22日の衆院文部科学委員会で、十年を経過した教員すべてに「十年経験者研修」を義務付ける「教育公務員特例法改正法案」が自民、民主、公明、自由の賛成多数で可決。日本共産党と社民党が反対しました。
討論にたった日本共産党の石井郁子議員は、十年を経過した教員すべてに対して、能力、適正などについて評価を行い、その結果に基づき、「研修」を行うとしており、「この先生はAランク、この先生はCランク」と「研修」の名による「ランク付け」「ふるいわけ」による人事管理の強化につながりかねないと指摘。
「今なすべきは、初任者研修に始まり、三年次研修・五年次研修・十年次研修・十五年次研修・二十年次研修など研修に追われている、教員の研修づけという実態やその内容を見直すべきであり、多忙化の解消や少人数学級の実施による負担軽減など、研修条件を改善するための施策こそ求められている。教員の指導力の向上は、教員の自主的・主体的な研修、教師・保護者などとの共同によって図られるもの」と述べました。
討論に先立ち質問にたった石井議員は、大阪府では教員評価を「授業の準備」などを「満たしている」「満たしていない」で評価し、総合評定で「S」「A」「B」「C」「D」など五段階評価で行おうとしている事実を取り上げ、評価基準や評価方法を明確に示すよう迫りました。遠山敦子文部科学大臣は、「評価基準」の参考になるものを任命権者に示していきたいと答えました。
平成十四年五月二十二日(水曜日)
午前十一時開議
出席委員
委員長 河村 建夫君
理事 斉藤斗志二君 理事 鈴木 恒夫君
理事 田野瀬良太郎君 理事 増田 敏男君
理事 平野 博文君 理事 山谷えり子君
理事 斉藤 鉄夫君 理事 武山百合子君
伊藤信太郎君 小渕 優子君
岡下 信子君 近藤 基彦君
左藤 章君 杉山 憲夫君
高市 早苗君 谷垣 禎一君
谷田 武彦君 谷本 龍哉君
中野 清君 馳 浩君
林田 彪君 松野 博一君
松宮 勲君 森岡 正宏君
森田 健作君 大石 尚子君
鎌田さゆり君 中津川博郷君
中野 寛成君 藤村 修君
牧 義夫君 牧野 聖修君
山口 壯君 山元 勉君
池坊 保子君 白保 台一君
西 博義君 佐藤 公治君
石井 郁子君 藤木 洋子君
中西 績介君 山内 惠子君
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文部科学大臣 遠山 敦子君
文部科学大臣政務官 池坊 保子君
政府参考人(文部科学省生涯学習政策局長) 近藤 信司君
政府参考人(文部科学省初等中等教育局長) 矢野 重典君
政府参考人(文部科学省高等教育局長) 工藤 智規君
文部科学委員会専門員 高橋 徳光君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
教育公務員特例法の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)
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○河村委員長 次に、石井郁子君。
○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子です。
十年経験者研修を任命権者に義務づけるという今回の教育公務員特例法の改正案でございますが、それについて質問いたします。
武山議員も触れていたところでございますけれども、現行でも教職経験者研修というのは行われているわけですね。十年研修、十五年研修、あるいは二十年研修というのもあるということでございますが、例えば、埼玉県では十年、東京都で十年以上十四年未満の者、富山県で十年経験者とか、愛媛県でも十年及び十五年次、大阪でも十年目と十五年以上というふうにあるわけで、まず、文科省にお伺いしますけれども、この十年、十五年を一回とみなして、教職経験者研修を実施している都道府県、政令都市、中核都市はどのくらいの数でしょうか。
○矢野政府参考人 教職経験十年目程度ということで、若干の幅を持たせてお答え申し上げますと、そういう程度の時期における研修につきましては、平成十二年度の時点におきましては、四十七都道府県中四十都道府県、率にいたしまして八五・一%、また、政令市につきましては、十二政令市中八三・三%が十年目程度の時期における研修を実施いたしているところでございます。
○石井(郁)委員 なかなか文科省は微妙に自分に都合のいいように答弁されるなといつも思うんですけれども、私はやはり十年、十五年、そうしたらあなたは十年程度というふうにそれをしてしまいましたけれども、私いただいた調査室資料では、十年目と十五年程度の研修ということで合わせてみると、すべてで行っているんじゃないですか。すべての都道府県、政令指定都市で行っていますよ。やはりきちっとそういうふうに、私の質問どおりにお答えいただかないと困ると思うんですね。私は、今回、いろいろなことで、ちょっと、大分、昨夜のレクを含めて、文科省はいかがなものかということがありますので、冒頭からそういう話になってしまいましたが。
今わかりますように、だから、経験年数の差はありますけれども、幅はありますけれども、十年程度の、十五年含めて十年程度というふうにみなしたら、すべてで行っているんですよ。今回、それを改正して義務づけをするということが趣旨ですよね。なぜ義務づけなきゃいけないのか、ここがやはり大きな問題だろうというふうに思うんですね。
それで、私は法文に即して申し上げたいのですけれども、十年経験者研修を受ける者の能力、適性などについて評価を行う、その結果に基づき当該者ごとに計画書を作成しなければならないというふうにあるんですね。能力、適性というのを一体どのように評価できるのか。その評価の仕方あるいは評価の基準ということについては、文科省はどのように示されるんでしょうか。
〔委員長退席、鈴木(恒)委員長代理着席〕
○矢野政府参考人 十年経験者研修の具体的な評価方法等は、これは基本的にはそれぞれの任命権者が定めるものでございますけれども、この点につきまして、我が省といたしましては、まず、それぞれの任命権者が能力等を評価するための評価基準を作成すること、そして、校長が評価基準に基づきまして教頭や主任等の協力を得ながら、評価案またそれに基づく研修計画書案の作成を行い、これを教育委員会に提出すること、教育委員会は、校長から提出された評価案及び研修計画書案につきまして他の校長との均衡等の調整を行いまして、最終的に教育委員会が評価及び研修計画を決定するということをこの評価の方法等の一連の手続として想定しているわけでございまして、私どもといたしましては、これらの評価方法等に関する考え方につきましては、通知等を通じて各任命権者にお示しをしてまいりたいと考えているところでございます。
○石井(郁)委員 やはり評価ですから、今御答弁のように、その評価方法、評価基準というのは任命権者が定めなければいけないということですね。
文科省としては決めないのですか。決めないというか、事細かに私は決めるべきとは言っていませんけれども、こういう考え方で臨むべしとか、文部科学省としての評価基準というのは何らお示しにならない。それで、言われましたように、通知、通達というのは、今お話になったことが通達になるのですか。もっと評価基準の中身に入ったようなことが通達になるんですか。
○矢野政府参考人 これは、事柄の性格といたしまして、評価基準あるいはそれに基づく研修計画書というのは、これは任命権者がするものでございまして、国、文部科学省として、そういうものをつくる、そういう立場にないわけでございます。
私どもの立場といたしましては、そうした各任命権者が評価、評価基準あるいは研修計画書を策定する場合について、一つの参考となるものをお示ししたいというふうに考えているわけでございます。
そういう意味で、まず、先ほど申し上げましたのは一つの評価の方法、方法として今申し上げたような評価方法に関する考え方を、今申し上げたようなそのままということではございませんけれども、そのポイントを押さえたものを一つの参考としてお示しすることになろうかと思うわけでございます。
また、先ほど申し上げましたのは評価の方法でございますけれども、さらに、評価基準につきましては、これは、基本的には先ほど申し上げましたように任命権者が評価を行うものでございまして、それに当たって、任命権者は評価基準のベースになるものをおつくりになろうかと思いますが、その際に、私どもとしても、評価の基準の参考になるものをお示しいたしたいと考えてございます。
具体的には、例えば教科指導について、これは御案内のように、教員の教科指導あるいは生徒指導等に関する指導力を分析し、そして当該教員の能力、適性に応じた研修、そういうもののために、そういう観点で評価を行うものでございますから、そういう意味で、具体的にその評価のあり方につきましては、評価の参考としてお示しするものとしては、具体的に、例えば教科指導について申し上げれば、教材解釈、授業における態度、生徒への発問また生徒の発言への対応、板書、授業の展開等、評価項目としてそれらが適切になされているかどうか、ポイントとなる具体的な実例を示しながら、評価を行う際の一つの参考例としてお示しすることを想定いたしているところでございます。
○石井(郁)委員 私、実はそういう答弁をしていただいていいのですが、法案の審議ですから、まさにこの評価を行うということがこの法案の一つの重要なポイントですね。
だから、どういうふうにその評価を行うのか、どういう基準で文科省は考えているのかと言って、きのうは全然、きのうの質問レクでは、そういう答弁はもう想定できないというようなことだったのですよ。しかし、きょう質疑に入ってみると、一転、踏み込んで局長の方から答弁をされているわけですけれども、何かちょっと法案の質疑に当たって、私たちの質問に対して、質問のレクの段階できちんと答えられないというのは、これはちょっと今までにないことだったんですよ。
こういうことは、本当に改めていただきたいということを強く言いたいんですけれども、ただ、私は、そういうわけで、例えば今の、きょう答弁が出てくるということはきのうの段階でわからないわけですから、それがわかっていればもっと質問も違ったように展開しなきゃいけないでしょう。例えば、本当に板書の仕方とかかなり細かな評価の中身に、今ちょっと例示として挙げられましたね、指導についての中身が。そういうことが、細かな中身というのは評価としてどうなんだろうかという問題になるわけでしょう。
だから、文科省がやはり何をこの法案で考えて、どういうことを都道府県に、今例示であってもあるいはどういう中身であっても、示されていくのかというのは、やはり国会がちゃんと把握をして、ここで審議を尽くさなきゃいけない問題でしょう。その審議の条件でできないのですよ。
ゆうべの、私は、本当に質問レクで驚いて、今お話を聞いてさらに驚いているのですが、問題は、研修を受ける者の能力と適性、まさに教師の能力と適性を評価するというわけですから、この評価の基準というのは非常に重大なものになるわけですよ。その重大な中身を文科省がどこまで提示されるのかということについて、本当にきのうの段階でははっきりしたことが私聞くことできませんでした。今幾つかのことを言われたので、そのことについてかみ合って話はできないのですけれども、いずれにしても、かなりそういう具体的なことが出されるということなんですね。それがひとつ確認をしておきたい。
では、そうしますと、私ども、私が把握しているところでは、既に都道府県レベルでもう教員の評価についての議論が始まっていますよ。あるいは、教育委員会が取り組んでいる。私はいつも申し上げる例ですが、大阪府の教員評価について聞いてきたのですけれども、こういう評価になっているのです。
つまり、能力ですよ。能力、適性の評価をするというわけですから、この能力の評価、学習指導、学習指導以外、校務遂行ということで評価をする。学習指導では、授業を、五項目ありまして、授業の研究、準備、計画的、効果的な授業の展開、臨機応変な授業の展開、それから授業の改善、こういう五項目でそれぞれ満たしている、満たしていないと。評価だから、やはりできたかできないかということになるわけで、満たしている、満たしていないということでして、評定というのがあるのです。
その評定では、S段階で極めてすぐれている、A段階は十分な職務遂行能力を有している、B段階は基本的な職務遂行能力がある。C段階では基本的な職務遂行能力を満たしていないところがある。Dは極めて不十分である。まさに五段階評価、評定になっているわけですね。それぞれ、学習指導以外でも校務遂行についてもそういう評定になっている。総合として、S、A、B、C、Dというふうになっているということなんです。
今後の育成方針としては四項目がございまして、伸ばしたい能力と補いたい能力、従事させたい業務、受講させたい研修ということを校長が書き込むようになっているということで、校長が評価をするということになっているのです。
現場ではこんなふうに動いていくのですが、こういうことなんでしょうか。
○矢野政府参考人 十年経験者研修におきましては、先ほど申し上げましたように、それぞれの任命権者が評価を行うことになるわけでございますが、任命権者が行う評価は、これは個々の教員の教科指導、生徒指導等に関する指導力等を詳細に分析をいたしまして、当該教員の能力、適性に応じた研修としてどのような研修を行うべきか、そういう観点に立って実施されるものでございます。
そこで、今委員は大阪府についての評価の例をお示しになりましたけれども、実は私ども、詳細を今の段階できちんと把握しているわけではございませんが、電話等でお聞きしている限りにおきましては、勤務成績、勤務成績評定ということのようでございまして、それは、まさに勤務全般を対象として、評価の結果を人事異動や昇給等の身分取り扱いの上で活用するために、そういうものとして実施されているようでございますので、そういう意味では、私どもが今回十年研修において行おうとする評価とは、目的や趣旨を異にするものというふうに理解をいたしているものでございます。
○石井(郁)委員 大阪府の教育委員会は、昨年の七月にもう作成しているんですよ。指導力不足等教員への支援及び指導の手引きなどとして、もう下におりています。文部省が知らなかったらおかしいでしょう。
それで、今大事なことを言われました、勤務評定的な評価と研修の評価は違うと。でも、目的は違うと言われたんであって、内容的に違うということは言われていないでしょう。だって、教科指導とか、授業の指導とか、評価とかということを先ほどあなたもおっしゃったじゃないですか。生徒指導、教科指導についても評価しますよとおっしゃったでしょう。ここでも、まさにこの観点、項目の例示というのは、学習指導、生徒指導、学級経営、ずっとありますよ。こういうことがやはり研修のときにも評価の項目になるんじゃないんですか。ただ目的が違うけれども、中身は一緒だということにもなりますよ。
○矢野政府参考人 繰り返しになりますけれども、十年研の研修における評価というのは、要は、その教員にとってどのような研修を行うべきか、そういう観点に立って、例えば教科指導、生徒指導等に関する指導力がどうであるかということを詳細に分析し、そういう観点で行うものでございます。
今お示しになりました大阪の例、これは、私はそのものを持っておりませんけれども、十年研の評価とは全く違うものとして、つまり、勤務評価としておつくりになったというふうに理解をいたしてございますから、その勤務評価というのは、それぞれの例えから申し上げまして、私が申し上げましたような指導力について状態がどうであるかといったような評価ではなくて、勤務成績を、勤務全般を評価するものとしておつくりになっているはずでございますから、今申し上げましたように、目的も違いますし、実態、具体的な中身においても、もちろん一部重なるものはあるかもしれませんけれども、基本的にはそういう視点が違うわけでございますから、違うものとして考えられるところでございます。
○石井(郁)委員 研修を行うために計画書が必要だ、その計画書をつくるために個々の能力、適性についての評価をするというふうにおっしゃいましたけれども、では、その評価というのは十年目でしょう、その教師の一年間の能力ではかるわけにはいかない、多分、十年間トータルとしてはかるわけですよね。これも考えようによっては大変な話ですよね。
というか、私は、現実的にそれはどんなふうになるんだろうとなかなかイメージがわきませんので、ちょっと具体的に申し上げますが、例えば、十年間一つの学校に勤務していらっしゃる方だといいかもしれないけれども、しかし、校長だってかわるでしょう。校長も、今、十年同じ学校にいるという保証はないでしょう。かわりますよね。校長もかわる。教員だってA校、B校と勤務がかわるという状況でしょう。そうすると、A校では大変学校はうまくいきました、いいクラス運営もできましたということがあるけれども、B校に行ったら、大変荒れた学校に行きました、そこでは本当にその先生の指導力をもってしてもクラスはまとまらなかった、そういうことってあるでしょう。では、C校に行ったら今度はどうなるのか。
今、教員の指導力といいますが、本当に地域の条件、学校の条件によって違う。これは、先ほどNHKの教育番組の話もございましたけれども、そういう例はNHKでも放映になっていましたよ。ここでは本当にいい授業が実践できた、しかし、場所が変わったらうまくいかなかった、逆に言うと、変わったらまたもとのようにすごくいい実践ができた、そういうことが実態でしょう。
そんなときに、十年間トータルでこの人にはどういう研修が必要かなんてことをどうやって評価するのか。では、この一点だけお答えください。
○矢野政府参考人 具体的なイメージを申し上げますと、当該教員が今年四月から十年研の対象となったといたします。そうしますと、その教員につきまして、任命権者は評価の基準を当然のことながらお示しをして、そしてそれに基づきまして、その当該教員が属する学校長が、大体、イメージといたしましては一学期間ぐらいの期間を一つのタームといたしまして、その当該教員についての先ほど申し上げましたような観点、指導力の状態はどうであるかといったような観点から、教頭や主任等の協力を得ながら評価を行うわけでございます。そして、その評価に基づいて当該校長において研修計画書の案を作成する、こういう手続になろうかと思います。
そういう評価案、またそれに基づく研修計画書案を校長においてつくり、この評価及び研修計画の作成の制度上の責任者である任命権者がそれをベースにして、ほかの校長等のバランス等を考えながら、校長等の均衡等の調整を行いながら、最終的に任命権者が評価を行い、その評価に基づく研修計画書を決定する、そしてそれに基づいて夏休みあたりから具体的な研修が実施される、こういうことになろうかと思います。
○石井(郁)委員 今、校長が評価案を作成するというお話でございますよね。先ほどは勤務評定とこの研修の評価とは違うという話ですけれども、多分似通ったものになるだろうということは予測されるので、それこそ今、予測かおそれかのお話ですが、予測されるんです。
この大阪の例で申しますけれども、観点、項目の例示というのは六項目にわたってその細かな内容があるんですけれども、私、全部ちょっと数えなかったけれども、恐らく三十項目以上になるんですよね。評価とかになると、大体細かく細かくしていくじゃないですか、でしょう。だから、校長先生がそういう細かな細かなことを一人一人見ていくということになると、私が心配するのは、評価に校長が追われてしまって、本当に今子供の方に目を向けなきゃいけないのに、その子供の方に目が行かないじゃないの。この観点はどうか、この観点はどうか、こういうことになっていきはしませんか。これは本当に、学校をよくする、教師の全体としての指導力を上げていく、学校の力をつけていくということにつながるのかというふうに思うんですね。
さてそこで、大臣にぜひ伺いたいと思います、今ずっと局長とやりとりをしてまいりましたから。
今回の十年経験者研修というのは、今ずっと議論になったように、研修を受ける者の能力、適性を評価する、そして計画書をつくって行うということになるんですけれども、そうすると、この先生はこの研修が必要、この先生はこの研修が必要、このランクの研修が必要、教師がランク別に分けられていくということに、そういう研修を受けざるを得ないのではないかということは、結局、現場ではランクづけで教師たちが振り分けされてしまう、教師の能力で振り分けされてしまうということにつながるのではないか。これは人事管理の強化にもつながっていくということになりはしないかということなんですね。
そういう意味で、大臣の方にも、先ほど局長からは、一定、通達で、かなり細かな基準のように私は聞きましたけれども、基準を出されるということですが、その基準は出されるということは確認してよろしいですか。
○遠山国務大臣 十年経験者の研修におきまして各任命権者が行う評価でございますけれども、その場合、教員の能力、適性等に応じて研修をするに際して、どのような研修を行うべきかという観点で実施されるものでございまして、私は、御指摘のような教員をランクづけすることを目的とするようなものでは決してないと考えます。むしろ、教員という職にある人が本当にいい教育をしているかどうか、あるいは今後もっとよい教育をしてもらうにはどうしたらいいかという角度から、こういう点についてさらに研修してもらったらいいというふうに見て、その研修計画を立てるのが校長であり、そういうふうに運営されていくと私は思うわけでございます。
この評価の具体的な方法等につきましては、各都道府県教育委員会が実施します研修事業の内容などにおいて異なると考えるわけでございますけれども、先ほど来の御議論にもありますように、我が省といたしましては、評価の基準など、評価の具体的な方法について、一つの参考ですね、これは決して強制ということではなくて、一つの参考となるものを示したいと考えているところでございます。
○石井(郁)委員 だから、評価と研修内容がセットなんですよね。私は、その研修内容についてもどういう研修内容を考えていらっしゃるかということも本当はお聞きしたいんですが、その前段の評価がまず行われるということですから、きょうはそれについて質問しているわけでございますけれども、有名な教員の地位に関する勧告、一九六六年のILO・ユネスコ共同の勧告でございますけれども、こういうふうにあるんですよね。「教員の勤務についてなんらかの直接評定が必要とされる場合には、このような勤務評定は、客観的なものとし、当該教員に知らされるものとする。」それから二項目に、「教員は、不当と考える勤務評定に対して不服を申し立てる権利を有するものとする。」これはいわゆる勤務評定に関する部分でございますけれども、今回も、研修の評価も私はやはり評価だと思うんですよ。
だから、教員の評価を行うということなんですから、どういう基準でどういう評価になるのか。それから、その評価は本人にちゃんと知らされるのか。私は、先ほどの議論を聞いていまして、これは評価だから知らせないという話があってびっくりしたんですね。だって、子供だって成績評価、ちゃんと通知表を渡すじゃないですか。教員が、あなたにはこういう研修が必要だなんてことを、本人に知らせないで行うなんてことはやはりあり得ないですよね。その点はいかがですか。これも大臣にお伺いします。
○遠山国務大臣 十年経験者研修におきます評価は、任命権者がその権限と責任において行うものでございまして、受講する教諭等への開示が手続上不可欠になるといった性格のものではございません。しかしながら、その研修がより一層実効あるものにするためには、教員自身がみずからの課題を認識して、その解決に向けて主体的、自発的に努力してもらうということが非常に大事であるわけでございます。
そのような観点から、我が省といたしましては、十年経験者研修におきましても、各任命権者におきまして必要に応じて評価結果などを教員に示して説明する、そして教員自身がみずからの課題を明確に認識した上で研修に取り組むといった方向が望ましいのではないかというふうに考えております。
○石井(郁)委員 先ほど来も本当に議論にありますように、研修というのは本来自主的にやらなきゃいけない。それから、やはり自分の力量というのは自分が一番わかっているんじゃないでしょうか、ある面で。もちろん、自己評価と、他己評価という客観的な評価はやはり必要ですけれども、何よりも本人が納得をするということが大事でしょう。そういう意味では、そういうことをちゃんと踏まえなきゃいけないということを強調しておきたいというふうに思うんです。
ただ、私は、今回やはり評価の基準ということを、本当はこの委員会できちんと出すべきだと思うんですよ。先ほどは例示として幾つか述べられただけでしょう。だけれども、そのほかだってあるかもしれない。その程度で、そんなことで、この委員会でこの重要な法案を通していいのかという問題があるんですね。本来だと、都道府県に通達を出すその内容というのは、本当は文書にしてここへきちんとお出ししなさい、そうでなければ審議できないというぐらい私は言いたいと思っているんですよ、本心は。ちょっと失礼ですよ、委員会の審議に対して文科省は。こういうことはやっちゃいけませんよ。
なぜ私こだわるかといいますと、これは昨年の国会の当委員会の審議で、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律がございましたね。いわゆる指導が不適切な教員の問題でした。あのときも、私は、この不適切というふうに認定をする基準というのは何なのか、出してくださいと言ったけれども、とうとう出しませんでしたよ。出さなくて、これはあくまでも例示ですということで三項目出されましたね、皆さんも覚えていらっしゃるというふうに思うんですけれども。だから、これは各都道府県委員会に後はお任せするという話だったわけです。
でも、そうした中でも、昨年のこの委員会の審議の中で、指導力不足教員と疾病、精神疾患とは切り離すということがありました。これは遠山大臣が、「精神疾患である教員については、医療的観点に基づいた措置が講じられるべきものと考えておりまして、」というふうに、今回の措置の対象にはなりませんとはっきりお答えになりました。また、私生活の乱れや服装、言葉遣い、あるいはプライバシーに関係する、例えば借金はあるかとか、こういうことの問題についても、この不適切な教員という範疇ないし概念とは違うということで、不適切といわゆる不適格あるいは分限処分に当たる概念とは区別するということが確認されたというふうに思うんですね。
では、こうした問題で、各都道府県に対して今どういう指導が行われているのか、どういうことになっているか、ちょっとお答えいただきたいと思います。
○矢野政府参考人 委員が御指摘になりました、昨年の地教行法の改正の際の、児童または生徒に対する指導が不適切な教員についての扱いでございますが、これにつきましては、昨年の八月二十九日、事務次官名の通知を各都道府県教育委員会等に発出いたしまして、その中で、国会の議論の中で具体的にお示しをして、指導が不適切な教員の具体的な例としてということを国会の場において御説明申し上げました、その三つの例を各都道府県にお示しをしたわけでございます。
繰り返して恐縮でございますが、改めて申し上げますと、指導が不適切な教員の具体的な例としては、一つは、教科に関する専門的知識、技術等が不足しているために学習指導を適切に行うことができない場合、また二つには、指導方法が不適切であるために学習指導を適切に行うことができない場合、また三つ目には、児童生徒の心を理解する能力や意欲に欠け、学級運営や生活指導を適切に行うことができない場合、この三つを次官通達において具体の例としてお示しをして挙げてございます。
あわせて、これも先ほど委員が御紹介になりましたけれども、指導が適切に行うことができない原因が精神疾患に基づく場合には本措置の対象にならないものであって、これは医療的観点に立った措置あるいは分限処分等によって対応すべきものであるということをこの通知においてお示しをしたところでございます。
また、この趣旨につきましては、昨年九月及び本年一月の各都道府県教育委員会の教職員人事担当課長会議におきましても説明をいたしますとともに、地教行法第四十七条の二に基づく教育委員会規則の整備について指導を行うなどによりまして、国会で申し上げたその趣旨の徹底を図ってきたところでございます。
○石井(郁)委員 そういうふうにあなた方はおっしゃいますけれども、現実には驚くべきようなことが進んでいるんですよ。
私、ちょっと例を申し上げますが、新潟なんですが、指導が不適切な教員などの定義の中に、3として、精神疾患などで教壇に立つことがふさわしくない教員と挙がっているんですね。それから、当該教諭は以下の項目のどれに当てはまりますかという中で、私生活に問題がある、金銭感覚がルーズで、浪費、借金のトラブルがある、体調を崩してしばしば休暇、休養をとるとか云々、等々があるわけで、これはことしに入ってからだと思うんですけれども、私、調べてみましたら、大阪の場合でもやはりそうでした。指導力不足などの教員ということで四つの区分にして、四つというか、三つなんですけれども、疾病などにより指導力が発揮できない教員と挙げているんですよ。
もうついでに言ってしまいますが、福島県、教員の資質向上に関する懇談会、第一回懇談会で、指導力不足教員の定義についてという検討で、疾病などにより指導力が発揮できない教員、これは指導力不足教員。愛知県、判定基準として、資質、適格性の中に、服装、言葉遣い、振る舞い云々、あるいは生活状態で、家庭問題、金銭感覚がやはり挙がっています。滋賀県でもそうです、疾病というのが挙がっている。岡山県でも、教員の人間性、社会性、資質などとともに疾病が挙がる。高知県でも、人間関係、私生活云々挙がってくる。
これは、私がつかんだ、聞いた一部ですよ。文部科学省は、こういう事実をつかんでいないのでしょうか。つかんでいないとしたら怠慢だし、つかんでいて放置しているとしたら、これはもう本当に問題だというふうに私は思うんですが。
○矢野政府参考人 これは少し御説明を申し上げなければなりませんが、先ほど申し上げましたのは、地教行法の改正によって、指導が不適切な教員の対象になるものとしてこういう例がある、こういう例だということをお示しをして、その中には、精神的疾患等病気を抱えた者は指導が不適切な教員、すなわち法律に基づいて転職の対象になる教員にはならないということを国会でも御説明申し上げましたし、その趣旨を次官通知においても御説明申し上げました。
そこで、今委員が御指摘になりましたケースでございますが、もしあらかじめ御連絡をいただければ、どういう性格のものであるかということがチェックできたわけでございますけれども。
と申しますのは、昨年の国会の審議におきまして申し上げましたが、平成十二年度から、十三年度は全都道府県におきまして、新しい教員の人事管理の構築に関する実践研究というのを全国の都道府県において行っているわけでございます。
そして、その実践研究の中で、指導が不適切な教員をどうするかといったような問題以外に、県によっては、例えば心の問題を抱えた教員はどうするかといった、そういういわば人事管理上対応を必要とするテーマ、テーマと言ったら失礼でございますが、人事管理上対応を必要とするそういう事項なり事柄を県としてピックアップして、そしてそれについて人事管理システムとしてどう対応するかということを、実践的な研究をやっているわけでございます。したがって、県によっては、当然のことながら、地教行法の対象になる指導が不適切な教員以外に、精神的な疾患、心の問題を抱えた教員を人事管理上どうするかということを取り上げて研究をやっているわけでございます。
したがって、そのケースとして取り上げているケースはあるわけでございますので、もし事前に委員が、例えば精神疾患を、地教行法で言うところの不適切な教員の対象、すなわち転職の対象として取り上げているというならば、あらかじめ教えていただければ我が方はチェックできたわけでございますが、当然、今申し上げたように、全国で、今人事管理上対応しなければならないテーマとしていろいろなものを取り上げているわけです。その一環として今のようなケースもあり得るわけでございますから、その点、誤解のないようにしていただきたいと存じます。
○石井(郁)委員 私は今の答弁はとんでもないと思いますよ。あなた方が本来把握をし、チェックをしなきゃいけないことじゃないですか。それをサボっているんでしょう。何を言うんですか。こちらがレクをしなかったから悪いかのような、そんな答弁をされたら困りますよ、これは。
それから、今私は聞いていて、つくづくわかりました。今文部科学省が進めているのが人事管理方針だ、それから指導力不足教員だ、それから研修だと。だけれども、そのどれにも評価が絡んでいるじゃないですか。これはクロスしますよ。このときの評価はこれで、このときの評価はこのシートで、こっちはこうだ。現場はそんなふうに分けられませんよ。だからそういう話になるんじゃないですか。あなた方が混乱しているんです。現場に混乱を押しつけているんですよ。そこのところの反省をまずしないとだめです。これはとてもひどい話だと私は思います。
少なくとも国会としては、昨年こういう形で、指導力不足の定義は何だ、基準をどうするんだ、この委員会で本当に議論をした。だけれども、その議論が伝わっていない。だったら、国会の審議というのは何のために審議しているのかということになりますよ。大臣だってちゃんと御答弁になっている。その答弁が無視されている。こんなことというのはひどいんじゃないですか。だから、混乱しているんだったら、あなた方が整理してくださいよ。国会の審議は成り立ちませんよ、それは。
そこで、ちょっと済みません、委員長にも、だからやはり法案審議は時間をとってやらなきゃだめだということも、これは私たちの問題でありますけれども、申し上げたいんですけれども、だから、法案を出す以上、ちゃんと資料が欲しい。資料も今回本当にないんですよ。これもひどい。そして、きのうのレクだって、答弁が、だってくるくる変わるんですもの。答弁というか、どういう答弁になるのかと聞いても、ああでもない、こうでもない、どうなんだろうか、戻って考えます。戻って考えて、何も伝わってこない。だったら私は質問をつくれないじゃないですか。こういう審議をしちゃだめだと思います。これは委員長にもぜひお計らいいただきたいと思います。
○鈴木(恒)委員長代理 はい。
○石井(郁)委員 それで、時間が参りますので先に進みますけれども、もう一点大事な問題は、今出たように、先ほども出ていますけれども、不適切教員にリンクするのかどうかということがやはりあるんですね。それははっきりしてもらわないと困る。先ほどの質疑の中でも、研修後に再評価をするというのがあったでしょう。あなたは、研修後にも再評価すると。では、この再評価でまた研修するということなんですか。それとも、もうおやめください、教員には不向きですということになるんじゃないですか。
少なくとも現場にいる教員からしたら、研修後の再評価でもう一度研修なんて言われたら、普通はもう教員をやる気なくしますね。それはプライドとしてもそうじゃないですか。それはなくしますよ。あなたはもう教員だめですと言われたようなものでしょう。そういうことでしょう。では、こういう意味で、不適切教員の研修にリンクするのかどうか。
それから、これも中教審答申では、免許状の更新制というのは今回見送りだと言ったけれども、これは事実上の更新制につながるんだということも言われているんでしょう。この二点について、はっきりお答えください。では、大臣。
○遠山国務大臣 一点目のリンクするかどうかについては、リンクいたしません。
二点目の免許更新制導入には、今回のは当たらないということでございます。
結論はそうでございますけれども、リンクしないということについてやや付言させていただきますと、十年経験者研修は、教員の資質能力の向上を図る観点から、それぞれの能力、適性に応じた研修を実施するものでございまして、指導が不適切な教員へ対応することを目的とするものではございません。いわゆる指導力不足教員につきましては、教職経験が十年に達するか否かにかかわりなく迅速に把握して、直ちに指導力の改善等に向けた指導、研修を行うことが必要でございまして、この十年研修とは別途対応すべきものであると考えております。
ということで、先ほどの免許更新制でないということにつきましては、先般の中央教育審議会の答申におきまして、免許更新制の導入については、現時点における制度上の制約などに加えて、その政策的有効性についても十分検討を進めたところ、導入にはなお慎重にならざるを得ないという結論をいただいているところでございます。
○石井(郁)委員 ですから、今、評価や研修やということをめぐって、指導力不足等々をめぐって、大変な現場は混乱状態にあるというふうに私は思いますが、こんなやり方を続けていけば、結局、教師は伸び伸びした教育活動になるどころか、校長とか教育委員会の顔色をうかがうという教員をつくってしまうことになるんじゃないか、評価というのは大体そういう側面がありますでしょう。教員の本当の指導力の向上ということにつながらないんじゃないかということを私は一番心配するわけです。
大体これは、きょうはうちの先生は研修に行っていると子供はわかりますし、父母だってわかるでしょう、保護者だって。ああまた研修だとか、そう言って、今情報社会ですから。そうすると、うちの担任はこういう研修をさせられているのよという話になりますよ、親の間だって。それは教師と親の関係だってよくしていかない、信頼関係をつくっていかない、子供と教師の信頼関係だって、私は断ち切ってしまう、そういうことだと思うんですね。
だから、この問題は本当に現場では、やはり慎重にあるいは神経質に、大事に、丁寧にやっていかなきゃいけないということを強調したいと思いますし、何よりも私はこういうやり方を押しつけないことだというふうに思うんですね。
最初に申し上げましたように、もう既に都道府県が必死になって、相当な資料を持って、十年研修、五年研修、十五年研修をやっていらっしゃるんですから、もう相当な蓄積ですよ、これは。だから、なぜわざわざ今義務づけるのかと。現在やっているのに、やっていないんなら必要だという話もあるけれども、なぜ義務づけるんだ、そんな必要はないじゃないかと。今都道府県のやっていらっしゃる研修で、現行でいいのじゃないか。これはぜひ大臣、いかがですか、いいとは言えないでしょうけれども。
○遠山国務大臣 先ほど来御説明しておりましたように、確かに各任命権者は一生懸命研修に取り組んでくれていると思いますが、全体を見渡しますと、その実施状況は三分の二にすぎないというようなこともございますし、本当にすぐれた教員を得るというためにさまざまな工夫がなされるべきということで、今回、慎重な検討の結果、こういうことで法案を出させていただいているわけでございます。
委員がいろいろ評価という問題について御心配というのはわからないでもないんでございますけれども、これからの日本の社会というのは、よい意味での競争というものがあらゆる場面で必要になってまいりますし、きちんとした評価のもとにすぐれた研修が行われていることについて、むしろ教員の方々は胸を張って、これからもっと自分たちはよくなるんだということを十分に認識された上で対応していただけるのではないかなと思うところでございます。
〔鈴木(恒)委員長代理退席、委員長着席〕
○石井(郁)委員 現在の実施状況が三分の二というのは、私はちょっとこの答弁はもう一度検討していただきたい。これは調査室の資料によっても、全都道府県でやっていることになっていますよ、十年研修、十五年研修と見ますと。だって、これは資料をいただいているじゃないですか。だから、三分の二というのは、実質の数なのか、実施主体の都道府県の数なのかということがあるのかもしれませんけれども、もう少し現状を正確に言っていただかないと困るかなというふうに思います。
時間ですので、最後になりますけれども、私は、先ほど、ILO・ユネスコ共同の教員の地位に関する勧告を引用させていただきましたが、教員の研修問題と、あるいは教員の職責とか職務上の身分の保障というのは、非常にやはり一体のものとしてつかまなきゃいけないというふうに思うんですね。
これは、教育公務員特例法の第十九条も、その職責の遂行のために絶えず研究と修養に努めなきゃいけないということがあるし、教育基本法も、教員は全体の奉仕者だ、自己の使命を自覚して職責の遂行に努めるということがあるんです。ユネスコの教員の地位に関する勧告では、こんなふうにあるんですよね。いかなる指導監督制度も、教員の職務の遂行に際して教員を鼓舞し、かつ、援助するように計画されたものとする、教員の自由、創意及び責任を減殺、失わせないというか、しないようなものとするというふうに言っています。
だから、やはり教員には自由とか創意とか、もちろん責任ということが課されるわけで、それらを鼓舞し援助する、これがやはり指導監督、行政の役割なんだということでありまして、私は、そういう観点からすると、今法案は教員の活動を萎縮させるものだ、この教育基本法にも教員の地位に関する勧告にも反すると言わざるを得ないわけですが、大臣のその点での御認識を伺っておきたいと思います。
○遠山国務大臣 そういう御意見を承りながら、つくづく思うんでございますけれども、やはり教員は、それぞれみずからの力に自信を持って子供たちの教育に当たってもらいたいと思うわけでございます。今回の十年研修というものはしっかりした自信を持ってもらうために行うところでございまして、それは、教育についての実力を備えた、そして心情においても、生徒指導においても、十分期待される職務を達成できる、そういう資質を十分に持っていただくために研修するわけでございまして、まさにその研修以後の教員生活において、教員のあり方について、むしろ鼓舞をし援助する、そのための研修であるというふうにもとれるわけでございまして、私は、この研修自体は、個々の教員にとっても非常に大事でございますし、何よりも日本の学校教育の充実のためにまことに重要な内容であるというふうに考えております。
○石井(郁)委員 自信を持ってもらいたいという大臣のお気持ちかもしれませんが、こういうことをやると現場はむしろ自信を喪失させていくというふうに私は一番心配をいたします。
先ほど、教育公務員特例法ですが、この第二項には、教育公務員の任命権者は、教育公務員の研修について、それに要する施設、研修を推奨するための方途その他研修に関する計画を樹立して、その実施に努めなければいけないということがありまして、評価して研修させるということが主ではなくて、研修に要する施設とか研修を推奨するための方途等々、その研修の条件を、やはり環境をつくるということだろうと思うんですよね。そこのところが、まず文部科学省が真っ先にやるべきことじゃないのかという点が一点。
既に、研修について言えば、初任者研修、ちょうど私も初任者研修のときの国会におりましたけれども、初任者研修に始まって、三年次研修、五年次研修、十年次研修、十五年次研修、二十年次研修もあるんですよ、現場は。そして管理職研修がある、職能研修などがある。現場はもう研修漬けだ、研修で疲れてしまっている。
だから、先ほど武山先生がおっしゃっていましたけれども、指導力不足ということが問題になるような現状というのは何で起きたのかと。研修、研修でやってきて、こういうことになったとしたらおかしいじゃないですかということがあるでしょう。だから、やはり文部科学省として、本当にこの間現場に対してどういう、それこそ援助するような、激励するような施策を行ってきたのかということが、私はやはり一番問われると思います。
子供たちとのかかわりが少なくなっているとか、研修に追われて忙し過ぎるとか、こういう声が満ちあふれているんですよね。こういうそれこそ画一的な押しつけはやめるべきだということを強く強調いたしまして、時間になりましたので、終わりたいと思います。
以上です。
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○河村委員長 これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、順次これを許します。石井郁子君。
○石井(郁)委員 私は、日本共産党を代表して、教育公務員特例法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
今回の改正は、質疑でも明らかなように、現行法制のもとで、すべての都道府県教育委員会などが行っている教職十年経験者研修を法律で義務づけ、研修の本質を変えてしまうと言わざるを得ません。
この十年経験者研修は、十年を経過した教員すべてに対して、能力、適性などについて評価を行い、その結果に基づき、当該者ごとに計画書を作成するとされています。この先生はAランク、この先生はCランクと評価し、ランク別の研修を受けさせることにもなり、これではまさに研修の名によるランクづけ、ふるい分けになりかねません。
また、中教審で、研修後の評価によっては他職種へ配置転換もできるとしており、実際には、指導が不適切な教員とリンクするものと言わざるを得ません。
教育公務員特例法第十九条の「教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。」と明記されていることは、教育基本法第六条二項の言う身分の尊重、待遇の適正が前提となっています。また、ILO・ユネスコ共同の教員の地位に関する勧告でも、「いかなる指導監督制度も、教員の職務の遂行に際して教員を鼓舞し、かつ、援助するように計画されるものとし、また、教員の自由、創意及び責任を減殺しないようなものとする。」と、教員の職業上の自由を明らかにしています。
今なすべきは、初任者研修に始まり、三年次研修、五年次研修、十年次研修、十五年次研修、二十年次研修など研修に追われている教員の研修漬けという実態、その内容を見直すべきであり、多忙化の解消や少人数学級の実施による負担軽減など、研修条件を改善するための施策こそ求められています。教員の指導力の向上は、学校の教職員集団による教員の自主的、主体的な研修、教師、保護者などとの共同によって図られるものです。
この法案は、研修の名をかりた評価によって教員をふるい分け、人事管理の強化につながるため、到底認めることはできません。
以上、反対討論とします。(拍手)
―――――――――――――
○河村委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、教育公務員特例法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○河村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○河村委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、鈴木恒夫君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。山谷えり子君。
○山谷委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
教育公務員特例法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府及び関係者は、本法施行に当たり、次の事項について配慮すべきである。
一 十年経験者研修の実施に当たっては、教員一人一人の専門性の向上や得意分野を伸ばすなど、真にニーズに応じたものとなるよう、実施に当たる任命権者等においては、実施期間、場、実施方法等に関し様々な創意をこらすこと。
二 国や任命権者等においては、研修の実施に伴って教育現場に支障を来たさぬような態勢の整備及び財政措置等の条件整備に努めること。
三 任命権者等においては、十年経験者研修がその効果をあげ得るよう、研修企画の策定や研修内容の評価に当たっては、関係者等と連携し、教員のニーズや現場の意見反映などに努めること。
四 十年経験者研修においては、自己評価を行うことなどによって、教員の自主的・主体的な研修意欲が喚起されるよう促すこと。
五 これからの学校教育においては、様々な得意分野や専門分野を持った教職員が協働して教育効果等を高める必要があることから、教員だけではなく、様々な職種の専門性向上のための施策の検討や、研修機会の充実を促進すること。
以上であります。
何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○河村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○河村委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。



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