日本共産党の石井郁子議員は11日の衆院青少年問題に関する特別委員会で、引きこもり問題について「10代から20代にかけて日本の青少年の深刻な社会問題となっている。これは一人一人の人生の問題であると同時に日本の将来にとっての大問題」として、政府の積極的な取り組みを求めました。
福田康夫官房長官は「今月下旬に青少年の育成に関する有識者懇談会をつくるが、この中で引きこもり問題についても議論を十分していただく」と答えました。
石井議員は、厚生労働省が家族の相談窓口とするよう都道府県に指示した保健所や精神保健福祉センターでは、引きこもりを対象としたデイケアグループ活動が半数に満たないなど対策が進んでいないことを指摘し、専門家の養成や相談員の質と量の充実を要求。また、引きこもりを克服するために労働参加の場面をつくり、人間関係や共同生活の送り方を訓練する場所が必要と述べ、これらに取り組むNPOへの財政的援助を求めました。
高原亮治障害保健福祉部長は、NPOへの財政的援助について「一定の要件に該当するものについては積極的に進めたい」と述べました。
また、「引きこもりの四割強が高校時代から。毎年11万人を超える高校中退者をどう見ているか」と質問。矢野文部省初中局長は「不登校と引きこもりとは関係があるようだが、今後さらなる分析・研究が必要」と答弁。石井議員は「高校における不登校の実態をしっかりつかんでほしい」と要求しました。
平成十四年四月十一日(木曜日)
午後二時十八分開議
出席委員
委員長 青山 二三君
理事 高橋 一郎君 理事 土屋 品子君
理事 林田 彪君 理事 森田 健作君
理事 肥田美代子君 理事 山口 壯君
理事 丸谷 佳織君 理事 黄川田 徹君
小野 晋也君 小渕 優子君
大野 松茂君 岡下 信子君
阪上 善秀君 鈴木 俊一君
谷川 和穗君 保利 耕輔君
増原 義剛君 石毛えい子君
鍵田 節哉君 今田 保典君
武正 公一君 水島 広子君
山谷えり子君 石井 郁子君
原 陽子君
…………………………………
国務大臣(内閣官房長官) 福田 康夫君
内閣府副大臣 松下 忠洋君
法務副大臣 横内 正明君
厚生労働副大臣 狩野 安君
内閣府大臣政務官 奥山 茂彦君
文部科学大臣政務官 池坊 保子君
政府参考人(内閣府政策統括官) 江崎 芳雄君
政府参考人(内閣府男女共同参画局長) 坂東眞理子君
政府参考人(法務省民事局長) 房村 精一君
政府参考人(外務省総合外交政策局国際社会協力部長) 高橋 恒一君
政府参考人(財務省大臣官房審議官) 飯島 健司君
政府参考人(文部科学省大臣官房審議官) 玉井日出夫君
政府参考人(文部科学省生涯学習政策局長) 近藤 信司君
政府参考人(文部科学省初等中等教育局長) 矢野 重典君
政府参考人(文部科学省スポーツ・青少年局長) 遠藤純一郎君
政府参考人(厚生労働省健康局長) 下田 智久君
政府参考人(厚生労働省雇用均等・児童家庭局長) 岩田喜美枝君
政府参考人(厚生労働省社会・援護局長) 真野 章君
政府参考人(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 高原 亮治君
衆議院調査局青少年問題に関する特別調査室長 柴田 寛治君
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
青少年問題に関する件
――――◇―――――
○青山委員長 次に、石井郁子さん。
○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
青少年の引きこもりが深刻な社会問題となっております。私、きょうは、この問題で質問させていただきます。
引きこもり親の会がございまして、KHJ親の会というのですけれども、そこによりますと、現在八十万人くらいいるのではないかというふうに言われています。また、引きこもり年数も、三年、五年、十五年を超える人も出ているということですね。
こうした引きこもり青少年の社会参加、社会復帰のために、民間組織や地方自治体がいろいろな取り組みを始めているところだと思います。激しい親への暴力で家庭崩壊のケースも出ているのに社会的救済は皆無に近いという親の声、また、この問題に専ら取り組んでいるNPOの皆さんの痛切な声がいろいろございますけれども、今、行政はこうした声に積極的にこたえるときだというふうに私は考えています。
そこで、まず長官に伺いたいのですけれども、先般、官房長官の所信表明がございました。そこで、青少年の深刻な状況に触れられていたと思いますけれども、引きこもりということには言及がございませんでした。また、内閣としても青少年育成推進要綱を発表してございますけれども、これを見ましても、引きこもりということが全然出てこないのですね。私は、これほどの社会問題になっている中で、大変奇異に感じたわけでございます。そこで、長官に、この引きこもりという問題をどのように御認識していらっしゃるのか、ぜひ伺いたいと思います。
○福田国務大臣 近年、引きこもりというのが大変大きな問題になってきておるということは承知しております。特に、十代、二十代の青少年ですね。この問題は、家族らを含めた支援が必要な重要な課題だというように思っております。
青少年育成推進要綱において、引きこもり問題対策を直接には取り上げておりません。けれども、不登校とかいわゆる学校不適応の問題とともに、より広い問題として、「社会生活への積極的な適応ができなかったり、その努力を避けたりする内面的な問題行動についても、注視していく必要がある。」というような認識は、この要綱の中に示されておるところでございます。
○石井(郁)委員 厚生労働省が昨年五月に、社会的引きこもり対応ガイドラインをまとめました。そこで、今後、全国の保健所や精神保健福祉センターを家族の相談窓口とするように都道府県に指示しているというふうに思います。このこと自体、ようやく行政として一定の対策というか、対応をし出したかなというふうに思うんですけれども、親の会からも大変歓迎されていますし、もっと充実してほしいということになっていくかというふうに思うんですね。
そのガイドラインを見ますと、調査に回答があった精神保健福祉センター五十カ所、保健所六百二十三カ所、保健所は六百四十一カ所ありますから回答があったのはその数だということですけれども、そこで、引きこもりというのは増加傾向にあるというふうに答えていらっしゃった方が約六割ですね。ですから、ずっとこれからふえていくだろうということです。
しかし、保健所やセンターがどういう活動をしているのかというふうに見ますと、引きこもりを対象としたデイケアグループ活動を行っていないと。だから、親の相談窓口となるようにといっても、デイケアグループ活動が行われていない。その保健所は三百六十八カ所、センターは二十九カ所ございます。また、引きこもり家族の交流会や家族向け学習会を開いていないという保健所は百四十六カ所ございます。ですから、私は、せいぜいこの半数程度しか、何らかの窓口としての対応あるいは受け入れができていないのかなというふうに思います。
まず、厚生労働省、この調査をどのように受けとめていらっしゃるのか、お聞かせください。
○高原政府参考人 従来から、思春期精神保健業務といたしまして、引きこもりの相談を受けてきたところでございます。
しかしながら、残念なことに、どういうふうにやったらいいのか、援助手法が必ずしも普及していなかったのかなと思うわけでございまして、そういうことで必ずしも十分な対応をとられてこなかったと考えておりまして、先生御指摘の平成十三年五月に、「十代・二十代を中心とした「社会的引きこもり」をめぐる地域精神保健活動のガイドライン」、これを二万部作成いたしまして、児童相談所、保健所、精神保健福祉センターなどの相談機関や、文化庁、警察庁等の関係機関にお配りいたしましたとともに、十三年度から、これはモデル事業でございますが、引きこもりを含む思春期の問題行動に的確な支援を行うために、思春期精神保健ケースマネジメントを全国七都県で開始しております。また、これは先ほど来いろいろ御指摘ございますが、引きこもりを含む思春期精神保健に関する専門家、これは必ずしも多くございません。そこに着目いたしまして、平成十三年度より、思春期精神保健対策専門研修を開始したところでございます。
今後とも、関係部局間で十分連携いたしまして、適切な対応を進めていきたいと考えています。
○石井(郁)委員 調査報告書を見ますと、保健所やセンターが指摘していますのは、相談支援上の問題点という中に、専門家の不足、治療相談体制の未整備ということだろうと思うんですね。だから、ほとんど、こういう分野はこれからの課題であるわけです。
私も、この質問に当たって、新聞報道なども見ますと、いろいろな声や取り組みがなされつつあるという中で、東京都の精神保健福祉センターの地域援助医長の方は、専門的な医師や臨床心理士の養成が必要だということとか、また、同じ都の中部総合精神保健福祉センターの計画調査係長さんも、最も難しいのは引きこもりの原因の見きわめ、また、見きわめるには相談員の教育を充実する必要があると。やはり専門家、相談員の養成ということが今欠かせないという指摘かというふうに思うんですね。
そこで、今もお話ありましたが、専門家の養成あるいは相談員の養成というか、質あるいは量の充実というようなことについて、厚生労働省としてもっと具体的に計画をお持ちかどうか、お尋ねします。
○高原政府参考人 ただいまお答え申し上げたとおり、平成十三年から、専門家の養成を図るため、医師、看護士、精神保健福祉士などを対象に、思春期精神保健対策専門研修会を実施しております。平成十三年度におきましては、合計四百三十一名が研修を修了したところでございます。
厚生労働省といたしましては、研修修了者の名簿を作成いたしまして、それを各方面に配付することによりまして、引きこもりを含みます思春期精神保健の専門家の効果的な活用を図るとともに、関係機関相互の連携をより一層推進してまいりたいと考えております。また、この研修会の事業につきましても、ちゃんと継続するつもりでございます。
○石井(郁)委員 このガイドラインでは、社会的引きこもりという定義づけですね、さまざまな要因によって社会的な参加の場面が狭まっている、自宅以外での生活の場が長期にわたって失われている状態ということかと思うんですね。
大変な苦労の中での研究の一つの到達点だろうと私も思いますけれども、ここにあるように、引きこもりを克服していくには、労働への参加あるいは社会的な参加の場面をたくさんつくらなきゃいけない、また、人間関係をつくり上げていく、その共同生活が大事だと。そういう意味で、子供たちにいろいろな意味での教育訓練の場をその子供に合わせてつくっていかなくちゃいけないというふうに考えるわけです。
それで、こうした取り組みをしているのが、今のところ、専ら民間のNPO組織だというふうに思うんですね。例えば、引きこもりの青年の自立支援、社会復帰を促すための職業体験の取り組みなど、いろいろしておられます。
これは、千葉のNPOニュースタート事務局で見たんですけれども、高齢者向けのデイサービスセンターと託児所を合体させて福祉コンビニを運営する、それで、お年寄りとか幼児の世話などの職業体験を一緒に取り組んでいるとか、そういう例がこの間いろいろ出ているかというふうに思うんです。
その辺でいいますと、政府としてこういう取り組み、あるいは公的な機関でやっているところというのは、今、何があるんでしょう。あるいは、公的にそういう機関をつくろうというお考えがおありかどうか、お聞かせください。
○高原政府参考人 御案内のとおり、引きこもりの状態から回復しまして社会に再参加するためのステップといたしまして、仲間であるとか、本人の居場所であるとか、仕事場であるとか、こういうふうなものが極めて重要でございます。こういうこともガイドラインの中に記載しておるわけでございますが、こういった機能を果たすものとして、民間団体や、引きこもりから立ち直った人たちのサポートとか、そういうふうな団体が、例えば、類型的に言いますと、精神障害者社会復帰施設、グループホームなどの経営も可能でございますし、国庫補助の対象にもなるわけでございます。また、作業所とかそういうふうな形で考えてみましても、小規模作業所のうち一定の要件を満たす場合には、運営費に対して助成を行っております。
○石井(郁)委員 私は、十代から二十代という大変大事な時期に、いろいろな意味で人間形成の時期でもあり、社会参加を準備する時期ですから、今、これは日本の社会が生み出している一つの現象なわけですから、その子供たちに対して、やはり特別な公的な機関というのは独自に要るんだろうというふうに思うんですね。
このことはもっと今後も提起していきたいというふうに思うんですが、今、とりあえずいろいろな形で民間の方々が取り組んでいらっしゃるということですから、このNPOへの財政的支援というのはすぐにも政府としてやるべきではないのかということを強調したいというふうに思います。
これは一つの例ですが、岩手県盛岡にNPOポランの広場というのがあるそうですが、毎週火曜、金曜の二回、相談業務を行う、家庭訪問もしている、経費は一カ月で二十五万から三十万かかってしまう、寄附収入だけでは到底足らない、だから利用者に初回のみ三千円の相談料ですよということですけれども、その利用者が相談に来るのも大変だ、交通費もかかるというようなこと、いろいろございますね。また、いろいろなイベントを行ったら、それの費用もまたかかる、足が出る。そういう例というのは各地にあるわけですよ。
私は、このガイドラインでも、こういうNPOへの援助、民間への援助というのは公的機関の今後の課題だということも書かれているかと思うんですが、民間、NPOへの財政的支援をもっと強めるべきだというふうに思いますが、その辺のお考えはいかがですか。
○高原政府参考人 財政的なサポートにつきましては、一定の要件に該当するものについては積極的に進めてまいりたいと考えております。
○石井(郁)委員 その一定の要件というのはどういう要件ですか。先ほどの、何か精神障害者の施設等という話ですか。一定の要件というのを簡単に教えてください。
○高原政府参考人 一つは、精神保健という切り口でございます。もう一つは、地域保健というふうな切り口でございまして、地域保健の方は、市町村ないしは地方公共団体のメニュー事業といたしまして、一定の範囲で国費を支出しております。
○石井(郁)委員 詳しくはまたこの後でも伺いたいというふうに思いますけれども、そこまでにしておきます。
次に、文部科学省にお尋ねしますけれども、高等学校における中途退学者の問題です。
文科省初中局として、「生徒指導上の諸問題の現状と文部省の施策について」というのをいつも年末に発表されまして、そこでは、いじめや自殺や不登校の生徒数がどうなのかという状況が出されるわけでして、その中に、高校の中退者数が毎年発表されます。近年では十一万でしょう。在学者数の二・六%ぐらいです。これは相当な数ですね。これは減らないんですから。毎年毎年なんですから。
私がきょう伺いたいのは、高校の中退者の中に不登校問題というのを含んで考えているのかどうかということなんですよ。高校における不登校の実態というのはどういうふうにつかんでいらっしゃるのか、お答えください。
○矢野政府参考人 高校の中退者と不登校あるいは引きこもりとの関係についてのお尋ねでございます。
社団法人青少年健康センターというところの調査では、全国の精神保健福祉センター及び保健所におきます引きこもりの相談件数約六千のうち、小中高等学校での不登校経験ありという者が四〇・七%、そういう結果がございます。また、旧文部省が研究グループに委嘱した調査結果によりますと、中学三年次に不登校であって、卒業後、高校等へ進学した者のうち、約三八%が中途退学を経験している、そういう調査結果もあるわけでございます。
こうした調査結果から考えますと、不登校や引きこもりと高校中退者との関係については、一定の関係があるというふうに考えられるわけでございますけれども、このことにつきましては、今後、さらなる専門的な分析や研究が必要であろうかと考えているところでございます。
○石井(郁)委員 先ほどの親の会のアンケートによりますと、引きこもりの発生時代の四五%というのは高校時代なんですよ。だから、そういう視点で高校中退をとらえないといけないということだ思うんですが、文部科学省の施策の中には、この調査という項目の中にはこれもまた全然出てこないんですね。だから、一体、高校の実態というのは本当につかむ気があるのかないのか。私は、そういう目で実態をきちっと把握しなきゃいけないというふうに思いますし、それを強く要望しておきたいと思います。
時間が参りましたので、最後に、長官にもう一度御決意を伺っておきたいと思うんです。
きょう、本当にわずかな時間ですけれども、十代から二十代にかけて、日本の青少年のある部分が引きこもりという深刻な状態に遭っているということですね。それについて、私は、本当に一人一人の人生の問題、かけがえのないその子供たちの人生の問題であると同時に、日本の将来にとっての大問題だというふうに思うんですね。そういうことで、政府として積極的に取り組むべきだ、この施策は端緒についたばかりですから。
そして、私は、もう一点、各省庁がどういう連携のもとに、どういう方向で進んでいるのかというのがもう一つ見えないんですね。そういう点でも、全体を統括する立場の内閣府でございますので、ぜひこの機会に、長官としてどういう姿勢と決意で今後臨んでいかれるのか、最後にお聞かせいただきたいと思います。
○福田国務大臣 内閣府では、変革期にある我が国社会の現状等を踏まえまして、青少年の育成のあり方を改めて問い直して、中長期を見据えた骨太のビジョン、すなわち青少年プラン、これは仮称でございますけれども、これの策定を進めていこうというように考えております。
このプランの作成のために役立つように、青少年の育成に関する有識者懇談会というものをつくりまして、今月の下旬からこの懇談会を開催し、有識者から青少年の育成の基本的な方向などについて幅広い意見を聴取していこうといたしております。この中で、青少年に関する問題状況の一つとしての引きこもり問題についても御議論を十分していただこうと思っているところでございます。
○石井(郁)委員 時間が参りました。以上で終わります。



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