6月6日 文部科学委員会で
「教育改悪3法案」について質問


151-衆-文部科学委員会-16号 2001年06月06日

平成十三年六月六日(水曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 高市 早苗君
   理事 斉藤斗志二君 理事 鈴木 恒夫君
  理事 田野瀬良太郎君 理事 高橋 一郎君
   理事 平野 博文君 理事 藤村  修君
   理事 西  博義君 理事 都築  譲君
      小渕 優子君    岡下 信子君
      河村 建夫君    杉山 憲夫君
      砂田 圭佑君    谷垣 禎一君
      谷田 武彦君    谷本 龍哉君
      馳   浩君    林 省之介君
      増田 敏男君    松野 博一君
      水野 賢一君    森岡 正宏君
      大石 尚子君    鎌田さゆり君
      葉山  峻君    肥田美代子君
      牧  義夫君    松沢 成文君
      山口  壯君    山谷えり子君
      山元  勉君    池坊 保子君
      斉藤 鉄夫君    武山百合子君
      石井 郁子君    児玉 健次君
      中西 績介君    山内 惠子君
      松浪健四郎君
    …………………………………
   文部科学大臣       遠山 敦子君
   文部科学副大臣      青山  丘君
   文部科学副大臣      岸田 文雄君
   文部科学大臣政務官    池坊 保子君
   政府参考人(文部科学省生涯学習政策局長)    近藤 信司君
   政府参考人(文部科学省初等中等教育局長)    矢野 重典君
   政府参考人(文部科学省高等教育局長)       工藤 智規君
   政府参考人(文部科学省科学技術・学術政策局長)大熊 健司君
   文部科学委員会専門員   高橋 徳光君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)
 学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出第七一号)
 社会教育法の一部を改正する法律案(内閣提出第七二号)

     ――――◇―――――

○高市委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。石井郁子君。

○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子です。私は、本日は学校教育法の一部を改正する法律案と、引き続いて指導力不足教員の問題で質問をいたします。
 まず学校教育法でございますが、今回五十六条の第二項に「特に優れた資質を有すると認めるものを、当該大学に入学させることができる。」とし、いわゆる大学への飛び入学が、これまで数学、物理に限定してきたものが全分野へと対象が広がります。そして、大学の自主的判断にそれがゆだねられています。また、博士課程のある大学という要件がございましたけれども、これも撤廃される。四年制でも短大でも、また専修学校にも拡大しているわけであります。
 まず確認したいのですけれども、この法改正は、教育改革国民会議の報告を受けてのものでしょうか。これは大臣にお願いいたします。きょうはもう大臣でよろしく。

○遠山国務大臣 もちろん国民の間で広く、今の一律的な教育制度をより規制緩和してという要望が背景にあるわけでございますけれども、教育改革国民会議から昨年十二月、飛び入学について提言があり、我が省で本年一月、今後取り組むべき教育改革の全体像を示す二十一世紀教育新生プランを策定して、国民の皆様にその改革の方向を示したところであります。また、平成九年の中教審の答申でも、飛び入学の拡大は検討課題として示されていたところであります。このため、一定の要件を課すということを含めて、今回の改正案提出に至りました。

○石井(郁)委員 教育改革国民会議の提言を受けてということを確認したいと思うのですけれども、昨日も山元議員や中西議員からこの点での御質問がございましたけれども、今回の提案は、やはりこれまでの中教審の論議と全く違うのではないか、これは大変重大な問題だというふうに私は感じております。
 そこで、九一年の第十四期の中央教育審議会の答申では、大学への飛び入学についてどのような答申であったでしょうか。簡潔にお願いします。これも大臣に。

○遠山国務大臣 平成三年四月の第十四期中教審答申では、個性を尊重するこれからの時代においては、特定の分野において特に能力の伸長の著しい者に対して、その能力の一層の伸長を図るため、教育上の例外措置の導入を検討することが適当である旨提言されております。その際、当面「数学や物理などの特定の分野に関しては、特に能力の伸長の著しい中等教育段階の生徒に対して大学レベルの教育研究に触れる機会を与えること」「また、数学に関しては、大学入学年齢制限の緩和を試行的に実施することが望まれる。」ということを述べておりまして、これらについて専門的な調査研究を行う必要がある旨提言されております。

○石井(郁)委員 今御答弁いただきましたけれども、十四期中教審では、しかし、学校制度小委員会で大変審議が重ねられておりまして、平山郁夫東京芸術大学学長や数学、物理、音楽、体育の専門家を招いての意見聴取などがあったと思います。
 そこで出された結論は、各分野ごとに異なった教育上の例外措置を考慮することを提言するということで、殊に芸術方面の専門家は、人間的成長なくして才能の真の開花もない、学年制を守るべきことを強調している。ただし、数学や物理は事情が異なるので、我々は数学に関する限り大学入学年齢制限の緩和を試行的に実施することを要望しておきたいということがあったかと思います。だから、数学と物理の分野に限って大学レベルの教育研究に触れるチャンスを与える方途ということで、パイロット事業などが提唱されてきたと思うのですね。
 では、続いて九七年の第十五期中央教育審議会の第二次答申では、この問題はどのような結論だったのでしょうか。これも大臣からお示しいただきたいと思います。

○遠山国務大臣 第十五期中央教育審議会では、平成九年六月に取りまとめられた答申におきまして、数学や物理の分野において希有な才能を持つ者について、当面、高等学校に二年以上在学した十七歳以上の者を対象に、大学への入学を特例的に認める措置を講じることが適当であるとの提言が行われました。また、その際、「将来的には、対象分野の拡大も考えられるところであり、本答申に基づく実施状況を踏まえつつ、この点について検討を行っていく必要がある。」ことについても提言されております。

○石井(郁)委員 第十五期中教審でも小委員会で検討がされていたと思うのですが、どうして数学、物理なのかということに対しては、前期の答申、十四期ですね、これを踏まえることが絶対必要だということがあったかと思います。それで、今お話しのように十五期中教審では、特定の分野の希有な才能を有する者について、教育上の例外措置として大学入学資格を認めるという制度改革を行うことが適当であると考えたということで、当面数学や物理という分野に限られたわけであります。
 このことに対しても、日本数学会からは、飛び入学というのは大局的に見て問題点の方が大きいと言わざるを得ないという異論が出されています。また、日本物理教育学会からも、物理学の研究にふさわしい希有な才能を有する生徒を高校二年の段階で見つけ出すことは現実的に極めて困難という異議も唱えられていたものであります。
 十四期と十五期で、このように飛び入学について数学と物理の分野に限定してきたわけであります。しかも、慎重に議論をされてそうなったというふうに私は思っています。今回このように全分野に拡大することになったわけですね。しかも、短大にも拡大をする、対象も広げると。重大な変更ではないでしょうか。そこで、教育改革国民会議では、この問題をどのようにクリアして、こういう全分野に拡大ということになったのでしょうか。

○遠山国務大臣 平成九年の中教審答申の解釈でございますけれども、ここでは、先ほど申し上げましたように、飛び入学に関しまして、「将来的には、対象分野の拡大も考えられるところであり、本答申に基づく実施状況を踏まえつつ、この点について検討を行っていく必要がある。」とされたところであります。したがいまして、対象分野の拡大については、一定の方向性をお示しいただいていたものと承知いたしておりまして、今回の制度改正は、その延長線上にあるものと考えております。

○石井(郁)委員 お尋ねしたのは、教育改革国民会議ではこの問題をどのように議論され、クリアされたのかということでございますが。

○遠山国務大臣 教育改革国民会議では、総会の議論のほかに分科会でかなり突っ込んだ議論がなされたところでありますが、第三分科会を中心に、これは主として大学における創造的な人材養成のようなことを議論していただいた分科会でございますが、そこを中心に、独創的、創造的な活動ができる人材の育成の観点から、飛び入学について議論が行われました。その第三分科会の議論におきましては、一人一人の才能を伸ばし、創造性に富む日本人の育成に向けて、大学への飛び入学の一層の推進が必要であるとの合意が形成されまして、その結果、平成十二年七月の審議報告に、「特に優秀な子どもでその大学の教育目標に合う者は飛び入学ができるよう、現在、原則十八歳となっている大学入学年齢制限を撤廃する。」これは十七歳どころかずっと、もう原則外してしまえというふうな提言がなされたところであります。
 その後、分科会での提言を踏まえまして、平成十二年十二月の報告において同様の提言が取りまとめられたところであります。

○石井(郁)委員 確かに、創造的な人材をどう育てるかだとか、そういうことでの各委員の議論はいろいろあったかと思いますが、私がお尋ねしているのは、飛び入学という、しかも制度上重大な変更をもたらす問題についてどれだけ、参考人を呼んでのヒアリングだとか、あるいはいろいろな調査研究等々がされたのかという問題なんですね。今お示しいただきましたけれども、どうもそういうまともな議論を国民会議の第三分科会ではしている気配はないのですよ。そこが一つ大変重大な問題ではないかというふうに思うわけです。
 つまり、全分野に拡大をするというのは、十四期で将来的にはという一言はあったかもしれませんけれども、まさにどのように拡大するのか、それに伴ってどういう問題が生じるのかとか、当然いろいろな議論があるわけじゃないですか。将来的には拡大するということがあるから今回拡大しましたというのだったら、余りにも十四期、十五期の確認と今回の間は、もう間は何もないということになるわけでしょう。
 そこで、今回の法改正では、特にすぐれた資質を有すると認める者を入学させることができるというのですよね。これは、これまでの議論とは全く違うものだと言わなければなりません。十四期では、特定の分野に特に能力の伸長の著しい者について飛び入学ということは考えられるということだったわけでありまして、こういうふうに言っているのですね、一分野の天賦の才があり過ぎて、全教科の平均的能力を試される現在の受験体制に不向きな者に限って適用される救済措置だと。非常に、ある面での厳格な定義づけでされているというふうに思います。十五期はどうかといいますと、これは先ほどありましたけれども、特定の分野について希有な才能を有する者ということですよね。特にすぐれた資質を有する者とこれは全然違った定義ではないでしょうか。
 しかも、その飛び入学の対象が、博士課程を持つ大学という枠が外されて、短大にも専修学校にも入学できるということになるわけでしょう。だから、分野の拡大、それから対象、進める学校も拡大されているということですよね。もう大幅なというか、むちゃくちゃなというか、無限定な拡大になっているというふうに私は思うのですね。
 そこで、ぜひこれは伺いたいのですけれども、特にすぐれた資質を持つ者と、一分野に天賦の才があり過ぎる、そういう人、希有な才能、これは明らかに定義は違うのではないですか。これはどのように解釈されていますか。

○遠山国務大臣 今の制度化されている飛び入学の要件につきましては、「数学又は物理学の分野における特に優れた資質を有し、」ということを要件といたしております。
 確かに、平成九年の中教審答申は、特定の分野においてすぐれた能力や意欲を有する者のうち、特に、現在の学校教育制度の枠内における取り扱いでは、その個性や才能を十分に発揮できないほどの希有な才能を有する者について、数学や物理学の分野を対象に、十八歳未満であっても、教育上の例外措置として大学入学を認めるという制度改革を行うようにという提言をいただいたわけでございますが、これを受けての現行の飛び入学制度については、冒頭に読みましたように、特にすぐれた資質を有しているということを今も要件といたしております。
 したがいまして、今回の「特に優れた資質」という文言と、平成九年の中教審の答申に述べられた「稀有な才能」というのは、いずれも、現在の学校教育制度の枠内に置いておくのにはもったいないといいますか、そこでは十分に個性や才能を発揮できないほどのまれに見るすぐれた能力、特にすぐれた資質ということで今回の法改正を考えているところでございまして、私どもとしては、これは同趣旨のものというふうに考えております。
 では「特に優れた資質」というのはどういうことかということでございますが、それは特定の分野で、他にぬきんでてすぐれた資質のことでありまして、これはだれが見ても本当にすぐれているなという才能であろうかと思います。その中には、総合化する思考力でありますとか、構想力でありますとか、斬新な発想、あるいは独創的な考えを提起する力、理解の早さ、意欲の強さなどの点において極めて高い能力を有するということで、他にぬきんでて、きらりと光る才能であるということでありまして、通常見られる高校教育の中でのすべての科目にすぐれた点数を示すような、そういう人というのとは一味違った、そういう才能を持つ人について、将来の可能性をさらに高めるために広く道を開こうという趣旨でございます。

○石井(郁)委員 私は今いろいろ伺って、何かやはり、十四期、十五期中教審でかなり定義づけをして、限定的にとらえて数学と物理にした、そして博士課程を持つ大学への入学ということにしていたものが、分野も広げる、それから大学におろしてきている。短大にも専修学校にも。ということというのは、質的には全然違うわけでしょう。
 それは、まさにここで言う「特に優れた資質」という言い方と、「稀有な才能」、一分野に天賦の才があり過ぎるということで規定していたことにあらわれていたわけでしょう。だから、それは同じ趣旨だと言ったら、これは十四期と十五期の中教審の議論を大変ゆがめることになりませんかということが一点です。
 私は、だから十四期、十五期の中教審の趣旨と、今回の、まさに提起されている中身というのは、質的に全然違うものだということなんですね。そういう内容で出されてきたことですけれども、この法案化に当たって、なぜ中教審にこういう重大な内容をかけなかったのかということなんですね。それはいかがでしょうか。

○遠山国務大臣 今御説明しましたように、特にすぐれた資質を有すると認める者を早期から大学に進学させるという基本的な枠組みというのは、今回の改正案でも、現行の飛び入学制度と同様でございます。
 また、対象分野の制限の撤廃、それから実施し得る学校の範囲を拡大することとしておりますが、飛び入学の拡大については、平成九年の中教審答申におきましても、今後の課題として一定の方向性を示されているものでありまして、改めて中教審に審議を求めるまでもないということで、行政府の責任と判断によって、また、今回御審議いただいているように、ここ立法府での御審議を得て、対応可能なものと理解いたしております。
 先ほど党首討論でもございましたけれども、改革というものはスピードがなくてはいけないということでありまして、全体の大きな教育改革を進めていく際の、今回の全体的な改革の中にこれが盛り込まれたものと解釈しております。

○石井(郁)委員 私は大変重大な御答弁をいただいたと思っているのです。
 教育改革国民会議の第三分科会の第二回議事録を私も見てみました。こういうやりとりがあるのです。これはもう名前ははっきりしていますから読み上げます。
 これはクラーク委員ですね。きのう、うちの大学で教授会があった、飛び入学を許可する、大学は許すけれども文部省は禁止するでしょうと。それに対して大学課長がこう説明しています。中央教育審議会の議論で飛び入学を検討するに当たって賛否両論がある、その中でとりあえず数学、物理の分野に限った、この分野だったら合意が得られるのだというふうに申しました。するとクラーク委員は、けど、もし直すべきだと思えば直しますかと。それに対して大学課長は、もしそういうことであれば、改めて中央教育審議会で御審議をいただく必要があると思います、こう述べているのですよ。クラーク委員が、文部省が自主的にできないのかと重ねて言いますと、課長は、はい、これは中央教育審議会の御指摘を受けて制度改正したものであるということですと。そうしたら委員は、では我々は何のために集まっているという話で終わっていますけれども、こういうやりとりです。これが旧文部省のスタンスだったのじゃないですか。
 だから、大学課長が言っていましたように、教育改革国民会議の報告ができても中教審にかけるべき内容なんだ、そういうものなんだという認識をこれまで文部省はとっていた。どこで変えたのですか、なぜ変えたのですか、説明してください。

○遠山国務大臣 そういう分科会の検討の結果、教育改革国民会議において先ほど申し上げたような提言があったという事実でございます。それを受けて、我が文部科学省として、新たなプランの中にきちんと盛り込んで、改革の大きな柱として位置づけたということでございます。

○石井(郁)委員 全然答弁になっていませんね、なっていませんよ。
 教育改革国民会議の分科会で議論をされた、提言を受けたとおっしゃいますけれども、ぜひごらんください、まともに議論している形跡はありません。これは皆さんが読まれますから、だれが見たってすぐわかりますよ。何を議論しているのですか。ただ各委員が個々の意見を、創造的な人材が必要だ、能力を伸ばさなきゃいけないと述べ合っただけだ。そして、今申し上げましたこれが唯一ですよ、このクラーク委員と大学課長とのやりとりがあったという部分が。
 だから、一委員がとにかく飛び入学をやりたいという希望はあったでしょう。一委員の希望でこの法改正までやるのですか。やったというのが今度の問題じゃないのですか。これは重大ですよ。文部省の答弁をひっくり返している。中教審が二回にわたって議論をしてきた、その結論もひっくり返している。こういうことは許されるのですか。

○遠山国務大臣 この場で分科会のそれぞれの委員の御発言内容に深く立ち入ることは私はしたくないわけでございますが、今ごく一部をかいつまんでおっしゃった中身でありますので、私どもの手元にある議論、たくさんございますけれども、例えばこういう議論になっております。
 一人の方は、エリート教育のためには飛び入学がある、だが、日本は非常に消極的である。また、現状のような飛び入学をした学生への特別なチュートリアルは必要ないというようなことを言っております。それに対して、飛び入学反対の理由としてまだ人格が完成していないという意見がある、だが、人格は個人個人形成のスピードは異なるものであって非常にナンセンスな議論であるということを責任ある立場の委員が言っておられます。
 その他、議論は非常に活発をきわめた記録がきちんと残っておりまして、その一部分のところだけを取り上げて今の御議論でございますけれども、私としては、そのいろいろな御議論の結果を踏まえて教育改革国民会議における結論が出たものと解しております。

○石井(郁)委員 私の質問に対してまともに御答弁いただいていないと思っているのです。
 これまでの文部省大学課長の御答弁、中教審で議論をいただかなくちゃいけないことなんだと答えているわけでしょう。なぜそれをやらなかったのですかという問題が一点。
 それから、国民会議で今いろいろ議論されているというのをおっしゃいましたけれども、私も引いてみました。確かに、第三分科会をつくっているのですから、ここではエリート教育は議論になった。それは、各委員はそれぞれ持論、いろいろな意見を出されるでしょう。ただ、そのことと、今、本当に今、数学、物理の分野に限っていたものを対象を拡大する、それから博士課程を持つ大学というふうに要件をつけていたものさえも撤廃する、短大でも専修学校でもいいとなると、質的に全然違うことでしょう。それをごちゃごちゃにして、提案を受けたから私たちはやるんですだったら、本当にこれは文部科学省の姿勢が問われますよ。そういうことを文部科学省はやっていいんですかということを問われますよ。それはとんでもない話ですよ。
 だから、先ほど大臣は改革はスピードだとおっしゃいましたけれども、手続もむちゃくちゃにして、これまでの答弁もひっくり返して、中央教育審議会の結論もひっくり返して、または国会のこういう委員会の審議もそういう意味ではほごにしてやっていくというのは、これはむちゃくちゃなことになりませんか。重大な問題だというふうに思うのですね。
 私どもは、教育改革国民会議については、あくまでも懇談会ですから、懇談会というのは、昭和三十八年に行政管理庁から「審議会と懇談会の差異について」という文書があるでしょう。それによると、「国家行政組織法第八条にいう審議会といわゆる懇談会との差異は、審議会にあっては、合議機関そのものの意思が公の権威をもって表示されますのに反して、いわゆる懇談会にあっては合議機関としての意思が表明されることなく、出席者の意見が表明されるにとどまるところにあります。したがいまして、懇談会は、出席者の意見の表明又は意見の交換の場であるにすぎないのであります」とちゃんと書いていますよ。
 そういう懇談会でいろいろ議論されましたということを持ってきて、中教審で慎重に議論を重ねて結論を導き出したことをひっくり返すということは、それこそできないはずですよ。それだったら、もう私的懇談会がすべて先にありきです。そういうことをやっていいのですか。私は、到底この委員会としてそれは認めるわけにいかないと思うのですけれども。はっきりしてください。(発言する者あり)

○高市委員長 御静粛にお願いいたします。

○遠山国務大臣 まず、手続の点でございますけれども、中教審の二回にわたる答申を得まして、将来方向としては、分野を特定しないで飛び入学を考えていくということについて検討することについてのサジェスチョンをいただいたわけです。
 そして、今、懇談会とおっしゃいましたが、それは、単にそれぞれの行政官庁の局長クラスなりあるいは課長クラスが主宰するような懇談会ではございません。教育改革国民会議は、総理のもとで開かれた、極めて日本の英知を代表する方々による懇談会でございます。したがいまして、その懇談会についての性格論も、ややそれについては当たらないと私どもは考えております。
 また、最終的な判断につきましては、国民の現在の教育状況に対するいろいろな意見あるいは国民会議の御意見、そして中教審が示された将来方向についての方向づけ、それらを勘案した上で今何をすべきかということで判断をして、行政府として今回の法律案をまとめ、そして立法府であるこの国会に御議論をお願いしているということでありまして、私どもはそれが、全く覆すとか、あるいは全く根拠がないとかというふうな御批判には当たらないというふうに考えております。

○石井(郁)委員 分野の拡大というのは、「将来的に」ということが盛り込まれたということをもってしてこれができるという大臣の御答弁かと私は思いますが、百歩譲ってそうであったとしても、分野の拡大ですよ。今度は、進む大学自身だって拡大しているわけでしょう。中教審のどこにもそこまでの話はなかったじゃないですか。どこにもないと思いますよ。
 物理と数学ということに限っていたけれどもそれは拡大という話になったかもしれないけれども、要件をすべて撤廃して、四年大学にも、短大にも、専修学校にもというところまではなかったはずですよ。ですから、特にすぐれた者というその定義の中身も非常にあいまいです。非常に幅があるという中で出されてきているわけですから、ここは本当にはっきりさせていただかなくちゃいけないというふうに私は思います。
 時間がありませんので少し進めますけれども、実際にこういう、飛び入学ということでこれほど拡大をさせて、いわば定義もあいまいに進めますと、高校教育に対する影響というのははかり知れないというふうに私は思います。
 これも、昨日でしたか、影響はそれほどないというような御認識を出されたと思いますけれども、これから十八歳年齢の減少が始まるでしょう。大学、短大、いわば生き残りをかけての青田買いが始まるんじゃないですか。そういうことを推進しかねないということだと思います。
 だから、高校教育が大変混乱を受ける。そして、二年で大学、短大へ進めるということになるわけですから、やはり高校教育三年というこの高校教育が崩されることにもなるのですよ。事実上、現在の三年制の高校教育がやはり崩されかねない、崩されていくという点でも非常に大きな影響を持つ内容だというふうに私は指摘をしたいと思います。
 これほどたくさんの中身を抱えていて、しかも、あいまいな御答弁です。全然私は納得がいきません。拙速は避けるべきであります。この飛び入学の分野についても撤回をする、法案としてこんなむちゃくちゃなことを出さない、撤回をして中教審で十分納得いくまでやはり議論すべきです。文部科学省はやはりそういう道を歩むべきですよ。どうですか。
 審議会の上に懇談会がある。この懇談会についても、大臣はいろいろおっしゃいますけれども、本当に評価は分かれるところです。だから、これまでの国会での答弁の逸脱にならないようにしていただきたい。重ねて、いかがですか。

○遠山国務大臣 高校教育への影響があるようなことになれば、これは大変ゆゆしき問題だと思います。しかし、それをさせないために、飛び入学については、これまでかなり厳格な条件を課してまいりましたものを、より弾力的に実施することとはしますけれども、高校卒業後に大学に進学するという原則、あるいは飛び入学は、特にすぐれた資質を有する者を対象とする、学校教育体系上、例外的な制度であるという従来の位置づけが揺らぐものではございません。
 今回の飛び入学制度は、多くの生徒が受験対策をしたり、あるいは一般の試験で競ったりというものではありませんで、るる御説明しましたとおりでありますが、また大学側の都合による学生集めに利するというようなものではないわけであります。
 これは、千葉大学におきます経験からいたしましても、大学側のしっかりした受け入れ体制、そして高校側との密接な連携というものが確保されれば問題はないと考えておりまして、そのことを確保するためのいろいろな措置を私どもとしても考えているところでございます。

○石井(郁)委員 次に、指導力不足教員の問題で、残る時間、一、二問だけ質問させていただきます。
 先般来、私は、文部科学省が委嘱をしている新しい教員の人事管理のあり方に関する調査研究、ぜひこの報告の提出をと求めてまいりましたところ、報告書を出していただきました。大阪、京都、埼玉、神奈川、高知、北九州なんですね。こういう形でいただきましたので、もし、いろいろ委員の皆さんも関心があればごらんいただきたいと思うのですけれども、これを見まして、今進めている国会の審議と実際とが随分違う内容になっているという点で、やはりぜひ質問をしなければならないと思っているわけです。
 一例ですけれども、指導力不足教員と疾病、精神疾患とは切り離すべきだと私どもの児玉議員が質問いたしまして、文部科学大臣も、指摘のとおりとお答えになりました。精神疾患である教員については、医療的観点に基づいた措置が講じられるべきで、今回の措置の対象とはならないということでございましたね。
 ところが、この報告書を見ますと、児玉議員は大阪、神奈川の二例について申し上げたのですけれども、資料をいただきますと、北九州でもあります。疾病等により指導力が欠けるということで、指導力不足教員の範疇に疾病を加えています。高知県でもそうです。京都も精神疾患を背景に挙げています。埼玉だけが、病気等以外の理由で児童生徒を適切に指導できないためというのを切り離しています。
 だから、六府県・政令市のうち、五府県で指導力不足教員の範疇に疾病を加えているわけですね。これは、大臣の答弁と実際が余りにも違うのじゃありませんか。これはいかがですか。

○遠山国務大臣 それは、各都道府県の調査の段階ではいろいろな表現を用いて調査をしていると思います。指導力不足、そういう名前を用いたり、いろいろな名前を用いておりますが、とにかく、どのような教員に今後指導や研修をし、人事上の措置を講ずるべきかという観点から調査をしているわけでありますので、いろいろな立場の人が入ってくるわけでありますが、それが仮に精神疾患である教員につきましては、先般御答弁したのと同じように、医療的観点に基づいた措置が講じられるべきものであって、今回の措置の対象にはならないということは、そのとおりであります。
 したがいまして、この法律案におきましても、指導が不適切であることなどの要件に該当するものであっても、心身の故障については、分限免職あるいは休職で対応すべきものであると考えておりますので、対象から除くということであります。
 今のお話、つまり、本法案における指導が不適切であるとは別個の概念として調査の対象として含まれたということでありますので、対応についてはこの前の答弁と同じであります。

○石井(郁)委員 時間が参りました。この問題は大変重大でございますので、私は引き続いて質問をさせていただくわけですけれども、本当に、こういう形での人事管理のあり方、不適切ということが各県でばらばらに行われているという問題は見過ごすことはできません。そして今、実際に教師の間には病気、疾病が大変広がっているということは、これは六月四日、読売新聞が大きく報道しています。
 だから、そういう問題で、不適切だから排除するということじゃなくて、文部科学省がやるべきことは、なぜこんなに心を病んだりあるいは病気になったりする教師がふえるのか、ここをやはり見なければいけないわけでしょう。その議論こそ大事だというふうに私は思いますし、そのためにきちんとした行政の役割を発揮するということかというふうに思いますので、また引き続いて質問させていただきます。
 以上で終わります。

 
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