2002年3月29日「しんぶん赤旗」より
林紀子議員は、参院文教科学委員会で19日、昨年の「学級編成及び教職員定数法改正」で、国の基準(四十人)を下回る学級編成が都道府県の判断でできることになった問題について質問しました。
林氏は、文部科学省として、今年度いくつの県が実施し、来年度はいくつの県が実施するのかと質問。遠山敦子文科相は「今年度は十府県で実施されている。来年度は今年度よりは多くなると思うが、確定した数字はつかんでいない」と答弁しました。
林氏は「学級編成基準の弾力化」から二年目で、少人数学級が全国のおよそ三分の一以上の県に広がったのは、子どもたちに目が行き届きやすい少人数学級が切実な要望であることを示しているとのべました。
そのうえで、対象が小学校低学年などに限られているのは、低学年が大事だという点はあるが、財政上の問題で教員増は全額自治体の負担になるため、高学年に拡大できないことを指摘。国として三十人学級を早期に実現し、少なくとも少人数学級を実施している自治体に対しては必要な財政援助を行うべきだと主張しました。
2002年4月7日「しんぶん赤旗」より
林紀子議員は、参院文教委員会で3月19日、文部科学省が検討を進めている障害児学校への就学基準見直しについて質問しました。
林氏は、今回の改正基準について「肢体不自由」の基準で上肢が不自由な子どもが、「知的障害」の基準で重度の子どもでも対象から外れる可能性があると問題点を指摘しました。文部科学省の矢野重典初等中等教育局長は「肢体不自由については、上肢を除外するものではない。知的障害では、生活年齢に応じたコミュニケーション能力などを総合的に判断するもの」と説明しました。
林氏は、就学指導委員会について、「新たな規定では、市町村の教育委員会が専門家に意見を聴取するのは『盲・聾(ろう)・養護学校への就学』に限っている。すべての障害児の教育的措置について専門家の意見を聞くべきで、就学にあたっては保護者の意見を尊重する必要がある」と主張しました。矢野局長は「(盲・聾・養護学校の対象とならない)軽度の子についても専門家の意見を聞くことを教育委員会に指導していきたい」「保護者の意見表明の機会を確保することを通知において指導する」と答えました。
○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。
まず、遠山大臣に二点お聞きしたいと思います。
昨年の法改正で、四十人という国の基準を下回る学級編制が都道府県の判断でできることになりました。三月三日の毎日新聞によりますと、今年度七府県が実施し、来年度は今年度の三倍近くの十九道府県で実施するということが報じられております。
また、三月十日の朝日新聞によりますと、今年度五県、来年度は十六県で実施する。マスコミの調査ですので数がばらばらですけれども、文部科学省としては今年度幾つの県が実施し、来年度は幾つの県が実施するとつかんでいるのか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(遠山敦子君) 今の件でございますけれども、私どもの調べたところによりますと、平成十三年度におきましては、小学校低学年や生徒指導が困難である学校などにつきまして、十の府県が学級編制の弾力化を実施しているところでございます。
平成十四年度にこの少人数学級を実施する都道府県は、十三年度よりは多数に上るものと考えられますけれども、現在、各都道府県で予算の審議を行っているところでございまして、確定した数字は私どもとしては把握いたしておりません。
○林紀子君 十四年度はこれからということですけれども、十三年度の数を見る限りでは、マスコミが調査したものよりも上回っているということですね。学級編制基準の弾力化から二年目でこの少人数学級が全国およそ三分の一の県に広がった、大変なスピードだと思うわけですが、子供たちに目が行き届きやすい少人数学級がそれだけ切実な要望であるということを示していると思います。
しかし、対象が小学校低学年などに限られている。これは、低学年が大事だという気持ちもあると思うんですけれども、本当はもっと広げたい、だけど財政上の問題がある。教員増のお金、予算というのは全額自治体の負担になるわけですね。これもマスコミ情報ですけれども、数千万円から数億円の予算が計上されているということです。
ですから、このように自治体ごとに導入していったのでは、自治体の財政状況など、地域の格差をどうしても生むことになってしまうと思うんですね。ですから、教育の機会均等という精神からいっても、やはり国として三十人学級を早期に実現すべきではないでしょうか。そして、特に少人数学級を実施している自治体に対しましては、国として必要な財政援助を行うべきだと思いますけれども、大臣、どうでしょう。
○国務大臣(遠山敦子君) 昨年の教職員定数の標準法に関する法改正の際に御議論をいただきまして、義務教育の妥当な規模と内容を全国的に保障するために四十人学級の標準でいくということで、今日動いているわけでございます。
今御指摘の都道府県独自の学級編制基準の引下げによる学級数の増加ということでございますけれども、国庫負担の対象となる定数を超えて必要となる教員につきましては自治体が独自の定数措置を行うべきものでございまして、それについて国庫負担の対象とはしないということでございます。
○林紀子君 これだけの勢いで広がっているということは、文部科学省も予想をしていたのかいないのかは分かりませんけれども、確かに大変な動きだと思うわけですね。そして、国に三十人学級の実現を求める自治体の意見書採択というのは、もう全自治体の過半数になっているわけですね。ですから、是非とも三十人学級というのは、今までいろいろ論議をいたしましたけれども、これだけ要望が大きいというところに立ち返って、是非このことをもう一度考えていただきたい。
小泉首相は米百俵の精神というのをどこでもおっしゃるわけですけれども、米百俵の精神ということを言うならば、本当に教育にこそ予算を使う、三十人学級、将来に向けてこの予算を使うというのは当然のことなんだと思うわけです。
そして次に、私も障害児学校への就学基準の見直しについて御質問をしたいと思います。
障害児の教育では、障害や発達の程度に基づいて科学や技術の成果を生かして、その子供の発達にとって一番ふさわしい学校を選べるようにする、これが基本ではないかと思います。
この立場からお伺いいたしますが、障害児学校への就学基準を決めている学校教育法施行令二十二条の三の表というものを今回改正するということを伺っております。
しかし、幾つか心配な点がありますので、具体的にお聞きしていきたいと思います。
まず、この表で、知的障害者の基準の改正案ではこうなっているわけですね。「知的発達の遅滞の程度が、意思疎通が困難で日常生活において支障があり援助を必要とする程度のもの」、そういう障害児が養護学校の対象となるというふうになっているわけです。しかし、知的障害が重くても、年齢が高くなりますと生活経験が積み重なって、必ずしも意思疎通が困難ではない、簡単な意思疎通だったらできると、こういう例はたくさんあるわけです。
ですから、こういう表現では、知的障害の重い子供が養護学校に行くという対象から外されてしまう心配が出てくるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) 今回の就学基準の見直しに当たりましては、養護学校の就学指導の対象となる知的障害者とは、先ほど御指摘がございましたように、知的発達の遅滞の程度が、意思疎通に困難があり日常生活上の援助を必要とする程度のものを考えているわけでございます。
そこで、意思疎通が困難であることとは、相手の話を部分的にしか理解できず、適切な応答ができない状態を言いまして、これは生活年齢に応じて一般的に有すると考えられるコミュニケーション能力を有するかどうかの観点から判断されることになるわけでございます。ですから、仮に十五歳の子供であっても三歳とか四歳程度のコミュニケーション能力がないということになれば、それは生活年齢に応じた能力という点で不十分だ、能力不足であるというふうに判断できるわけでございます。
したがいまして、知的障害が重度でございましても、教育によって、先ほどお話ございましたように、意思疎通の能力について改善することは考えられるわけでございますけれども、この基準に該当するかどうかにつきましては、知的障害のある児童生徒にとって最もふさわしい教育を行うとの観点に立って、当該児童生徒の知的機能の発達の遅滞、あるいは先ほど申し上げましたように、その年齢段階に求められるコミュニケーション能力あるいは日常生活の能力、そういうものを総合的に考慮して適切な就学先を決定されるということになろうかと思います。
○林紀子君 同じように、この表で肢体不自由についてなんですけれども、これまでの基準では上肢、下肢の障害というふうに規定されておりましたのに、今回作られるであろう基準というのは、歩行の不可能、困難、こういう言葉になっておりますので、これで考えますと、やはり下肢が不自由な子だけに限定される、そういう子供だけが養護学校に行けるということになってしまう可能性があるのではないか。ここも心配なんですが、これまでどおり上肢を含めた基準にすべきではないでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) 御指摘のように、現在、肢体不自由の基準では、上肢、下肢等の部位ごとに機能障害を規定しているわけでございますが、今回の見直しに当たりましては、障害を上肢、下肢等の部位ごとにとらえるのではなくて、体全体の運動機能を総合的に勘案をいたしまして、日常生活における基本的な動作が困難か否かで判断しようとするものでございます。
したがいまして、上肢等に障害がある場合につきましても、こうした観点から、養護学校の対象となる障害の程度に該当するか否かを判断するものでございまして、養護学校における教育の対象から除外するという趣旨のものではございません。
○林紀子君 そうしますと、上肢、下肢ということが分かるような文言をこの基準の中に入れるということになりますか。
○政府参考人(矢野重典君) これはあくまで「等」ということでございますので、あえて入れなくても、今私が申し上げたような趣旨の基準の内容でございますから、あえて入れる必要はなかろうかと思ってございます。
○林紀子君 「等」ということで「歩行等」の「等」で読めということはあるんですけれども、歩行という具体的な言葉が出ていますので、「等」と言って上肢までというのはなかなか難しいと思いますので、具体的な事例を並べて言うことは本当は必要はなくて、上肢、下肢という形ではっきりさせていただくのが一番いいんじゃないかというふうに思いますので、是非もう一度お考え直していただきたいというふうに思います。
次に、就学指導委員会についてお聞きしたいと思います。
新たに位置付けられました規定を見ますと、盲・聾・養護学校への就学についての通知を行おうとする場合にだけ市町村の教育委員会は専門的知識を有する者に意見を聴取するというふうになっているわけですけれども、これでは不十分なんじゃないかと思うわけですね。すべての障害児について教育措置を決めようとするときには、つまり、どこに就学することがその障害を持っている子供に一番ふさわしいのか、発達が一番保障されるのか、そういうことを決めるときに専門家で作っている委員会、つまり就学指導委員会に意見を聴くということが必要なのではないでしょうか。
それからもう一点、先ほども御質問がありましたけれども、保護者の意見、これは就学指導委員会にどのように反映されるのか、そしてまたそこでどのように尊重をされるのか、そのことも伺いたいと思います。
○政府参考人(矢野重典君) 障害のある児童生徒につきましては、障害の種類、程度に応じた適切な教育を行うために、市町村教育委員会が専門家の意見を聴きまして、児童生徒の障害の種類及び程度や必要な教育的支援等について的確な判断を行うことが重要であるわけでございまして、このため、今回の見直しに当たりましては、盲・聾・養護学校の対象となる障害のある児童生徒の就学指導に当たって、市町村の教育委員会が教育学、医学、心理学等の専門家の意見を聴く旨を定めることを考えているわけでございます。
また、お尋ねの就学基準に該当しない軽度の障害のある児童生徒の就学指導の具体的な実施につきましては、これは基本的には市町村教育委員会の判断によるべきものと考えておりますけれども、一人一人の教育的ニーズを把握して必要な教育的支援を行う観点から、専門家等の意見を聴くなどして適切な就学指導が行われるように、私どもといたしましても各教育委員会に対して指導をしてまいりたいと考えているところでございます。
また、保護者の意見を聴くことについてでございますけれども、保護者の意見を聴くということについては大変大事なことであると思っておりまして、そういう意味で保護者の意見表明の機会を確保するということが私どもも必要だろうと思ってございますので、この政令を改正いたしまして、各都道府県、市町村に対する指導を行う際には、指導通知等におきましてその旨を指導したいと考えておるところでございます。
○林紀子君 そうしますと、必ずしも盲・聾・養護学校への就学だけではなくて、それ以外の障害を持った子供さんの場合も専門家の意見を聴く、つまり、就学指導委員会ということになるのかなと思うんですが、そういう道があるということですね。
それから次に、例えば「二十一世紀の特殊教育の在り方について」の報告などでは、「障害の重度・重複化」という言葉が度々出てくるわけです。先ほども同僚委員からお話がありましたけれども。
それでは、この重度の障害というのはどういう状態なのかというのをお聞きしたいと思います。
○政府参考人(矢野重典君) 障害の重度・重複化のうち、重度の障害についてでございますが、重度の障害とは、移動、食事、排鳥つ等に際しまして全面的な介助を必要とするような状態でございまして、他の障害を併せ有する場合が多いわけでございますけれども、例えば進行性筋ジストロフィーや重症筋無力症などに見られるように、知的な発達の遅れはないけれども、座位を維持することができなかったり、日常生活において全面的な介助を要する者、そういう者もいるわけでございます。
○林紀子君 先ほど、重度化が進んでいるというのは言葉遣いとしておかしいんじゃないかという話もありましたけれども、私は、その障害の重度・重複ということでいつでもセットで使われているということは今のお話ありましたけれども、重度になると限りなく重複の障害ということになっていくのかなというふうに思うわけですね。
例えば、今、筋ジストロフィーのお話が出ましたけれども、筋ジストロフィーもだんだん進行していってほとんど体も動かなくなってしまうという大変な病気だということですけれども、筋ジストロフィーの方なども、最初は例えば病弱児というところに当たるのかもしれませんが、それが体が動かなくなったということになると、この肢体不自由者というところに重なり合うということになるのかなというふうにも思うわけですね。
今、重度のお話を聞きましたけれども、移動、食事、排せつ、全面的に介助が必要だということでは、正に重複障害の方と同じくらいに大変な手が要るといいますか、特別な手だてが必要だというふうに思っておりますので、やはり重度・重複ということで、重度と同じような手厚い手だてというのを今後も教育の場でも考えていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) 単一の重度の障害を持っている児童生徒に対しましては、障害の程度に応じた適切な教育が行われるように、学習指導要領におきまして教育上の特例が設けられておりまして、例えば、各教科の一部を取り扱わないこと、あるいは下の学年や下の学部の教科の内容に替えることが可能となっているほか、障害が重度で通学して教育を受けることが困難な場合には、教員を派遣して行う訪問教育も認められているわけでございます。
そういう意味で、御指摘のとおり、今後とも障害の重度・重複化を踏まえながら、特に教職員の専門性の向上あるいは指導方法の充実などによりまして、そうした重度の障害を持った子供も含めまして、障害の種類や程度に応じた適切な教育を行うように努力してまいりたいと考えているところでございます。
○林紀子君 私もまだお聞きしたいところがたくさん残ってしまったんですが、時間がありますので、最後に遠山大臣にお聞きしたいんですが、文部行政というのは、障害を持った子供すべてに適切な教育が漏れなく行われるような、そういう基準を作っていくというのが一つの大きな仕事だと思っているわけです。
今日質問いたしました問題も含めまして、今後、障害児教育をどのように充実をしていくのか、そこの所見を最後にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(遠山敦子君) 障害のある児童生徒につきましては、その可能性を最大限に伸ばし、自立をし、社会参加するために必要な力を培うために、障害の種類や程度などに応じて、盲・聾・養護学校やあるいは特殊学級等において特別な配慮の下により手厚くきめ細かな教育を行うことが必要でございます。
また、昨年一月、二十一世紀の特殊教育の在り方に関する調査研究協力者会議の最終報告では、障害の重度・重複化や社会のノーマライゼーション等、特殊教育をめぐる変化を踏まえまして、児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、必要な支援を行う必要があるということで幾つかの御提言がなされております。
こういう提言を踏まえまして、例えば平成十四年度予算におきましては、新たに特殊教育関係教職員の専門性の向上を図るモデル事業でありますとか、あるいは教育と労働が一体となって就業支援の体制を整備するための実践研究事業、更には情報バリアフリーを推進するために、盲・聾・養護学校等において一人一人の障害に対応した最新の情報機器等の整備をするための補助事業を盛り込んだところでございます。
今後とも、必要な制度の見直しあるいは施策の充実を図ることによりまして、障害のある児童生徒の教育の一層の充実に努めたいと考えております。



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