その会場でできるだけ多くの人が見てもらえるように今も鋭意努力中でございます。
 ただ、問題なのは、FIFAが請け負った分につきましては、そこでFIFAが売ったといったものにつきましては、日本で仮に空席であっても日本側が売るとなりますと、これは契約上の違反になりまして、大変難しい国際上の問題になるという点もございます。
 いずれにしましても、今、本当にじゃFIFAが受け持った分については売れたのかということについて確認をし、もうあとしばらくしますと担当の方でその結果について公表さしていただくつもりでございますが、刻々と開会が迫っておりますし、その点について今、同時並行的に一生懸命やっております。今日のことは、できることということは今一生懸命やっておりますが、同時に、今後まだ幾つも試合がございますので、更に知恵を絞って、できるだけのことはやっていきたいと思っているところでございます。

○畑野君枝君 九日には横浜ということも含めて、今後の対応も含めて、実態を明らかにしていただきながら、是非努力を強めて進めていただきたいというふうに思います。
 さて、教育公務員特例法の一部改正案について具体的に伺います。
 まず最初に伺いたいのは、そもそも教職員の研修の主体はだれなのかと。これは一般公務員とは違う態様になっていると思いますが、その点について伺います。

○政府参考人(矢野重典君) 一般の公務員との比較において御説明申し上げますと、一般の公務員につきましては、国家公務員法及び地方公務員法におきまして、勤務能率の発揮及び増進のために研修を受ける機会が与えられなきゃならないというふうに定められているわけでございますが、一方、教員につきましては、教育公務員特例法第十九条では、教育の本質が児童生徒との人格的な触れ合いにあることから、研修について特例が設けられております。
 具体的に申し上げますと、第十九条第一項におきましては「職責を遂行するために、」とされておりまして、教育公務員にとって研修が職務遂行上不可欠なものであるというふうに位置付けされております。また、教育公務員は絶えず研究と研修に努めなければならないとされておりまして、教育公務員にとりましては、教員にとって教員研修の必要性と重要性についての自覚を促すために、教育公務員自身に継続的な努力義務が課せられているところでございます。更に申し上げますと、第十九条二項におきましては、任命権者の任務につきましても、より積極的に研修に関する計画を樹立し、その実施に努める旨規定されているところでございます。
 なお、研修の主体についてのお尋ねでございましたが、そういう意味では、第十九条第一項の研究及び修養、すなわち研修につきましては、これは自己研修ということと任命権者が行う研修、両方の研修を含んでいるわけでございますので、そういう意味では、任命権者が行う研修については、これは研修の主体は任命権者でございますし、自己研修、自主研修については、これは自らが行う、自らが研修の主体ということになるわけでございます。

○畑野君枝君 そうしますと、そもそもそれは主か従かというふうに聞いた場合に、大体法理的には最初に来た方が主になると思うんですが、そもそもそういう点では、より重いのは、主体は一項ですか二項ですか。

○政府参考人(矢野重典君) それはどちらが重いとかどちらが従ということではございません。いずれも大事なものでございます。

○畑野君枝君 その認識の論議をしている時間はないので、私の考えを申し上げておきますと、それはそもそも一般公務員と違って特例法を作った立法の趣旨があるというふうに思うんですね。
 この法律を作った当時の一九四八年、創設の際に提案理由の補足説明というのがされております。その中では、権利としても研修を成し得るような機会を持たなければならない、これは一般公務員と違うんだ、だから特例法を作るのだということが言われ、そもそも大臣の説明の中でもそのことが言われてきたわけでございます。
 つまり、なぜかと言えば、ユネスコ・ILOの教員の地位に関する勧告の中では、いろいろと言われておりますけれども、例えば、教職は専門職と認められるものとするとか、あるいは、すべての教員はその専門職としての地位が相当程度教員自身に依存していることを認識して、そのすべての職務においてできる限り高度の水準に達するよう努めるものとするということで、子供たちに直接接する教職員そのものが自ら高めて意欲的に行うものということが導き出されるというふうに私は思います。
 そして、その点につきましては、二〇〇〇年の国会での審議の中でも、教養審の第三次答申を引用しつつ、そういう政府答弁が行われてきたというふうに思うんです。政府の答弁、政務次官ですが、当時、「第三次答申では、第一に」ということで、長くなりますから省略しますが、「「教員が生涯を通じてこのような資質能力の向上を図っていくためには、何より日々の職務に傾注することにより様々な力量を身に付け、それらの職務の遂行を通じて見いだされた課題について研修を行い、その解決を図っていくことが必要である。」「このため、今後は、個々の教員の自発的・主体的な研修意欲に基づいた研修を奨励し、そのための支援体制の整備を図ること」」、このように言って、「文部省としても、」「自主的、主体的な研修活動を奨励、支援していく」、そして、「もっと選択制、幅の広い選択を持たせて、みずからの意思によっていろいろな研修が選べるような形もとっていく必要があろうか」と、このように御答弁されているわけなんです。
 こういう自主的、主体的な研修を奨励する、これは文部科学省の立場としては変わっておりませんね。

○政府参考人(矢野重典君) 今の具体的な答弁分かりませんけれども、私が推察いたしますのに、これまでともすれば研修のありよう、とりわけ教育行政の在り方としては職務研修に重点を置いてなされてきたという、そういううらみがある、そういう意味では、今後は職務研修と併せて自主研修の奨励ということについても行政としては力を入れなきゃならない、そういう趣旨で恐らく答弁をしているのではないかと思うわけでございます。
 そういう意味で、私どもといたしましては、教員の資質能力の向上のためには、職務研修とそれから自主研修両々相まってその実を上げることができるということでございますので、私どもとしては、今申し上げたようなスタンスで今後ともそういう研修の充実について取り組んでまいりたいと思うわけでございます。

○畑野君枝君 自主的、主体的な研修活動を奨励するというのは当然のことだと思うんです。しかも、それは第一項がそういうふうに主体者は教育公務員というふうにまず述べて、そして行政の側は、正に教育基本法十条にもかかわりますけれども、条件整備を本当に進めていく、奨励していくというふうになっているからだというふうにも思います。
 それで、そもそも自主的な研修を推進していく、推奨していくというふうにも言ってこられたわけですが、また既にそういう自主的な研修が行われているのに、なぜ今回、十年の義務付けをされるのかということを伺いたいのであります。
 個々のニーズに沿ってというふうにおっしゃっておりますけれども、教員の希望や自主性に沿って創意工夫をすればいいことであって、それは三次答申でも言われていることであって、それが任命権者の行う奨励ということになるのではないかと思いますが、その点いかがですか。

○国務大臣(遠山敦子君) 個々の教員の資質向上のために自主的な研修を行うことはもちろん大事でございますし、それぞれが工夫をされたり、あるいは大学院へ修学するための休業制度を国としても作ったり、様々な機会をとらえて自主研修に励んでいただいていると思いますが、その自主的な研修のみに任せるだけでは、すべての教諭等について今日求められております指導力向上を図られるかというと必ずしも十分ではない。このために、今回、教育公務員特例法の一部を改正いたしまして、すべての教諭等に中堅教員として今後更に活躍していただくために、個々の能力や適性等に応じた研修を実施するよう、任命権者に十年経験者研修を義務付けることとしたものでございます。
 なぜ、じゃ十年研修かということにつきましては、これまでも再三お答えしておりますように、既存の研修、十年前後に行われております研修だけでは十分でない、また個々の教諭の能力、適性に応じた研修を行っていく、そういうことの必要性から今回法改正をお願いしているところでございます。

○畑野君枝君 聞いても、なかなか理由としてそういうふうにはっきりと分かるかというと、本当に分からないと思うんですね。
 実際、いろいろなところでいろいろな努力をされているところもありまして、これは例えば埼玉県の十年次教員研修の手引というのがございますけれども、いろいろな選択メニューなども作って努力をしているんですね。それで、運営委員会などに現場の教員も来て、そして去年やった中身などの改善なども含めて努力をされていると思うんです。
 今回、十年次研修を義務付けるということになると、こういう各県ごとのいろいろな創意工夫、そういうものは一体どういうふうになっていくんでしょうか。

○副大臣(岸田文雄君) 文部科学省としましても、研修の内容ですとか方法につきまして、基本的な事項について想定しているものを示していきたいというふうには思っておりますが、これはあくまでも参考として示すものでありまして、具体的な研修内容、方法については、各都道府県教育委員会等がその権限と責任に基づいてそれぞれの事情も勘案した上で創意工夫して決定するべきものであるというふうに考えております。
 ですから、決してそういった創意工夫をつぶすものではありませんし、逆に文部科学省としましては、従来、各都道府県教育委員会を始め、各任命権者でこれまで蓄積してきた創意工夫、こういったものを是非これからも生かしていただいて、有意義な、この趣旨に合った研修が行われることを逆に期待しているというのが文部科学省のスタンスであります。

○畑野君枝君 それで、今度の法案で新たに入っているのが、十年目研修の内容を能力、適性等で評価し計画書を作るということなんですよね。
 それで、教育もそうですし研究と修養もそうなのですが、研修もそうだと思うんですが、まず本人のやる気というか意欲というか、そういうのがあってやっぱり人というのは伸びていく、変化していくというふうに思うんです。しかし、何でその個々人を評価して選別をしていくのかと。
 さっき、このそもそもの立法趣旨である提案補足説明でも、権利としてというふうにこれを認めてきたものを阻害するものになるんじゃないかと、大変懸念があります。そういう点での、自らの希望だとか、こういうところに自分は研修に行きたいという自己評価、そういったものは一体どういうふうになるんでしょうか。

○副大臣(岸田文雄君) 研修を効果あるものにするためにそれぞれの意欲とか主体的な姿勢、これを大切にしなければいけないというのは御指摘のとおりだと思います。ですから、今回の制度の中で評価や研修計画書の作成に当たり、教諭等自身が自己評価を行うこと、あるいは教諭等の意見や希望を参考として聴取すること、これは望ましいことだというふうに認識をしております。
 ただ、この十年経験者研修は職務命令に基づく研修である以上、本人の自己評価ですとか意見等をそのままその研修計画等に反映させるということは不適切だというふうに思っております。そういった考え方の中でその自主性、意欲を尊重する研修が図られるということを期待しております。

○畑野君枝君 論議の中でも、加えまして評価を受けると、自分の希望する中身でないかもしれない評価を受け、研修を受け、そしてその後にまた研修結果の評価も受けるというような話がされております。そういうことが実際どのように進められるんでしょうか。

○副大臣(岸田文雄君) 研修後の評価についての御質問だったと思いますが、終了時の評価につきましては法律上の定めはなく、各任命権者の判断にゆだねられているというのがその実態であります。実際はそういうことになっております。

○畑野君枝君 先ほどの議論にもありましたけれども、一番懸念しているのは、評価をされて研修を受けて、その結果がどうだったかというまた評価を受けて、その先どういうふうにつながっていくのかという出口なんですよ。さっきもお話があったように、特に重大なのは、二〇〇二年、今年出された中教審答申が、免許更新制十年の可能性、検討したけれども慎重にならざるを得なかった、無理だと。その代わりに専門性の向上を図るために研修の評価をしなくちゃいけないと、そういうことを言い出したわけでしょう。
 そして、そこでは、学校現場に戻ってから余り改善が見られない場合は更に特別な研修を課すべきであり、それでもなお研修成果が現れない場合は他職種への配置転換の措置にもつなげることも必要だと。そういうふうに評価されて、研修して評価されて、また研修して評価して、駄目だったらもう本当に他職種に配置される、こういうことになるのかどうか。あってはならないと思うんですけれども、その辺はどうなんですか。

○政府参考人(矢野重典君) 少し整理しながら申し上げたいと思います。
 一つは、研修後の評価についてでございますけれども、これは先ほど副大臣からもお話し申し上げましたけれども、法律上の定めはないわけでございますけれども、終了後の評価についても、これは私どもとしては望ましいと、実施することが望ましいというふうに考えているわけでございます。ただ、この研修終了後の評価といいますのは、これはその結果をその者に対する今後の指導やあるいは研修に活用していくという観点からなされるものであるということについて、まず御理解をいただきたいと思うわけでございます。
 そこで、中教審において触れております指導が不適切な教員についてのお話がございましたけれども、このいわゆる指導力不足教員につきましては、これは教職研修が十年に達するか否かにかかわりなく迅速に把握して、直ちに指導力の改善等に向けた指導、研修を行うことが必要であるわけでございまして、そういう意味では、この十年経験者研修とは別途に対応すべきもの、別途のものとして考えていただく必要があるし、私どももそういうふうに考えているわけでございます。

○畑野君枝君 こんなような研修結果の評価ということを、今まで法律でも触れたことないし、今その法律にも書いていないということなわけです。しかも、おっしゃったように、今度の二〇〇二年度の中教審答申の、そういうことではないということですね、確認をしますけれども。
 今度の研修の評価というのは、こういう他職種へ異動させるということではないということでよろしいんですか。

○政府参考人(矢野重典君) おっしゃるとおりでございまして、この研修後の評価というのは、先ほど申し上げておりますように、その者の今後の指導や研修に活用していくというものでございまして、他職種への転職といったような観点で出されるものではございません。

○畑野君枝君 続いて、それでは、そもそも能力、適性等の定義や、あるいは評価の基準ですね。衆議院で答弁されたのは教科指導の評価基準だったと思いますが、それ以外の、つまり教科外指導の基準ですね、こういったそもそもの話について伺いたいと思います。

○政府参考人(矢野重典君) 少し前置きをさせていただいて恐縮でございますけれども、私ども、今回の研修におきましては、能力、適性等を評価して、それに基づいて研修計画を策定して実施することとしているわけでございます。
 その場合の能力、適性等の等でございますが、等の内容といたしましては経験ということが含まれておりまして、具体には個々の教員等の採用後の研修履歴でございますとか、十年経験者研修を受講するまでに勤務した学校の状況等が含まれるわけでございます。そういうものを、能力、適性等を総合的に評価をして行うわけでございます。
 そこで、評価の基準でございますけれども、評価の基準につきましては、これは基本的には、まず事前に行う評価でございますが、これは個々の教諭等の教科指導、生徒指導等に関する指導力を詳細に分析して、その教諭等の能力、適性に応じた研修としてどのような研修を行うべきかと、そういう観点に立って行う、そういう研修でございます。
 したがいまして、これは都道府県教育委員会が実施する研修事業の内容にかかわってくるわけでございますけれども、かかわってかなり変わって、その内容にかかわって異なってくるものでございますけれども、我が省といたしましては、評価の基準等、評価の具体的な方法についても一つの参考となるものをお示しをしたいと考えておりまして、例えば衆議院では教科指導について具体的な例をお示しをいたしましたけれども、例えば生徒指導について申し上げますれば、日ごろの学級経営の状況でございますとか、あるいは個々の児童生徒の把握の状況、さらには保護者との関係、地域との関係等を評価項目といたしまして、それらが適切になされているかどうかを実例を示しながら評価を行うこと、それを一つの参考例としてお示しをしたいと考えているところでございます。

○畑野君枝君 本当にあいまいもことして、恣意的に運用されるんではないかというような疑念を持たれるような中身だというふうに思います。
 伺いたいんですけれども、その研修をしたと、しかしその教員の資質向上にならなかったと、その場合にその責任はどこにあるというふうになるんでしょうか。本人なのか、それともそもそも計画を立てる上での評価そのものが間違っていたのか、研修内容が悪かったのか、その辺はどうなりますか。

○政府参考人(矢野重典君) それは、個々のケースによっていろんな理由が違ってまいろうかと思うわけでございます。そういう意味で、私どもとしては、この事業がより効果的な事業として実施されますにつきましては、まず任命権者において十年研修が効果的になるように事業内容等について真剣にこれは取り組んでいただくことが必要であるわけでございますし、また、受講する教諭におきましても、自らの力量の向上に向けて研修について真剣に取り組んでいただくことが必要であろうかと思うわけでございます。
 さらに、この事業が国会でお認めいただいて、来年度から制度化されました後には、私どもといたしましては、各任命権者からヒアリング等を通じてフォローアップを行いながら、この制度がより実効性あるものとなるように必要な指導、援助をしてまいりたいと考えているところでございます。

○畑野君枝君 これまた本当によく分からない答弁でございまして、大体、先ほど申したように、研修の評価ということについて、教養審の第三次答申では、そもそもどの研修に参加させる、するのかという評価はなかったんですね。それで、研修後の評価についても、それはさっきもおっしゃっていましたけれども、その後のどうするかということよりも、研修内容が良かったのか、教員にとって本当に資質向上になるようなものだったのかと、反省材料としてそれはされてきたというふうに思うんですね。しかし、そうではなくて、評価、評価というふうに教職員を評価するために使っていけば、本当に学校の和が壊されていく、本当に選別されていく、そういうことになっていくと思うんです。
 科研費で東京大学の浦野教授らが最近校長さんや教頭さんへのアンケート調査を行いましたが、あなたの学校を改善する上で重要度の高いものは何かというふうに聞きましたら、教職員の同僚性の形成を挙げる方が校長を含めて一番多い結果になっているんです。つまり、一般公務員と違う教職員の特質のもう一つはチームワークで行う、そういうこともあるわけなんです。自由記述の中では、意見を言ってもまともに取り上げられない、発言すること自体に勇気が要る雰囲気になってしまったと東京のベテラン教師が書かれております。東京では業績に応じて教師を競争させる研修制度がある、このこととも関連があるのではないか。
 私は、時間が参りましたので、最後に一問伺いたいのは、こうした研修の評価というのが人事評価とリンクするのかどうかということなんです。不適切教員の研修とはリンクしないということでありましたけれども、例えば今各地でこの人事評価システム作りが進められております。ここには神奈川県が教職員の新たな人事評価システムの施行に当たってということで、いろいろ事細かにそういう取組が進められているわけなんですけれども、そういう点では、これはこういういろんな項目で評価したことが今回の十年目研修の評価基準にされるとか、利用されるとか、下敷きにされるとか、こういうことはどうなのでしょうか。

○政府参考人(矢野重典君) 十年経験者研修の実施に当たりまして任命権者が行います評価は、先ほど申し上げましたように、当該教諭の能力、適性に応じた研修としてどのような内容を実施すべきかと、そういう観点に立って行われるものでございます。一方、勤務成績の評定は、これは勤務全般を対象としてその評価の結果を人事異動や昇給等の身分取扱いの上で活用することによりまして、校務能率を増進させるために、そういうために実施されるものでございまして、今私が申し上げました十年経験者研修に際して行う評価とは目的や趣旨を異にするものでございます。

○畑野君枝君 終わります。
    ─────────────
○委員長(橋本聖子君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

○林紀子君 私は、日本共産党を代表して、教育公務員特例法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 反対する理由は、教職十年経験者研修を法律で義務化し、個々の教員を評価し、それぞれの能力、適性に応じた研修を行うこととする本改正は、教員の資質を向上させるどころか、教員をふるい分ける手段となるものだからです。
 この十年経験者研修は、十年を経過した教員すべてに対し能力、適性などについて評価を行い、その結果に基づいて計画書を作成し、実施するとされています。質疑で明らかなように教員はランク別の研修を受けることにもなり、これでは教員のランク付け、ふるい分けにもなりかねず、到底認めることはできません。
 また、中教審では、研修後の評価によっては他職種へ配置転換もできるとしており、本改正は、人事評価と連動して、指導が不適切な教員として切り捨てるものとなるという疑念は払拭できません。
 現在の教育の困難を打開するためには、教員の指導力の向上が重要なことは言うまでもありません。それは、実際に子供たちと一緒に学び、教員同士の自主的、主体的な研修、保護者などとの共同によって図られるものです。しかし、今回の改正による十年経験者研修は、研修の名によって教員をランク付けし、競争を強いるもので、ILO・ユネスコ共同の教員の地位に関する勧告に反するものとなり、教員の自由、創意及び責任を減殺するものになりかねません。
 現在の教育の困難に心を痛め、本当に教員の指導力の向上を求めるのであれば、教育基本法がその前提としている教員の身分の尊重、待遇の適正に目を向けるべきです。それは、官製の研修に追われる教員の実態とその内容の見直しであり、多忙化の解消や少人数学級の実施による負担軽減など、教育条件を改善し、教員が自主的に、主体的に研修を行えるようにすることです。
 本改正は、教員の指導力の向上ではなく、むしろ教員をふるい分け人事管理の強化につながるものであり、認めることはできません。
 以上の理由から、本法改正に反対することを表明し、私の討論といたします。

○委員長(橋本聖子君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 教育公務員特例法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

○委員長(橋本聖子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、小林元君から発言を求められておりますので、これを許します。小林元君。

○小林元君 私は、ただいま可決されました教育公務員特例法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党及び国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    教育公務員特例法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について配慮をすべきである。
 一、十年経験者研修の実施に当たっては、教員一人一人の専門性の向上や得意分野を伸ばすなど、真にニーズに応じたものとなるよう、実施に当たる任命権者等においては、実施期間、場、実施方法等に関し様々な創意をこらすこと。
 二、任命権者等においては、十年経験者研修がその効果をあげ得るよう、研修企画の策定や研修内容の評価に当たっては、関係者等と連携し、教員のニーズや現場の意見の反映などに努めること。
 三、十年経験者研修においては、事前の自己評価を行うことなどによって、教員の自主的・主体的な研修意欲が喚起されるよう促すこと。
 四、十年経験者研修は、各教員の能力・適性等に応じた研修を行うことにより教員の資質能力の向上を図ることを目的とするものであることにかんがみ、研修終了時の教員に対する評価結果が直ちに勤務評定につながるものではないことに十分留意すること。
 五、国や任命権者等においては、研修の実施に伴って教育現場に支障を来さぬような態勢の整備及び財政措置等の条件整備に努めること。
 六、これからの学校教育においては、様々な得意分野や専門分野を持った教職員が協働して教育効果等を高める必要があることから、教員だけではなく、様々な職種の専門性向上のための施策の検討や、研修機会の充実を促進すること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

○委員長(橋本聖子君) ただいま小林君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

○委員長(橋本聖子君) 多数と認めます。よって、小林君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、遠山文部科学大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。遠山文部科学大臣。

○国務大臣(遠山敦子君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。

○委員長(橋本聖子君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(橋本聖子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十八分散会


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