
2001年6月1日「しんぶん赤旗」より
日本共産党の志位和夫委員長は三十一日、国会内で記者会見し、残り会期が一カ月となったもとで与党側が教育関連三法案(注)の成立を強行しようという重大な動きがあるとして、会期末に拙速、強引に押しとおすことは許されないと述べ、十分な国民的討議の保障とともに法案の徹底審議を行い、廃案をめざす考えを表明しました。そのうえで法案の三つの重大な問題点を指摘しました。
第一は、競争教育のいっそうの激化をもたらすことです。志位氏は、高校の全県一学区への道を開き、全県規模で高校の序列化をすすめるものだと批判。さらに、現在一部に導入されている「飛び入学」を大学、大学院に導入する問題もあげ、「九八年に国連子どもの権利委員会が、日本に対し、『過度の競争的な教育制度によるストレスのため、子どもが発達のゆがみにさらされている』と是正勧告をしたが、この勧告に真っ向から反し、競争激化と序列化、子どものふるいわけを激しくするものだ」と指摘しました。
第二は、奉仕活動の強制です。志位氏は「子どもたちがさまざまな体験活動を自発的にのびのびやることは当然だが、『奉仕』を強制することはおよそ反教育的なことだ」と指摘。この根底には、「教育とは強制だ」という、反教育的な「教育観」があると述べました。
第三は、教育委員会が「不適切」と判断した教員を排除する内容が盛り込まれていることです。志位氏は「教員集団が自発的な研修を行ってレベルアップする努力や、父母と協力した学校づくりへの努力が全国で行われている。そういう努力こそ応援すべきなのに、教育委員会の恣意的な判断で教員を排除すれば、教員を管理主義でしばりつけて委縮させ、教育の荒廃につながる」と批判。「どれも教育の根幹にかかわる重大な問題だ」と述べました。
志位氏は、関連三法案が、森喜朗前首相の私的諮問機関にすぎない「教育改革国民会議」の、およそ教育的とはいえない雑談的な議論から思いつき的に出されたものだとして、「教育という国の五十年、百年という単位の大問題を会期末のドタバタで一気かせいに通そうというやり方は許されない」と強調しました。
教育関連三法案 学校教育法、社会教育法、地方教育行政法の「改正」案
2001年5月6日「しんぶん赤旗」より
政府は連休明けにも、学校教育法、社会教育法、地方教育行政法(地教行法)の教育関連三法「改正」案の審議に入ろうとしています。三法案は、首相の私的諮問機関で、「奉仕の義務化」や「エリート養成」を求めた教育改革国民会議の提言を具体化するものです。その中身は――。
現行の地教行法は、高校教育の普及と機会均等を図るため、教育委員会が高校の通学区を定めると決めています。「改正」案はこの規定を削除し、全県一区を可能にします。一部の“トップ校”に生徒を集めやすくするのが一つの狙い。一方で、生徒の集まりにくい学校は統廃合にさらされます。
「通学区には競争の緩和の趣旨があった」と文部科学省も認めています。学区の拡大、撤廃は競争教育を激化させます。
学校教育法「改正」案は、現在、数学、物理に限定している高校二年から大学への「飛び入学」を、全分野に広げようとしています。
九七年の「飛び入学」導入の際、日本数学会や日本物理教育学会は、「高校二年で才能を判定することは不可能」「偏差値による序列化がいっそう進む」ことを懸念し、「早期の大学入学よりも大切なことは…知識・教養のバランスの取れた成長」などとする声明や要望書を提出、強い異論を示しました。「飛び入学」に道を開いた第十四期中央教育審議会自身、「受験競争に利用される」との懸念から、分野や対象者の限定が適当としていました。
現行の学校教育法は、性行不良で他の児童の教育を妨げる場合、出席停止にできるとしています。「改正」案は、そこに(1)他の子に傷害、苦痛、損失を与える(2)職員に傷害、苦痛を与える(3)施設や設備を破壊する(4)授業を妨げる、という要件をくわえます。文部科学省は「これまでは要件が不明確で期待される運用がされなかった」と説明しています。
教育改革国民会議では、現職教員である委員が、学校をよくするには国家の強制力発揮が必要だと主張。「はみだす生徒は違う場所に収容し別のタイプの教育をする。その権限を学校に与えるべきだ」とのべて会議の議論をリードし、提言に「問題を起こす子どもへの教育をあいまいにしない」と盛り込まれました。
現行では、「勤務実績がよくない」「適格性を欠く」場合、地方公務員法で降格、免職されます。今回それにくわえ「指導が不適切」な場合、本人の同意なしで教職以外に配転することを可能にします。「不適格」とする基準や手続きは都道府県教育委員会が決めます。(地教行法)
文部科学省は「指導が不適切」とは、教育内容、方法が不適切で、子どもが理解できない難しいことばかりやる、板書ばかりしている、子どもの気持ちを理解しない言動、などをあげます。
ベテラン教員でも学級崩壊などに悩み、精神疾患が増えている中で、教員の不安をあおり、教育内容への不当な介入につながるものです。「日の丸」「君が代」押し付けに使われる可能性もあります。
教育改革国民会議は、道徳の手段として、学校での体験活動重視を提言しました。また「満十八歳で国民を奉仕役に動員する」という発想から、小・中学校で二週間、高校で一カ月間、奉仕活動をする、十八歳後の青年が一定期間奉仕活動をする社会的な仕組みをつくる、ことを提言しました。
それを受けて、学校教育法と社会教育法に「社会奉仕体験活動」を位置付けます。
学校教育法には、学校教育の目標を達成するために、学校が、社会奉仕体験活動、自然体験活動の充実に努めるとする規定を新たにくわえます。社会教育法には、教育委員会の事務のなかに、青少年に社会奉仕体験活動、自然体験活動の機会を提供する事業の実施、奨励を明記します。
社会教育行政、社会教育団体と学校教育の連携を図ることも、両法にくわえます。


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