
2001年3月24日「しんぶん赤旗」より
日本共産党、民主党、社民党の野党三党が提出した「三十人学級法案(標準法改正案)」は、二十二日の衆院本会議で否決されましたが、三党は同日、あらためて参院に同じ内容の法案を提出しました。新たに無所属の会も共同提案に加わりました。
一学級の子どもの人数や教職員の定数をさだめるのが「標準法」です。「どの子の力も引き出してほしい」「一人ひとりを大事にしてほしい」という父母の願いにこたえるのは、政府案と野党案のどちらか。比べてみました。
野党案は、十年間で小・中・高校の「三十人学級」を実現します。学級編制の標準を三十人にすることで、実際には二十人以下の学級も現れます。たとえば子どもの数が四十人の場合、現行の「四十人学級」では一クラスになり、配置される教員は一人です。「三十人学級」になれば、二十人のクラス二つになり教員は二人配置されます。ゆきとどいた教育のための条件が格段によくなります。
政府案は、学級編制の標準を四十人のまま据え置きます。「習熟度に差のつきやすい」特定の三科目で、二十人程度の少人数授業ができるようにする、としています。しかし計画されている教職員の増員(二万六千九百人)では、全国の小・中学校数(三万四千校)にも足りません。本当に二十人授業ができるのかも疑問視されています。
さらに文部科学省のめざす少人数授業は、学級の枠を超えて子どもたちを能力別のグループに分け、そのグループごとに授業内容に差をつける方向です。学年を飛び越えた習熟度別授業も視野にあります。
こうしたことがおこなわれれば、競争の激化を招き、子どもの心を傷つけ、子どもの成長・発達にとって大切な生活集団としての学級の形成が困難になるでしょう。
野党案は全国的に三十人学級を実現します。さらに都道府県が独自に三十人以下学級を実施することも認めます。また都道府県は、市町村が弾力的な学級編制をできるよう配慮することとしています。
政府案は、「特に必要がある」場合には、都道府県が四十人以下学級を実施するのを認めます。しかし市町村の意向を、都道府県が配慮する規定はありません。そのため長野県小海町などで起きたように、市町村が少人数学級にしようとするのを都道府県が抑えこむ事例が、引き続き起きる可能性があります。
政府案は、教員の定数の中で非常勤教員を採用できるようにしています。常勤一人分の定数を、四時間勤務の非常勤二人などに換算するものです。非常勤が増える分だけ、常勤教員の数が減ります。非常勤教員は、勤務時間の制約から職員会議、学年会議、校外学習などへの参加が限られます。常勤教員との授業の打ち合わせの時間もとれない実態があります。
| 野党案 | 政府案 | |
| 学級編成の標準 | 10年間で30人学級を実現 | 40人学級のまま |
| 教職員の増員数 | 10年間で小中学校約19万人、高校約8万4000人 | 5年間で小中学校2万6900人、高校約7000人 |
| 学級編成での自治体の裁量 | 市町村の意向で弾力的な編成ができるよう配慮 | 特例として都道府県の裁量を認める |
| 非常勤講師の採用 | 現行通り、非常勤講師は教員定数に含まない | 常勤の教員定数の中に非常勤講師をふくめる |
(西沢享子記者)


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