2002年3月29日「しんぶん赤旗」より

〃九九言えぬ中卒者も〃暴言

文科省の態度ただす

参院委 畑野議員


 畑野君枝議員は十九日の参院文教科学委員会で、教育課程審議会元会長の三浦朱門氏が「(新学習指導要領によって)かけ算の九九をえなくて中学を卒業する子も出るだろう」と発言した問題について文部科学省の態度をただしました。

 問題の発言は、週刊誌『アエラ』(三月十一日付)でのインタビユー記事。このなかで三浦氏が「これからはかけ算の九九を言えなくて中学を卒業する子も出るだろう。すべての生徒がある程度のレベルをマスターできると思うのは錯覚だし、マスターさせようとするのも愚かしい」と語りました。

 畑野氏は「かけ算の九九を言えなくて中学を卒業する」などという考えが新学習指導要領のねらいなのかと質問。岸田文雄副大臣は「新学習指導要領は、基礎基本を定着させるのが目的」で、「九九をはじめ基本的な部分をしっかり習得してもらう」と答弁。遠山敦子文科相は、三浦氏がどういう意図で発言したか必ずしも明らかでないので「コメントを差し控えたい」と答えました。

 畑野氏は、三浦朱門氏を文教科学委員会へ参考人として呼び、意見を聞くよう橋本聖子文教科学委員長に要請しました。


154-参-文教科学委員会-2号
2002年03月19日
畑野君枝議員 質問部分 会議録


○畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。
 まず初めに、この四月から完全学校五日制が始まります。先ほどからも議論がありますように、国民が不安に思っている一つに新学習指導要領の問題があると思います。
 今年の三月十一日付けの雑誌の中で、教育課程審議会元会長の三浦朱門氏がインタビューに答えております。その中で、このような発言があるわけです。「これからはかけ算の九九を言えなくて中学を卒業する子も出るだろう。すべての生徒がある程度のレベルをマスターできると思うのは錯覚だし、マスターさせようとするのも愚かしい。」、このように述べているわけです。私は、これは本当に多くの保護者やまた子供たちからも憤慨の声が寄せられる重大な問題だ、発言だというふうに思います。
 そこで伺いたいのですが、基礎・基本を定着させようという義務教育において、このような発言、掛け算の九九を言えなくて中学を卒業するなどということが教育の目的あるいは新学習指導要領のねらいであるというふうに文部科学省、お考えなんでしょうか。

○副大臣(岸田文雄君) 新しい学習指導要領、新しい体制におきましては、先生御指摘なられましたように、基礎・基本、厳選した上でこれをしっかり定着するというのが大変大きな目的、方針の柱であります。ですから、九九を始めとする基本的な部分につきましては、しっかりと子供たちに習得してもらわなければいけないというふうに考えております。
 学力に対する不安等いろいろな声が出ておりますが、午前中もちょっとお話し申し上げましたように、授業数の削減は七%でありますし、その中で個々に応じた様々な対応が工夫されております。効率的にこの時間を使用するというようなこと等も考えますときに、是非この制度をしっかりと活用して、学力の低下につながらないように最善を尽くしていきたいと思っております。

○畑野君枝君 遠山文部科学大臣、御確認させていただきますけれども、こうした三浦朱門氏の発言というのは文部科学省の考えではない、こういうことでよろしいですか。

○国務大臣(遠山敦子君) 今、岸田副大臣の方からお答えいたしましたように、正に新たな学習指導要領のねらいとするものはそういう内容でございまして、三浦氏がどういう意図でおっしゃったか必ずしも明らかではございませんので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

○畑野君枝君 私、文部科学大臣が「学びのすすめ」で最低基準と学習指導要領の問題を、新学習指導要領の問題をおっしゃり、そして一方で教育課程審議会の元会長ができない人はそれなりにという趣旨をおっしゃる。余りにも新学習指導要領の解釈が違い過ぎると思うんですね。無責任ではないでしょうか。
 そういう点で私、委員長にお願いしたいのですが、新学習指導要領の原型を作ったのは三浦朱門氏、当時の教育課程審議会委員であり、会長の発言なんですね。大変重大であるわけですので、新学習指導要領がどのような目的で作られたのか、参考人として是非本院にお呼びしてお尋ねをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○委員長(橋本聖子君) 理事会で協議させていただいて、今の件について協議させていただきます。

○畑野君枝君 これにかかわりまして、学力テストが全国で行われております。その結果によって新学習指導要領、これを見直すということはあるのでしょうか。

○副大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、今年一月から二月に掛けて、現行学習指導要領の下で児童生徒の学力を把握するために全国的な学力調査、教育課程実施状況調査でありますが、四十九万人規模で行っております。
 この学力調査、その現行の学習指導要領の下での学力を把握するということでありますから、この調査自体はこの新学習指導要領に直接反映するものではないと考えておりますが、この調査、今後とも継続して行っていきたいと思っております。継続した調査を続けながら、総合的にこの結果を検証して、その総合的に検証した結果は新学習指導要領痛反冉長るということはあり得ると思っています。

○畑野君枝君 そうしますと、新学習指導要領に反映するというのは、その次の学習指導要領に反映するということですね。

○副大臣(岸田文雄君) 新学習指導要領というのは四月から始まる新学習指導要領、これについて今後継続した学力調査を行って、それを総合的に勘案して反映することは考えていかなければいけないと思っています。

○畑野君枝君 新学習要領自身が膨らむといいますか、そういうふうになるんですか。反映するというのはどういう意味ですか。

○副大臣訴岸田文雄君) 学力調査を継続して行い、その結果、調査の結果を見て、学習指導要領において何か考えるべき点があるかどうか、それを検証していき、それを反映するということでございます。

○畑野君枝君 ということは、新学習指導要領をもう一回検討するということも含めて、はい。

○副大臣(岸田文雄君) 制度、仕組みとして反映することは可能であると、可能性としてあるということでありまして、どんな結果が出るかこれはまだ分かりませんので、それはその結果を見て検討することになるかと存銚爪す。

○畑野君枝君 その結果を新学習指導要領に反映する可能性があるということでございました。
 私たちは、やっぱり本当にこの現場、保護者、子供たち、もう大変な状況を抱懲ているわけですから、学習内容をどうするかというのは、やはり一番現場を知っている、子供たちの状況を知っている学校の先生方が子供の発達段階に応じてやはりきちっと進めていくと、任せていくべきだというふうに思います。
 さて次に、定時制高校の問題について伺います。
 今、定時制高校は、不況で経済的に困窮している家庭が増え、また不登校や中途退学の生徒が増える中で定時制高抻の役割が見直されてきているというふうに思います。
 例えば、ある十八歳の定時制高校に通う生徒は、定時制の魅力は何といっても入りやすいことだというふうに言って、中学校のときに不登校になったけれども定時制高校に入って学校のイメージが変わった、みんなが僕と同じように何か心に傷を持っていて、中学のときにはできなかった友達ができ、先生も友達感覚で、休み時間には職員室に会いに行きたくなる、授業のペースもゆっくりで、クラスの人数も少ないから分からないことは教えてもらえる、とにかく余裕ありありと言って、その中で今の自分や将来のことも考えることができるようになった、自分の意見を口に出して認めてもらえると自分に自信が持てるようになった、だから今のような定時制残してほしい、このように言っております。
 また、あるPTA会長の方は、我が子が定時制に通っていることをなかなか近所の人に言えなかったけれど、変化する子供の姿を見て私も成長しました、子育ての中で一日何度早く早くと言ったかわかりません、でも定時制は早くなくていいんです、いろんな子がいて、その人一人が認められる、そのことの大切さを定時制高校は教えてくれました、今では我が子が定時制を選んでくれたことを感謝しています、このように言われているわけです。
 さて、先日、三月一日、朝、昼、夜間三部制の定時制高校、横浜市立横浜総合高校の合格発表がありました。一次募集定員百四十一人に対して受験したのは何と七百三十七人、五・二倍の倍率になり、不合格者は約六百人、こういう事態が生まれました。一つのこうした定時制高校の入学で約六百人も不合格になる、ほかにはないのではないかと思います。こういう子供たちを本当に救っていくことが必要なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(矢野重典君) 私どもとして、各学校ごとの受験倍率等の調査を行っていないわけでございますが、高校再編等に伴いまして、新設高校の初年度入学者選抜におきましては、委員御指摘の、大変倍率が高くなるようなケースもあると承知をいたしているところでございまして、例えば平成十二年度の東京都立の桐ヶ丘高等学校、これも新設の高等学校でございますけれども、百二十人の募集人員に対して八百四十四人の応募があって倍率が七・〇三倍と、不合格者が七百二十四人といったような、そういうケースもあるわけでございます。
 ただ、今お話がございましたように、大変たくさんの不合格者を出すといったようなケースもあるわけでございますけれども、高等学校入学者選抜の定員をどのように設定するかにつきましては、これは過去の志願者の状況、あるいは中学校における進学希望、更には高等学校の施設等の状況を勘案しながら、それぞれの都道府県教育委員会の判断と責任においてお決めいただくことになるわけでございます。

○畑野君枝君 それは定時制高校の例ですか、東京の例は。

○政府参考人(矢野重典君) 総合制、単位制、定時制の、先ほどお話がございましたような、横浜市立横浜総合高等学校と同じ例ということでございます。

○畑野君枝君 それも本当に深刻な状況について人ごとのようにおっしゃっておりますけれども、それでいいというふうにお認めになるんですか。七百人、六百人の子供たちが、定棍制というのは神奈川県でいえば、一九八九年以来、二次までいけば全員が希望していれば入れた、そういう状況なんです。そして、全日制希望していた子も落ちれば定時制に行くということで、事前の段階では希望者少なくても、実際の受験者というのは四倍、五倍に増えているんです。この子供たちを路頭に迷わせていいというふうに文部科学省はお考えですか。

○政府参考人(矢野重典君) 先ほどの横浜総合高校の例で申しますと、私どもがお聞きしているところによりますれば、第一回選抜の不合格者は、神奈川県の公立高等学校入学者選抜におきまして、同校の第二回の選抜を受験するということや、更には他の定棍制高等学校を受験することも可能であるとのことでございまして、横浜総合高校の第二回の選抜の倍率は二・二五倍となったというふうに聞いているところでございますし、さらに、神奈川県におきましては、定時制高校につきまして、例年より倍率が高かったために募集定偖を拡大するなどの措置を取ったところというふうに聞いているところでございまして、いずれにいたしましても、これは率直に申し上げて、神奈川県教育委員会、横浜市教育委員会においてこれらの状況を踏まえ適切に対応をしていただかなければならないものと考えておるところでございます。

○畑野君枝君 私も実態を伺いましたけれども、そもそも全日制の枠が減る、そして定時制高校そのもの、横浜市立でいえば百四十人定員を減らす、それから今の経済不況、私学助成もまだまだ少ないから私学に行きたくても行けない、いろんな状況が相まって本当に大変な事態が生まれたわけです。これはほっておけないと、国であろうと県であろうと市であろうと、子供を思う教育者はみんな思うはずでございます。
 定時制高校の進学者というのは、この五年間の推移で見たら減っているのですか、増えているのですか。

○政府参考人(矢野重典君) 定時制高校の生徒数の推移をこの五年間で見ますと、平成九年が全国で、これは全国の生徒数でございますが、全国ベースの生徒数でございますが、十万一千九百八十二人でございまして、九、十、十一、十二、十三と大体同じような水準で、同じような数で推移をしております。
 ただ、平成十三年には少しその数が十一万一千八百二十七人でございますから、若干微増傾向にあろうかと思っております。

○畑野君枝君 同じような推移といいますけれども、実際増えているでしょう。ちょっと十年、十一年、十二年、言ってください。

○政府参考人(矢野重典君) 九年が十万一千九百八十二名、十年が十万二千百九十人、十一年が十万五千百三十一人、十二年が十万九千三百二十二名、それから十三年が先ほど申し上げた数字でございます。

○畑野君枝君 ですから、全体としても増えている。神奈川県や横浜市でもそうなんです。そういうときに定数削減をする、本当に無謀な話だというふうに思います。こういう点では、県や市が募集定員を増やす、あるいは教員増の必要性があるということになれば、教員の加配などの措置、これは国としても行って、就学保障の具体的な支援を進めるべきではないかと思いますが、いかがですか。

○政府参考人(矢野重典君) 公立高等学校の教員数につきましては、いわゆる高校標準法によりまして、県や市といった設置者ごとに必要となる教員数の標準を示しておりまして、この標準は生徒の収容定員による学校の規模等に応じて算定されることになっておるわけでございます。
 したがいまして、募集定員が増加する場合には高校標準法により算定される教員数にもそれだけ増という形で反映することとなるわけでございまして、当該学校において円滑に、募集定員が増される場合には当該学校において円滑に教育活動を行うために必要な教員数が今申し上げたような仕組みで確保されるものと考えているところでございます。

○畑野君枝君 今、定時制の募集がこの四月から停止される、そうした学校の父母からもいろいろな要望が出されております。こういう状況というのはもう前から言ってきたものであって、今回の事態が起きた段階で、やはり募集を停止した定時制高校の募集は再開してほしいとか、あるいは受けられる枠を広げてほしい、その場合も、教職員の配置含めて、生徒の学ぶ環境が悪くならないようにしてほしい、あるいは拡大する場合にはほかの学校の募集した生徒との不公平さが出ないようにしてほしい、いろいろな状況が出されているわけでございます。
 最後に、文部科学大臣に伺いたいのですが、やはり定時制で学びたいという子供たちに、文部科学大臣としても、頑張って学んでほしい、国としてできることはやる、そういう御決意を伺いたいと思います。

○国務大臣(遠山敦子君) 公立高校の問題でございますので、それぞれの地方公共団体においてしっかりと生徒の実情を踏まえて、そして必要な措置を取るということも必要でございましょうし、十分にそこのところは勘案していただいて、今日のいろんな子供をめぐる状況に適切に対応してもらいたいと考えます。

○畑野君枝君 終わります。

 
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