2002年6月9日「しんぶん赤旗」より

教員加配めぐって混乱

文科省に対策要求

林議員


 林紀子議員は5月23日の参院文教科学委員会で、今年度、少人数指導のための教員加配をめぐって現場に混乱が起きている問題を取り上げ、文科省の対応をただしました。

 昨年度から実施されている「習熟度におうじた少人数指導」で、教員の加配がおこなわれています。しかし、文科省が今年度、少人数指導のための加配措置を受けるには教員一人当たりの授業時間を増やさなくてはいけないと受け取られる文書を出していたために、教育現場で混乱がおきています。

 林氏が、少人数指導のために一週間の授業時間が26時間から28時間に増えた教員の例を示し、文科省の対応をただしました。

 矢野重典初等中等教育局長は、授業時間数を増やさなくてもいいことを各県に口頭とメモで説明したと答弁しました。

 林氏は「子どもが分からないところを見てあげられず、次のクラスにいかなければならない」「時間割が組めないと悲鳴があがっている」との現場の声を紹介。「増やさなくてもいいと分かる文書を出すことが大事だ」と迫ったのにたいし、矢野局長は「念のためにチェックする」と答えました。


2002年5月28日「しんぶん赤旗」より

教師の工夫を認めよ

一律習熟度別授業を批判

林議員


 林紀子議員は、23日の参院文教科学委員会で、「教員免許法一部改正案」の質問に先立ち、今改定の最大の問題である中・高教育を使っての習熟度別授業の押しつけをやめ、現場の教師の工夫を認めるべきだと求めました。

 遠山敦子文科相は「"何とか学級"と固定してやることは私も反対」とのべ、「子どもたちの意見もできるだけ聞きながらやっていくことが大事。いろんな工夫をしていただきたい」と答えました。

 教師の学校間兼務について、林氏は、中学3年の担任までかり出されている現状を示し、せめて担任は兼務に出さないことを要求。遠山文科相は「十分そうした面も配慮して、兼務については実施してもらうべきだ」と述べました。

 文科省は学校5日制のもとで少人数学級をするにあたって、教師の週当たりの授業数を減らさないよう指導しています。林氏が「土曜日の分の上のせで週5日間の授業数は今までより過密になる」と指摘したのに対し、矢野重典初等中等教育局長は「社会的にそれくらいのものは教員に求められている」と強弁。

 林氏は「小学校の教諭の平均持ち時間の21・7時間でも多すぎる。本来これを減らすことを目標とするべきだ」と迫りました。


154回-参-文教科学委員会-10号
2002年05月23日
林紀子議員 質問部分
畑野君枝議員 討論部分
採決 会議録


154回-参-文教科学委員会-10号 2002/05/23

平成十四年五月二十三日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         橋本 聖子君
    理 事
                阿南 一成君
                仲道 俊哉君
                小林  元君
                風間  昶君
                林  紀子君
    委 員
                有馬 朗人君
                有村 治子君
                泉  信也君
                大仁田 厚君
                加納 時男君
                後藤 博子君
                中曽根弘文君
                岩本  司君
                神本美恵子君
                輿石  東君
                鈴木  寛君
                山本 香苗君
                畑野 君枝君
                西岡 武夫君
                山本 正和君
   国務大臣  文部科学大臣   遠山 敦子君
   副大臣   文部科学副大臣  岸田 文雄君
   大臣政務官 文部科学大臣政務官   池坊 保子君
   事務局側  常任委員会専門員    巻端 俊兒君
   政府参考人 文部科学省初等中等教育局長 矢野 重典君
         文部科学省高等教育局長   工藤 智規君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○教育職員免許法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)

    ─────────────

○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。
 まず、大臣にお伺いしたいのですが、今回の免許法改正案は、習熟度に応じた少人数指導への対応と、こういうことを考えているのが一つのポイントなのかなと思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(遠山敦子君) 今回の、他校種の免許状によって、それを持つ人が小学校等に行って授業をすることができるようにするという改正の趣旨は、これは、一つには各学校段階間の連携の促進を図るということでございますし、それからもう一つは小学校におけます専門性の高い教科指導を充実するということを目的としているものでございます。したがいまして、主たる目的としては、習熟度に応じた少人数指導につながるものではないと言えるわけでございます。
 しかしながら、今回の法改正によりまして、例えば小学校におきます高学年の算数や理科などの授業におきまして習熟度に応じた少人数の指導を行います場合に、中学校あるいは高等学校の免許状を有しますその教科についての専門性の高い教員がそのクラスに入ってきて教えるというふうなことが可能になるわけでございまして、各学校においてこのような少人数指導をするときにそういう人たちの力を活用するということももちろんあり得るわけでございますし、それはそれで大変意味のあることだと考えているところでございます。

○林紀子君 そうしますと、習熟度に応じた少人数指導というのと直接は連動しないというふうにおっしゃったと思うんですけれども、二月に発表されました中教審答申では、「本年度から実施されている教職員定数改善計画により習熟度に応じた少人数指導を支援しているが、こうした場面での専門性の高い教員の確保も早急に対応すべき課題である。」というふうに言われておりまして、その専門性の高い教員の確保ということが、今、大臣がおっしゃいました、免許がなくても中学校、高校から小学生へ教えに行くことができるという形に結び付いたんだろうというふうに思ったわけです。
 この習熟度別授業といいますのは、大変私は問題があると思うわけですね。これは本会議でも御紹介をいたしましたけれども、この習熟度別授業が始まっている学校の中では、学力が低いクラスだというふうに言われているクラスの子供たちに対して、本会議ではこんな生な言葉は言わなかったんですけれども、あほ学級なんという言葉が使われているということなんですね。
 しかも、文部科学省が考えている習熟度別授業というのは、本音のところは、これも何回もこの委員会の場でも出てまいりましたが、教課審の元会長である三浦朱門氏が、できぬ子はできぬままで結構、伸びる子だけに労力を注いでいくと、こういうことを言った、そこのところでぴったり結び付いているんじゃないかと、そういう心配があるわけなんですね。
 ですから、私は、直接は関係ないんだというふうにおっしゃいましたので、今回のこの法律、通っても、一律に習熟度別授業という形で全国にこれをやりなさいと押し付けるべきではないというふうに思うんですけれども、いかがでしょう。

○国務大臣(遠山敦子君) 先ほどの私の答弁は、今回の免許法の改正そのものの主たる目的について御説明したわけでございます。
 それとは別に、やはりこれからの教育の在り方を考えますと、すべての児童生徒を全く同じように扱って、授業の在り方も全く同じようにというようなこれまでの行き方から一歩出て、やはり基礎・基本を大事にしながら、一人一人がそれぞれの能力、適性に応じて考える力を身に付け、あるいは行動する力を身に付けという、そういう新たな段階に入ろうとしているわけでございまして、そのことから考えますと、これは基礎・基本をしっかり身に付けるという段階におきましても、これに時間の掛かる子もございます。あるいは、これについては速やかに理解することができて、更に伸びていくような子供もいるわけでございます。そういった子供の持つそれぞれの能力、適性等に応じてきちんとしたきめ細かい教育をやっていこうというのが新たな教育改革のねらいの一つであるわけでございます。そのことから考えますと、これは、習熟度別指導というものは非常に大事な段階に入ってくるわけでございまして、これはやめるべしとかそういうようなことではなくて、私は様々な工夫を凝らしながら習熟度別指導というものをしっかりと根付かせていく段階だと思います。
 その指導の在り方によりましては、何らかの今おっしゃったようなこともあり得るのかもしれませんが、逆に言えば、この習熟度別の指導によりまして非常に効果を上げている、そういう例も私どもは常に耳にするわけでございます。そういう少人数指導というふうなことをやったり、あるいはチームティーチングというものをやったり、あるいは社会人の登用などによりまして複数の目で子供たちを見るのと同時に、一人一人の本当に伸びる力を伸ばし、あるいはゆっくりと学んでいくという子供たちに対してもそれに応じたような教育をしていく、それは一人一人の子供たちが本当に将来自分の力を伸ばしていくために非常に大事だと思っておりますので、私は、習熟度別学習ということについての重要性については、これはいささかも後退させることはできないというふうに考えております。

○林紀子君 私も、すべての子供たちにきちんと学力を付けるということは物すごく大事なことだというふうに思うわけですね。現在も先生たちは現場でそのためにいろいろな工夫をして、努力をしているわけですよね。
 だけれども、今、大臣のおっしゃったのは、それが習熟度別授業だという、その一つの形になってしまうということだと思うんですね。もっともっと現場でいろいろな先生が、例えば、これも私は本会議で御紹介をいたしましたけれども、グループ学習をしたり、到達度別の学習をしたり、個別指導と集団指導を組み合わせた、そういうようないろいろな工夫を行っている、それをもっと自由に認めるべきじゃないんですか。そういうことを励ましていくことこそが大事で、もう一律に習熟度別授業じゃなくちゃ駄目だというのは絶対おかしいと思うんですね。
 しかも、この習熟度別授業というのは、こういう形で固定化をしてしまうんじゃないですか。そうしたら、ますますあほ学級などと言って、子供たちに強制を強いる、競争を強いる、そして選別をし差別をしていく、こういうことになるんじゃないですか。
 私は、そういう意味で、一律に押し付けるということは絶対やるべきではないと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(遠山敦子君) もちろん、実際に少人数指導を行います場合に、どのような教科あるいは学年を対象として行うか、あるいは習熟度やあるいは興味・関心などに応じたグループを編成するなど、いろんなやり方があると思います。それは、それぞれの学校の状況、それから児童生徒の状況に応じて、それぞれの学校において工夫をしていく、そういうことであろうと思います。ですから、習熟度別学習というものが大事だということを強調したわけでございまして、それは何とか学級、何とか学級というふうに固定してやるというのは私も反対でございます。
 つまり、習熟度別の指導におきましては、できるだけそれらの地域の実情、学校の実情に合わせるということ、そして、その学校の実態に合わせて、優れたいろんな手段を用いながらやると。それから、できれば子供たちの自らの意見も参考にしながら、あるときはこの学級に行き、ある程度まで自分が分かったと思えば次の段階に行くとか。特に大事なことは、グループを固定化しないこと、そして子供たちの意見も聞きながら、できるだけ、できるだけ聞きながらやっていく、そのようなことは基本的に大事なことだと思っておりまして、したがいまして、今ちょっと答弁の趣旨とは違った方向で結論付けられましたけれども、そういう趣旨ではなくて、いろいろな工夫をしていただきたい。しかし、一人一人の子供たちの力に応じたしっかりした指導をやっていくという意味で習熟度別学習というのが大事だということにおいて、そういう意味であるということを申したいと思います。

○林紀子君 改めて御答弁いただきまして分かりました。習熟度別授業というのが、一律に押し付けるものではない、いろいろな工夫を、それこそ現場の先生たちがやっているようなところを励ましていくということだというふうに受け取りました。
 それでは次に、少人数指導のための加配に関連してお聞きしたいと思います。
 週五日制で土曜日は休みになったわけですけれども、しかし少人数加配を受けるためにということでこれまで以上に授業時間が増えている先生が出ている、そういうことなんですね。
 今お手元に表をお配りいたしましたけれども、これを見ていただくとよく分かると思うんですけれども、具体的にはこれは埼玉県のある学校、五年一組の担当の先生の時間割表なんですが、昨年の平成十三年度では、上の表ですけれども、太枠に囲まれている音楽、理科、理科、理科、ここのところは専科の先生が担当してくれていたので、それ以外の授業を受け持って一週間で二十六時間だった。平成十四年度、今年度になりまして学校週五日制が始まったわけですけれども、今度は、今まで先生の、この先生の空いていた音楽、理科、理科、理科、そこはなくなりまして、TTに入ることになったということで、火曜日、水曜日、木曜日、金曜日とTTの時間、たくさん入っているわけですね。そうしますと、今度は担当の授業時間数は全部で二十八時間になったと、こういう例なわけなんですね。
 そこでちょっとお伺いしたいんですけれども、今公立の小学校教諭の持ち時間数というのは平均何時間ということになっておりますでしょうか。

○政府参考人(矢野重典君) 今年度の教諭の授業の持ち時間数の実態は把握していないわけでございますけれども、今年度から、先ほどお話がございましたように、完全学校五日制及び新しい学習指導要領に基づきます授業時数が減少いたしますことによりまして、標準法に基づいて配当される教員定数を基にして算定された持ち時間で見ますると、例えば十二学級の学校で見ますと、標準法では教員数が十四人配当されるわけでございますが、その十四人の標準的な小学校では、少人数指導等による持ち時間数の増がない場合にはということを前提にいたしますけれども、教員一人当たりの週持ち時間数は、道徳や特別活動、道徳と特別活動を含めまして、現在の、つまり、失礼しました、前の指導要領の下でのことでございますけれども、道徳と特別活動を含めますと二十三・七時間あったわけでございますが、これが今年度からですと、今申し上げましたように少人数指導による持ち時間数が増えないという前提で見ますると、一・七時間減りまして二十二時間になるだろうというふうに想定されるところでございます。

○林紀子君 済みません。今というふうにお聞きしたので厳密にお答えくださったんだと思うんですけれども、直近の平成十年度の学校教員統計調査報告書というものを見ますと、二十一・七時間というふうに今私も拝見いたしましたが、局長のお話では今は二十二時間ぐらいになるだろうということですね。それと比べましても、前年度の平成十三年度でも、この五年一組の先生は二十六時間だったわけですから随分多いわけですね。今度は、今年度は更にそれが二十八時間ということになって更に増えている。これは非常に平均から比べても多い先生ではあるとは思うんですけれども。
 そこで、文科省の方にお聞きしたいんですけれども、少人数指導の加配を受けるためには、教員一人当たりの授業時間数は今までよりも増やさなければならないというような指導というのを各県になさっているんでしょうか。

○政府参考人(矢野重典君) そのことにつきましては一度衆議院の方でも御質問がございまして、私どもが今年度の各県の計画を聴取いたしますときに、その質問表の作り方の中に、言わば加配の、少人数による加配を受けるためには、現在の持ち時間よりも増やさなきゃならないというような、そういうふうに誤解を受けるようなそういう質問表になっていたものでございますから、それは指摘を受けまして、そうではないということを改めて全国の教育委員会に御説明申し上げたわけでございまして、要は、加配を受ける条件として、現在よりも持ち時間数を増やさなきゃならないという条件にはなっておりません。

○林紀子君 増やさなければいけないということにはなっていないということなんですけれども、今お示しをいたしましたこの埼玉県の例では、既に現実に二時間増えているわけですね。そして、少人数加配の先生が来て、ここではTTという形でやっているということだと思うんです。
 しかし、先生たちにこれまで以上に授業を詰め込んで本当に質の高い授業ができるのかどうか。今これ大変混乱をしているわけですけれども、次々といろいろなところからいろいろな声が上がっておりまして、全部は到底御紹介し切れませんけれども、現実にこういう二時間増えているこの埼玉県ですけれども、ほかの先生ですけれども、今年は物すごい現場になっている、少人数指導の担当になり、週これでは二十七時間の持ち時間数になった。一年生三クラスに少人数指導で入っているが、子供の名前を覚えられない。担任であれば分からないところを休み時間に見てあげられるけれども、ごめんねと言って次のクラスに行かなければ次のクラスが遅れてしまう。子供と仲良くなって、子供も先生を好きになって学習が成立するのに、そうした土台づくりができない。少人数学級にした方がもっと効果が上がるとこの先生はおっしゃっているわけですし、また広島県でもお話を聞きましたけれども、国語科を担任している、これは中学一年生を受け持っている先生ですけれども、三クラスの学年主任で担任でもあると。そして、三クラスを四展開の授業ということにしているんだけれども、国語の授業は同時一斉展開なので自分のクラスにしか授業が出られない。それも、クラスの四分の三の子供しか授業を教えられない。保護者からも不公平だと心配の声が上がっている。この先生は十八時間授業を受け持っている。運営委員会などの定例会議もあり、他学年の授業準備、教材研究は一体いつできるのでしょうか。学年主任という立場にあり、生徒指導も大変な状況が想定できますというふうに声が上がってきているわけですね。こういう声に耳を傾けない、そういう状況では教育というのは進まないんじゃないかと思うわけですね。
 先ほど矢野局長は、受取方が間違っていたというか、各県に通知を出したものが、それが誤ってというんでしょうか、誤った通知を出したので誤って受け取られたのか、その辺はよく分からないんですけれども、そういうことで訂正をしたというふうにおっしゃいましたよね。各県に対して、昨年度と比べて持ち時間を増やすという趣旨ではないというふうに訂正をなさったんですね。それはいかがですか。

○政府参考人(矢野重典君) 今年度の授業計画を調査いたします質問表、計画表の設計の中に今申し上げたように持ち時間数を増やさないと新たな定数を受けられないよというふうに誤解されるようなそういう設計の項目があったものでございますから、この計画の趣旨はそういうことではないということを改めて説明したわけでございまして、質問表、質問表というか、計画自体を訂正するということではなくて、これはそういう趣旨ではないというふうなことを改めてきちんと説明したわけでございます。

○林紀子君 説明をしたとおっしゃいますけれども、それはきちんと文書で出してくださったんですか。

○政府参考人(矢野重典君) 会議を招集いたしまして、会議の席におきまして口頭で説明をいたしましたが、その際に、更に念のためにということで、口頭で説明したメモを念のために各関係者に資料としてお渡しをいたしてございます。

○林紀子君 何だか資料などと大変ややこしくしているわけですが、それをきちんと出していただくのが一番いいんじゃないかと思うんですね。
 といいますのは、昨年度に比べて持ち時間を増やすものじゃないというふうに口頭でメモを含めて説明をしたと。しかし、その後でまだ依然としてこの埼玉の例のように二時間増やされているんですよ。二十六時間だったものが二十八時間になっているわけですから。これは埼玉だけじゃないんです。全国で、だから大変だと、もう時間割が組めないという、本当に悲鳴のような声が上がっているわけなんですからね。ここのところをもう一度きちんと全国的にどうなっているかというのを、誤解を生むような文書を出しちゃったわけですから、きちんと文部科学省の方がまず実態を調べて、そして、これはもう増やさなくていいんですよ、昨年より増やさなくていいんですよということを懇切丁寧に、分かるような文書でもってきちんと通知をしていただくということが非常に今大事じゃないかと思うんですが、どうでしょうか。

○政府参考人(矢野重典君) 私ども、先ほど経緯を申し上げましたけれども、その趣旨を会議を開き説明をし、そして念のためにその説明の内容をメモという形で各都道府県にきちんとお渡ししたわけでございまして、私どもの理解としては、この私どもの趣旨が全都道府県に正確に受け止められているというふうに理解をいたしておりますけれども、委員があえておっしゃるものでございますから、私どもとしては念のためにその辺のところはチェックいたします。

○林紀子君 新学習指導要領になって、五日制になって、総合学習の時間もできてと、それだけでも大変なのに、そういうような誤解を生むようなものが出回ったために更に大混乱をしているという状況なので、じゃ、是非そのことはきちんと調べて、そしてもう一度今おっしゃったような対策を取っていただきたいということを本当にお願いいたします。これは、本当に先生が大変だということは、結局子供たちも大変なわけですよね。そういうことで、そのことはくれぐれもお願いしたいと思います。
 そして、更に問題なのは、持ち時間を昨年度より増やさないというところまではいいんですけれども、じゃ、その後に続くのは、少人数授業のための加配計画は同時に昨年度より減らさないと、そういうことも意味しているんじゃないですか。またまたそこが大変なところなんですよね。週五日になって土曜日分の授業というのはなくなったわけですけれども、しかし、教師の週当たりの授業時数は減らさないということを前提に少人数指導を行おうとしている。
 考えてみましたら、今までの土曜日分の二時間というふうに計算をしているようですけれども、その二時間分を五日間の授業の中で全部やりなさい、使いなさいというわけですから、一週五日間の授業数というのは今までより過密になるのは当たり前ですね。隔週六日でやっていたものを五日間の中で全部やってしまいなさい、授業時間それだけ持ちなさいということになるから、授業時間は過密になるのは当たり前なんですよ。
 だけれども、増やさないということを強調していただくのは結構なんですが、減らさないということまで言うというのが、これまたもう一つこの混乱に拍車を掛けているということではないかというふうに思うわけなんですが、その辺はいかがですか。

○政府参考人(矢野重典君) 昨年新しい定数改善計画をスタートいたしましたが、その新しい定数改善計画を標準法の改正という形で国会に御提案し御審議を煩わしたわけでございますけれども、その際に、新しい定数改善計画の基本的な考え方としては、大変財政の厳しい中で五か年で二万六千九百人の定数増を図るということをお願いしたわけでございますが、その前提として、私どもは、完全学校週五日制になっても教員の一人当たりの持ち時間数は減らさないということを前提にして、それだけきちんと頑張ります、だから、これだけの大変な財政負担を伴うものでございますけれども是非国民の御理解をいただきたいという形で標準法の改正を提案し、またそれに新しい定数改善計画を盛り込んだことを御提案し、御理解を賜るべく御説明申し上げたわけでございます。
 そういう意味で、教員も学校五日制になったわけでございますけれども、週二時間減をそのままほかの時間というんでしょうか、言わば何もしない時間ということに使うのではなくて、持ち時間としては現行どおり、現在どおりそれを維持しながら、なお引き続き少人数指導等のきめ細かな指導に尽力をしていただくということが必要であるわけでございまして、そのことはやはり社会的にも、教育界を離れた社会的にもそれくらいのことはやはり教員に求められるものだということで、私どもはその責任を果たすべく、こういう今申し上げたような基本的な考え方をベースに計画を作ったということでございますので、そのことについては是非御理解をいただきたく思います。

○林紀子君 そこがやっぱり現場の実態と違っているところなんじゃないかと思うんです。
 というのは、今、局長それこそ、私揚げ足取るつもりはないんですけれども、何もしない時間ということではなくとおっしゃったわけですね、その空いている時間のところを。しかし、以前に比べましても、先ほども申し上げましたけれども、総合学習の時間もある、選択授業もある、教師に求められている授業の内容というのも本当に多岐にわたっているわけです。生活面でも、以前と比べましても不登校とか勉強嫌いとか落ち着かない子供というのが多くなっているわけです。
 ですから、こういう状況の中で、授業だけに全部全力投球、自分たちの持っている時間を全部そこに投入しちゃうということがもうできない状況になっているんではないですか。こういうことに対処していく、今申し上げたようなことに対処していく、そういう時間も前よりずっと必要になっているんだと思うんです。校務分掌もあるし、ホームルームや給食などの生活指導の時間もあるし、授業のための教材研究や、また少人数学級、TTになれば余計に打合せの時間というのも必要なわけですね、協力をしながらやらなくちゃいけないわけですから。そういうふうに考えますと、一週間の時間の中に何もしない時間じゃない空き時間というのがどうしても必要なんだというふうに思うんです。
 お聞きしたいんですけれども、文部科学省は、じゃ授業を準備するための時間、いろいろありますけれども、それ一つだけ取ってみてもどれくらいの時間が必要か、例えば一時間の授業、四十五分一こまの授業をするためにどれくらいの準備時間が必要というふうにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。

○政府参考人(矢野重典君) 教員が授業を行う際にどれくらいの準備を必要とするかということについてのお尋ねでございますが、担当する教科の内容などによって違いがあると思われるわけでございますが、一つの参考になりますのは、昭和三十三年のいわゆる標準法制定当時における教職員定数を算定するに当たりまして、一時間の授業につきましては一時間程度は授業の準備が必要ではないかというふうに考えていたところでございまして、それをベースに昭和三十三年の標準法制定当時の教職員定数を算定したという経緯がございますが、その考え方につきましては、少なくとも教職員定数を積算する場合においては、現在においてもこれくらいな時間が必要ではないかというふうに考えております。

○林紀子君 一時間につき一時間というふうにおっしゃったわけですね。三十三年当時のことをお話しになりましたが、私もずっと過去を振り返ってみましたら、一九七八年、昭和五十三年の参議院の文教委員会ですね、その当時は、そのときでも、当時の諸澤初等中等局長が今と同じように一時間に一時間は必要だろうというふうにおっしゃっているわけですから、これは通念上、大体常識的な線なのかなというふうに思うわけですね。
 そうしますと、先ほど御提示いたしました二十六時間とか、今年度になって二十八時間とか、そういう先生というのはどうなるんですか。一時間に一時間、授業のための準備だけでもそんな時間だったらはみ出してしまうじゃないですか。二十六時間の場合だって二倍にしたら五十二時間ですね。五十二時間とか五十四時間なんですよね。そういうことになったら、もう先生は残業といいますか、はみ出して準備するのが当たり前、うちに帰って準備するのが当たり前、そんな話になってしまうわけですから、先ほどおっしゃった二十一・七時間というそれだって多いわけですから、そこのところをもっと減らしていくということを考えなければいけないというふうに思うわけです。
 ですから、先ほど、少人数授業ということをやるために、TTをやるために隔週六日のときに持っていた時間というのは減らさないというのが、それこそ世間一般から見ても当然だみたいなことを局長はおっしゃいましたけれども、絶対そうじゃないということが今の御答弁からも明らかではないかというふうに思っております。
 そして次に、時間がなくなりましたので、学校間兼務のことについてお伺いしたいと思います。
 この学校間兼務というのも、今までもいろいろお話がありましたが、なかなか大変なわけですね。ここでは、例えば学校間兼務、既にもう行っている自治体があるんですけれども、一、二時間目が兼務授業だと本務校の朝礼には欠席になってしまう、三、四時間目に兼務授業に行ったらお昼に戻るのが、昼食に戻るのが一仕事だ、五、六時間目が兼務になったら、担任の場合ホームルームや部活には間に合わない、朝の部分で兼務をしても昼の部分で兼務をしても午後の部で兼務をしても、みんな支障が出てくるという状況なんですね。
 お聞きしたいんですが、これは大臣にお聞きをしたいと思いますけれども、本会議でも申し上げましたけれども、中学校三年生の担任さえも兼務に駆り出されているという状況が既に兼務を行っている都市ではあるということを御紹介をいたしました。担任が学校にいないと、子供は相談しようと思ったときにその相談ができない、ましてや進路進学の悩みを持つ中学三年生などということになったらなおさら大変なわけですね。
 ですから、この兼務について何か配慮が要るんじゃないか、担保が必要なんじゃないかということは何人もの同僚委員からお話がありましたけれども、せめて担任というのは兼務には出さないと、そういうことぐらいきちんとしておく必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(遠山敦子君) 確かに、学級担任というのはなかなか大事な役割を持っているものでございます。小学校におきましては、学級におきますすべての教科、それから道徳の指導、生徒指導、学級経営などをするわけでございますし、中学校においては、道徳、特別活動の指導、生徒指導、学級経営を行うわけでございます。
 今、中学校のお話でございましたけれども、一般に、教員を他の学校に行ってもらって兼務をさせるというような場合には、過度の負担とならないようにするというのは当然の配慮だと思います。特にクラス担任は、そのクラスの子供たちの指導に支障が生じることのないように十分配慮する必要があるわけでございまして、そういう兼務を認める、あるいは兼務についてお願いするというような場合には、そういう面も十分配慮してもらえればいいと思います。
 ただ、学級担任といっても、クラスのサイズでありますとかあるいはその人の能力などを総合的に勘案いたしますと、学級担任はすべて駄目というようなことを全国一律に我が方で申し上げるようなことではなくて、兼務を決める場合には、それぞれの地域の実情あるいは学級経営の在り方などを勘案してなされるべきだと考えております。しかし、確かに十分そうした面を配慮をして兼務については実施してもらうべきだと考えております。

○林紀子君 一律には言えないけれども、担任というのはやっぱり配慮の一つの大きな指標になるということだと思いますけれども。
 それからもう一つですけれども、これも本会議で大臣がお答えくださったんですけれども、中学校や高等学校の教員を小学校の専科担任に任用するときは、各教育委員会において、当該教員の小学校で教える適性あるいは専門性等について個々に十分判断した上で任用することが必要だというふうにおっしゃったと思います。
 そうしますと、これは当然な話なんですけれども、本人の希望についてというのも、この個々に十分判断するという、適性ということも含めまして考慮をするということになると思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(遠山敦子君) 制度上で申しますと、公立学校の教員というのは地方公務員でございまして、転任とか兼務などの人事につきましては、任命権者が、適正な人事配置等の観点から、その権限と責任に基づいて行うというものでございます。
 しかしながら、学校種を異にする人事異動の場合には、一般的には通常の人事異動以上に配慮が必要だと思うわけでございまして、校長による面接あるいは身上調書の提出などを通じて教員の希望などが参考、あくまでも参考ではございますが、聞くということは大切ではないかと思うわけでございます。
 学校間兼務の場合にも、通例は転任、兼任両方あるわけでございますが、これらの場合におきましても、通常の人事異動以上に本人の希望が参考にされていくべきものと考えております。

○林紀子君 最後に、もう時間なくなりましたが、一言。
 少人数授業の問題について今までお話をいろいろしてまいりましたけれども、少人数で授業をするということはもちろん私たちもいいことだと思うんですけれども、もっといいのは、やはり生活集団全体を見る少人数学級なんじゃないかと思うんですね。
 これは、埼玉県の志木市に行ってもお話を聞いてまいりましたけれども、二十五人学級を取り組んで、全体を把握しやすくなった、一人一人に目が行き届くようになった、つまずいている子を発見できるようになった、一人一人に声を掛ける回数が増え児童が理解しやすくなった。いろいろ利点を挙げているわけですけれども、その結論として、志木市の教育委員会では、学習指導上の小グループ分けよりも生活集団そのものの少人数学級体制の方が有効である、教育にとって有効であるというふうに言っているわけなんですね。
 ですから、今後本当にもっときちんと予算も付けて少人数学級の体制、もう既にやっているところに文部科学省も大いに学んでいただいて、そちらの方向に大きく足を踏み出していただきたいと、このことを申し上げまして、私の質問を終わります。

    ─────────────

○委員長(橋本聖子君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

    ─────────────

○畑野君枝君 私は、日本共産党を代表して、教育職員免許法の一部を改正する法律案に反対する討論を行います。
 反対の理由は、第一に、派遣先の免許状を持たないまま、中学・高校教員を小学校などへ派遣するなど、教職の専門性の原則を大きく崩すからです。学校教育においては、教師の果たすべき役割が決定的です。教師には、教科についての高い専門性と、子供、青年の発達についての専門的知識が不可欠です。これをすべての教員に求めているのが現在の教育職員免許制度です。今回の法改正は、この原則を崩すものです。
 第二に、そのような中学・高校教員の小学校などへの出向は、複数の学校を兼任することを可能とすることによって、教員に過重な負担を押し付けるとともに、子供たちの教育も困難にするからです。命縮める出向授業、専科教師にレンタル制などの批判が上がっています。先生に相談したいとき学校に先生がいない、ホームルームの時間なのに担任の先生がいないなど、安易な学校間兼務は、先生たちの負担が増えるだけでなく、学級経営も困難にします。とりわけ子供たちへの悪影響が危惧されます。
 第三に、今回の法改正は、学力差を固定しかねない習熟度別授業を、他校種の教員の力をかりて行うことに道を開くからです。できぬ者はできぬままで結構という言葉どおりの教育となれば、教育基本法の言う「人格の完成」どころか、その破壊につながります。そうした習熟度別学習を常態化させれば、人間同士が協力し合い人間性をはぐくむという教育の大切な営みが破壊されます。
 今やるべきことは、極端に門戸が閉ざされている新卒者を大量に採用して、専科教員の充実、少人数授業、少人数学級のための十分な人員配置をすべきであり、国の責任で三十人以下学級の実現に踏み出すことです。
 第四に、特別免許状の要件緩和を進めて社会人教員を拡大し、教職の専門性を大きく崩すことや、免許状取上げの範囲を拡大し、教職員への管理統制を強化するものだからです。
 以上、この法案は、教職の専門性を軽視し、教育の場における管理統制につながるものであり、法案に反対することを述べて、私の討論といたします。

○委員長(橋本聖子君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 教育職員免許法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。

   〔賛成者挙手〕

○委員長(橋本聖子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、小林元君から発言を求められておりますので、これを許します。小林元君。

○小林元君 私は、ただいま可決されました教育職員免許法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党及び国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    教育職員免許法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府及び関係者は、教員の資質の保持と向上を目的とする教員免許制度の重要性にかんがみ、次の事項について特段の配慮をすべきである。
 一、特別免許状制度の活用促進に当たっては、大学における教員養成の原則を堅持して適切に運用すること。
 二、免許状の失効及び取上げの措置については、不利益処分の重大性にかんがみ、公平・公正を確保するよう、厳格な適用を行うこと。
 三、学校種間の連携・接続の改善に当たっては、そのための条件整備に一層努めること。
 四、教員免許状の総合化については、今後の学校教育の役割、教職の専門性の向上等の観点を踏まえ、中長期的な展望をもって検討を進めること。
 五、特殊教育諸学校における教員の当該校種免許状の保有率が低い現状を踏まえ、免許状の円滑な取得のための環境整備等により、その保有率の向上に努めること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いします。

○委員長(橋本聖子君) ただいま小林君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。

   〔賛成者挙手〕

○委員長(橋本聖子君) 多数と認めます。よって、小林君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。


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