151-衆-文部科学委員会-13号 2001年05月30日
平成十三年五月三十日(水曜日)
午前十時一分開議
出席委員
委員長 高市 早苗君
理事 斉藤斗志二君 理事 鈴木 恒夫君
理事 田野瀬良太郎君 理事 高橋 一郎君
理事 平野 博文君 理事 藤村 修君
理事 西 博義君 理事 都築 譲君
小渕 優子君 岡下 信子君
河村 建夫君 砂田 圭佑君
谷垣 禎一君 谷田 武彦君
谷本 龍哉君 西川 京子君
馳 浩君 林 省之介君
増田 敏男君 松野 博一君
水野 賢一君 森岡 正宏君
大石 尚子君 鎌田さゆり君
葉山 峻君 肥田美代子君
牧 義夫君 松沢 成文君
山口 壯君 山谷えり子君
山元 勉君 池坊 保子君
斉藤 鉄夫君 武山百合子君
石井 郁子君 児玉 健次君
中西 績介君 山内 惠子君
松浪健四郎君
…………………………………
文部科学大臣 遠山 敦子君
文部科学副大臣 岸田 文雄君
文部科学大臣政務官 池坊 保子君
政府参考人 (文部科学省大臣官房長) 結城 章夫君
政府参考人 (文部科学省生涯学習政策局長)近藤 信司君
政府参考人 (文部科学省初等中等教育局長)矢野 重典君
政府参考人 (文部科学省高等教育局長) 工藤 智規君
文部科学委員会専門員 高橋 徳光君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)
学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出第七一号)
社会教育法の一部を改正する法律案(内閣提出第七二号)
――――◇―――――
○高市委員長 石井郁子君。
○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子です。
審議入りしました三つの法案ですけれども、教育改革国民会議の報告を受けてのものであります。首相の一私的諮問機関からの報告でありまして、いわゆる個々の委員の意見を聞くにすぎない懇談会の報告だというふうに思うのですね。こういう報告がなぜ法律化されたのでしょうか、その理由をちょっとお聞きしたいと思います。
○遠山国務大臣 教育改革国民会議は内閣総理大臣のもとに設けられた懇談会でございまして、すぐれた英知を集めて、教育の根本にさかのぼって幅広く議論が行われたと承知しております。そして、昨年の十二月、その最終報告が提出されたところでございます。
文部科学省といたしましては、この報告を踏まえまして、ことし一月二十五日、今後取り組むべき教育改革の全体像を示す二十一世紀教育新生プランを策定いたしました。これは、教育に対する国民の皆様の信頼にこたえるためには迅速な改革の実行が不可欠という考えに立ちまして、この新生プランを踏まえて、特に緊急に対応すべき事柄について教育改革関連法案として今国会に提出したところでございます。
○石井(郁)委員 迅速というふうに言われましたけれども、私は、迅速ではなくて拙速だと言わなければならないというふうに思うのですが、昨年の十二月二十二日に最終報告がございまして、今お話しのように、それが一月に入って、一月弱の間に文部省として新生プランにまとめられたということなんですね。なぜ、公的審議機関である中央教育審議会にかけるなどして慎重な検討をしなかったのか、これはいかがでございますか。
○遠山国務大臣 今のお尋ねでございますけれども、提言のありました中で専門的にさらなる検討が必要と判断される事項につきましては、去る四月十一日、文部科学大臣の諮問機関である中央教育審議会に諮問を行ったところでございます。
我が省といたしましては、今後とも、教育基本法の見直しを初めさまざまな角度から専門的な検討が必要な事項につきましては、審議会での検討を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。
○石井(郁)委員 今回の三法案は懇談会の報告を受けて法案化されたということですから、審議会を経ていないというふうに言っていいと思うのですね。私はやはり、今後どうなるかということもございますけれども、このやり方ですと審議会の形骸化が進む、審議会がいいかどうかという議論も別途あるわけですけれども、しかし、公的な機関を経ずしてこういう形でどんどん進められるというのは、懇談会政治というものを助長することになりはしないかという点で非常に問題があると考えますが、いかがでございますか。
○遠山国務大臣 今回のよって立つ基盤は、内閣総理大臣のもとに置かれた極めて重要な懇談会の提言をベースにいたしております。同時に、中央教育審議会は、文部科学大臣の諮問機関として、教育の振興でありますとか生涯学習の振興、スポーツの振興に関する重要事項を調査審議する審議会でありまして、その審議に付すべきことにつきましては、大臣の責任において適切に判断してまいりたいと考えております。
○石井(郁)委員 私は、教育改革国民会議の報告、十七の提言というふうにまとめられていますが、それについて本当はゆっくり議論をしたいという気持ちはございますけれども、もう法案の審議に入っていますので、残念ながらその時間を割愛しなければなりません。
しかし、今大臣は重要な提言をいただいたというふうにおっしゃいましたけれども、国民会議の報告については、国民の中、各界からかなり厳しい批判が出ていると思うのです。これはもう文部省は承知のことだと思うのですけれども。ある学者はこの報告を独善と愚策だ、こういう言い方もしているところです。
国民会議の報告は、このままでは社会が立ち行かなくなる危機だという認識でその提言をしたと言われるのですけれども、その危機はどういう危機なのか、その客観的なデータだとかが示されて議論された風というのはないのですよね。だから、それぞれの教育論は述べられたかもしれないけれども、非常に客観性、公平性を欠く報告だというふうに私は思うのです。
そういう報告を、文部省が金科玉条のごとくレインボープランにまとめる。さらに今度は、パンフレットにもしてそれを国民にも訴える。そして今、この法案の審議にも入っていくわけでしょう。こういう教育改革を一大国民運動として展開していきたいということなんですよね。今までこんなことはあったでしょうか。こうした国民運動を呼びかけるというこんな教育行政のあり方というのは、私は、文部行政というか、教育行政のあり方を逸脱するものではないかというふうに思っているのです。
教育基本法十条を出すまでもなく、教育は不当な支配に服することなく行われなければいけないということですが、これから審議されます三法案は、今日の教育危機をさらに深めるものだ、競争教育、管理教育を一層強めるものだという点で非常に重大な内容を含んでいるということを、私はまず最初に指摘させていただきたいというふうに思います。
きょうはまず、地教行法の第五十条、高校の通学区域指定削除の問題でお尋ねをしたいというふうに思います。
私、ここに高校の受験案内を持ってきました。これは書店にたくさん積まれているものですけれども、これを見ますと、本当に一点刻みで高校が序列化されている。表もグラフもたくさんありますから。これまで文部科学省などは偏差値はなくしたとか言われるけれども、偏差値は立派にあって、内申もあって、見事に高校が序列化されているでしょう。これはもう冷厳な事実だというふうに思うんですね。だから、このようにして、今どういうふうに高校入試でふるい分けるかというのが現実だというふうに思うんですね。
このことに対して子供たちはどう言っているでしょうか。中学三年生の子供の声ですけれども、もう入試までは我慢の連続だと。ああしたら、こうしたら、ああしなきゃ推薦はもらえない。毎日、何か縛りつけられるような気がしている。勉強しなさい、服はきちっとしなさい、ルーズソックスはだめです、いろいろいろいろ、だめだめだめということで、毎日がこんなのでは何もかも嫌になってしまうという声なんですね。
私はまず文部科学省に伺いたいのは、今の子供たちが置かれているこの厳しい受験競争の実態、これをどう認識していらっしゃるかという問題と、こういう現実から子供たちを解放するというか、競争教育から子供を解放するというのが、文部科学省の、行政としての今取り組むべきことではないのかというふうに思いますが、そういう認識はおありかどうか伺います。――ちょっと、済みません、これは大臣に聞いているんですよ。
○高市委員長 石井委員に申し上げます。
質問のときに大臣にとおっしゃっていただいたら大臣を指名いたしますので。よろしくお願いいたします。
○石井(郁)委員 はい。これはもう基本認識ですから大臣にお願いします。
○高市委員長 それでは大臣にお答えいただきます。
遠山大臣。
○遠山国務大臣 高校進学についての競争が行われているという事実もございましょう。学校段階を上がるに従って自分に適した学校を選んでいくというのも非常に大事なことでございまして、私は、若いときにある程度の競争なり努力なりというのは非常に大事だと思っております。
それが過度にわたる場合、これはまことに危惧すべき問題であろうかと思います。ただ、すべて競争もなく希望のところにというようなことは、それは本当に教育的な意味もあるのかというようなこと、これは個人的な考えでございますが。
したがいまして、今日の高校をめぐる問題について、いろいろな問題があろうと思いますけれども、過度にわたらない、本当の一人一人の能力を伸ばすような競争というものは健全に行われるようなことがもちろんふさわしい、あるいは望ましいことであろうと考えます。
○石井(郁)委員 私は、大臣のそのような御認識では、本当に日本の子供たちの状態はどうなるのだろうかという心配をするんですけれども、先の方へ進みます。
第五十条の通学区の規定の廃止ですけれども、これは全県一学区ということを可能とするものでしょうか。これは局長で結構です。
○矢野政府参考人 今回の改正は、第五十条を削除いたしまして、公立学校の通学区域を設定するか否か、またどのように設定するかについて、各教育委員会にその判断をゆだねることとするものでございます。
したがいまして、今後は、先ほど委員御指摘ございました全県一学区を設定することも含めまして、どのように通学区域を設定するかは、それぞれの教育委員会の判断によることとなるものでございます。
○石井(郁)委員 私が先ほど、冒頭申し上げましたのは、やはり今日の高校受験競争の激化というのは学区の拡大とともに進んでいるんですよね。だから、そういう受験競争、これほどの過酷な競争をなくしていこうと考えたら、この学区制、小さくするのではなくてさらに拡大をする、今の答弁のように一学区制も可能だということですから、そういう方向に法改正を行うというのは、私は、子供の願いに逆行しているというふうに言わざるを得ないわけです。
それでは、通学区域の指定というこの五十条は、そもそもどういう理由で設けられたんでしょうか。本当は大臣にお聞きをしたいところですけれども、それでは局長でも結構です。
○矢野政府参考人 この規定が設けられた当時、通学区域を設定することの目的は、高等学校教育の普及と機会均等を図る、そういう意味合いでこの通学区域を設ける規定が設けられたものと理解しております。
○石井(郁)委員 ちょっと矢野さん、いつも局長答弁では重要なところを抜かされるんですよ、私はいかがかと思うんですが。
これは、一九五二年、文部省の解説で、都道府県教育委員会に対して出していますね。学区制の意義として四点挙げているんじゃないですか。一つは高校教育の機会の均等、今おっしゃったけれども。それから高校の地域化。それから入学競争の弊害排除ですよ。それから高校教育の普及。入学競争の弊害を排除するということをやはりちゃんとうたっている。このことは抜きにできないというふうに思うんですね。
あなたは都合の悪いところは除いて答弁される。そういう文部省の態度というのは、私は本当にいかがかと思います。
それでは、これは大臣に伺いますけれども、一九五二年当時の教育委員会法ですね、五十四条でそのようにあるわけですけれども、それがその後、地教行法に変わりました。私は、これは廃止すべきではなかったというふうに思いますけれども、この教育委員会法五十四条の趣旨は、今度、今の地教行法の五十条の学区指定になってどうなったのか。一体その趣旨は変わったんでしょうか。どうですか。
そこで、大臣にも早速伺いますけれども、木田宏さん、遠山文部科学大臣は大先輩として当然御存じと思いますけれども、この地教行法をつくった立て役者の方なんですね。この方の「逐条解説地方教育行政の組織及び運営に関する法律」という本を読みますと、「本条の規定」、だから今の五十条の規定は、旧法五十四条の規定とその趣旨において全く同じだというふうに述べられているんですね。
じゃ、この条文の目的、今の四点、教育の機会均等、高校の地域化、入学競争の弊害排除、高校教育の普及という目的は達成できたんでしょうか。これは大臣に、ぜひお答えください。
○遠山国務大臣 高校教育の普及とそれから機会均等を図るという通学区域の意味は、今日においては制定当初と違って薄れてきているものと考えております。他方、高等学校教育におきましては、生徒の多様化が進みます中で、多様な選択の機会を確保することが重要でございます。
このような観点から、このたびの改正によりまして、各教育委員会において通学区域のあり方や意義について見直しが進められていくのではないかと考えております。
○石井(郁)委員 高校教育の普及という点ではかなり達成をしてきている、そして多様化が進んだと言われますけれども、それも文部行政が推進をしてきたところですよね。そして、そういう今の状況がつくられているわけですけれども。
しかし、高校教育の機会の均等とか高校の地域化とか入学競争の弊害排除というのは、やはりいまだ残されているというか、課題じゃないでしょうか。しかも、一層競争が激しくなっている。これに学区の問題が絡んでいるということなわけですね。
そこで、ちょっと具体的に伺いますけれども、学区ですけれども、一九五五年当時どうだったのか。それは今、四十数年ですけれども、今日どうなっているのか。
ちょっと県の名前を出しますけれども、秋田とか茨城、愛知、三重、愛媛、香川、これは私たちにもわかっているものですから、学区の数あるいは全国平均の学区数、文部科学省、つかんでいらしたらお示しください。
○矢野政府参考人 昭和三十年のときと四十年後の一九九五年の比較でございますが、秋田県が、昭和三十年には十二学区でございましたが、これが三学区、茨城が八学区が五学区へ、また愛知が四十三学区が二学区へ、三重が十七学区が三学区へ、香川が十四学区が二学区へ、また愛媛が三十一学区が三学区へとそれぞれ減少いたしているところでございまして、これを全国平均で見ますと、一九五五年が二十・五学区でございますが、一九九五年では十一・六学区へ少なくなっている、こういう状況にございます。
○石井(郁)委員 今の数字のとおりでありまして、小学区が、学区が拡大をする。これは愛知では二学区ですよね、香川でもそういう状況なんです。だから、学区制が大変大きく変わってきたということだというふうに思うんですね。
一九五五年当時というのは、高校は小学区制で総合制で男女共学だったわけですけれども、それを高校三原則として進めてきたわけですが、進めてきたというかその当時はそうだったんですが、今日では大学区となっているということです。都道府県、地方によっては、小中大いろいろまだ残っているところはありますけれども、やはり非常に大学区制に変わってきた。そういう中で、偏差値あるいは内申で一点ごとの序列化になっている。もうずっとこの間言われているのは、高校の受験、高校のランクというのはスライスハムのようだという有名な言葉がありますけれども、本当にその一点を目指しての厳しい受験競争が行われているのが現実だというふうに思うんです。
さて、そこで、やはりこういう状況が、国連子どもの権利委員会からも大変厳しい指摘をされ、勧告を招くということになっているわけです。国連から寄せられている日本政府に対するこの勧告、高度に競争的な教育制度の改革や過度なストレスと不登校の防止についてどう闘っているのかという問題がありますよね。
ちょっと読みますと、「貴国における高度に競争的な教育制度及びそれが子供の身体的健康に与えている否定的な影響にかんがみ、条約第三条、第六条、第十二条、第二十九条及び三十一条に照らし、過度なストレス及び不登校、登校拒否を防止し、かつ、それと闘うための適切な措置をとるよう貴国に勧告する」ということがございますけれども、今回のこの通学区規定の廃止というのは、この勧告に沿うものなんですか。沿うと思っていらっしゃるのでしょうか。それは明確にちょっと御答弁いただきたいと思います。大臣にお願いします。
○遠山国務大臣 児童の権利に関する委員会での指摘と今回の改正との関係でございますね。
今回の通学区域にかかわる改正によって受験競争の激化を招くことがあってはならないということは言えると思います。その意味で、高等学校入学者選抜のあり方は大変重要な意味があるわけでございます。
高等学校の入学者選抜につきましては、選抜方法の多様化と評価尺度の多元化の観点から、工夫改善について指導してまいったところであります。文部科学省としましては、各都道府県に対し、今後とも一層の高等学校入学者選抜の多様化等に努めていただくよう指導してまいりたいと考えております。
かつて一九五〇年代の高校進学者のリスト、現在は大変さま変わりでございまして、生徒の実態が大変多様化している。そんな中で、各都道府県においてはそういった実態を踏まえながら受験競争が激化することのないよう適切な対応がなされることを期待しているところであります。
○石井(郁)委員 重ねて伺いますが、入試の方法を改善すれば受験は緩和するというふうな御答弁ですか。
それから、最後に、いろいろ受験競争の激化を招かないように期待するということですが、それは期待をするんじゃなくて、文部省は今どうされるのかということをお伺いしているわけでして、再度、この学区規定の廃止は本当に、今国際的にも日本の教育が厳しい指摘を受けているわけですから、この勧告に合致するんですか、しないんですか。はっきりお答えいただきたいと思います。
○遠山国務大臣 今回の改正といいますものは地方分権を一層進める観点に立っておりまして、通学区域の設定について、地域の実情を踏まえて各教育委員会の判断にゆだねるということでございます。ですから、通学区域の廃止でありますとか、あるいは通学区域はどうあるべきかということを示すことを意図しておりません。したがいまして、それぞれの教育委員会においてみずから判断をして、その地域の実情あるいは生徒の実態に応じて十分に判断していただきたいということでございます。
ここのところ、ちょっと誤解が生じているのかと思いますけれども、そういう趣旨でございます。
○石井(郁)委員 思春期にこれほど過酷な受験競争がある国、そして子供たちをそれに巻き込んでいる国は日本しかないんですよね。だからこそ、国連が厳しい勧告をしているんですよ。そういう状態を文部科学省がつくり出してきているわけですから、やはりその文部科学省の責任を私はまず問いたいというふうに思うんですね。今、都道府県の判断に任せますとか、それは先の話でございまして、そこら辺を文部科学省として、きちんと現実を見る、そしてその是正に取り組む、この競争教育の是正に取り組むという姿勢があるのかないのか、そこを私はお尋ねしたかったわけです。
そして、この競争教育から解放するためにも、やはり小学区制にして希望する子供たちは高校に、今入れるし、受け入れる条件があるわけですから、そうしてこそ本当に手厚い教育ができるというふうに私は考えます。改革というんだったら、私はそういう改革こそ子供のための本当の改革だということを申し上げて、この質問、きょうのところはここまでにしておきたいというふうに思います。
もう一点中身に入りたいのは、指導力不足教員の問題なんですね。同意なしに配置転換できるということに道を開くわけですけれども、この問題でございます。
まず、今回の地教行法の対象とするこの指導力不足教員と、地方公務員法に定める「その職に必要な適格性を欠く場合」といういわゆる不適格教員、その違いはどこなんでしょうか。
実は私は大阪なものですから、大阪府でもこういう問題の取り組みがありまして、教職員の資質向上に関する検討委員会の資料を見ますと、指導力不足に挙げられているのが三項目あります。専門性、社会性等の欠如が見られる者、二つ目、勤務態度、服務上の問題のある者、それから三つ目、疾病等により指導力が発揮できない者としているんですけれども、では適格性を欠く教員はというと、同じく三項目なんですね。同じ項目で、それぞれに著しい欠如が見られる者と、著しいということになっているわけですよ。
では、この違いというのは何なのか、著しいが入っているかどうかしかない、内容的にはないのかということなんですね。文部科学省もそういう判断をしているのでしょうか。そこをお聞かせください。これは大臣にお尋ねします。――ちょっと、重大な問題ですから、大臣に。
○高市委員長 副大臣でよろしいですか。(石井(郁)委員「では」と呼ぶ)
岸田副大臣。
○岸田副大臣 今先生の方から、大阪の教育委員会において、何らかの問題があると思われる教員の話、そして著しく問題がある教員の話の御指摘がありました。
その資料を取り寄せてみまして、著しく問題がある教員〇・三%程度というその数字を公表したわけでありますけれども、これは、中身を聞きますと、教育指導等で著しく問題がある者、品行面で著しく問題がある者、あるいは職務権限違反など職務規律の面で著しく問題がある者ということを全部含めております。要は、懲戒処分に該当する者もこの数字の中に入っているということでありますので、今回の対応とは、線引き、範囲は大分違っているということだけちょっと確認させていただきたいと思います。
○石井(郁)委員 それでは、指導力不足という定義はどのようにされるのでしょうか。それは文部科学省として持っていらっしゃいますか。
○矢野政府参考人 今回の法案で想定しております指導力不足の教員でございますけれども、指導が不適切な教員として対象となる者には、これはさまざまな場合があり得ると考えられるわけでございます。
具体的な例を申し上げますれば、一つには、教科に関する専門的知識、技術等が不足しているために学習指導を適切に行うことができないような場合、これは例えば、教える内容に誤りが多かったり、あるいは児童生徒の質問に正確に答え得ることができないようなケースが考えられるわけでございます。
また二つには、指導方法が不適切であるために学習指導を適切に行うことができないような場合でございまして、例えば、ほとんど授業内容を板書するだけで児童生徒の質問を受け付けないといったような、そういうケースが考えられるわけでございます。
三つ目には、児童生徒の心を理解する能力やあるいは意欲に欠け、学級経営や生徒指導を適切に行うことができないような場合でございまして、例えば、児童生徒の意見を全く聞かないで、対話もしない、あるいは児童生徒とコミュニケーションをとろうとしないようなケース、このような場合が、指導力不足の具体的なケースとして、その対象として考えられるところでございます。
○石井(郁)委員 今の御説明は、先ほど、前の委員の質問のところで大臣からも御答弁があったかとは思うのですが、これは、文部科学省の公式というか正式見解という形で何か文書としてあるのですか。
この問題は、何が指導力不足教員なのかという判断基準の問題ですから、それは国会審議の中で明らかにするということを以前文部科学省から御答弁をいただいたというふうに思うのですけれども、今お話しのような基準というか、それは文書としてお示しになりますか。
○矢野政府参考人 私どもといたしましては、この法律案が成立いたしました場合、都道府県教育委員会に対しまして、先ほど御説明申し上げましたような、指導が不適切であるとして対象になると考える具体例を施行通知等により示すことを検討してまいりたいと考えております。
○石井(郁)委員 私は、今伺って、この三つの基準という点でいうと、これは本当に大問題だなというふうに思っているのですね。この中身についての議論を本当にしたいという気が今いっぱいしています。
例えば、専門的知識や技術があるかどうかというときに、これは先ほど、大臣の御答弁だったのですけれども、専門的なことで答えられない教師だったら困るという例を出されました。それを聞いて私なんかは思うのですけれども、むしろ、教師は答えない方がいい場合だってある。子供の方がもっと知っている場合だってあるという関係はあるのですよ、教育には。だから、すべてについて教師が答えなければいけないということにはならないということだってあるでしょう。そうすると、その中身についての判断というのはとても難しい。本当に難しい。この運用というのは、こういう基準を決めたって難しい。
それから、描く教師像がそれぞれ違う、教育についての教育観も違う、子供観がいろいろかかわってくるということになりますと、こういう基準だけを出されて、それで指導力不足だなんてことになったら、これは大変な混乱が起こるだろうというふうに思うのですね。それは今後本格的に、ここできっちり国会として議論しなければいけないということを申し上げておきたいと思うのです。
少し先へ進んでおきます。
今回法改正が出ているわけですが、あなた方がお考えになる指導力不足と言われる教員というのはどのぐらいいるとお考えなんですか。
○矢野政府参考人 直接的なお答えにはならないわけでございますが、平成十一年度において、勤務実績不良や適格性欠如を理由として分限免職の処分を受けた者は十四名であるわけでございます。分限処分に至らない者を含めた、指導が不適切な教員の全体の実態は、事柄の性格上、私ども、把握していないわけでございます。
ただ、都道府県教育委員会によりましては、指導力不足教員をそれぞれの教育委員会で対象を定義いたしまして、該当する者の実態を調査しているところもあるわけでございます。
これは午前中の審議にも御紹介がございましたけれども、例えば大阪府教育委員会では、何らかの問題のある教員が約四%おり、その中でも、著しく問題のある教員が約〇・三%いる、そういうことを公表しているわけでございますが、私どもとしては、全国的な状況は把握いたしておりません。
○石井(郁)委員 全国的な状況を把握しない、各都道府県ではそういうふうにしているところもある、それでどのぐらいかはわからないという中で、なぜこれが必要だという判断がされるのかというのが一つありますね。その辺の実態の把握の仕方の問題というのはあるのですけれども、先ほどの、基準というのが極めてあいまい、本当に幅がある、どのようにも考えられる、また観点や教師像によっていろいろ違うというような中身なんですね。
先ほど、私は大阪の問題でちょっと取り上げました。大阪の指導力不足教員の例として、先ほど三つの項目が出されていますけれども、具体的にずっと挙げていきますと、自己を語れず、夢や希望を語れないだとか、授業中、自慢話や説教が延々と続く、そういうのは困るなと思うかもしれないけれども、ここだっていろいろな状況があるわけです、等々いろいろありまして、九十五項目なんですよ。九十五項目のチェックリストがあるということですね。
私どもがつかんだところでは、高知県の場合ですと、例えば、教科書が終わらない、話し方に抑揚がない、話し方のことまで言われると私たちはお互いに困るのじゃないかと思うのですけれども、授業が退屈だとか等々が出てきています。
それから、私が大変重大だと思ったのは、高知県には、家庭生活までチェックするリストが入っているのですね。家庭の不和があるのじゃないか、子育ての悩みを抱えているのじゃないかと。教師だって人間ですよ。家庭があって、子育てして、不登校、教師の家から不登校の子だって出ますよ。たくさんいます、私もよく知っています。こういうことがチェックの対象になるというのは、プライバシーの侵害も甚だしいし、教師の生活や人格を何だと思っているのかというふうに言わなきゃいけませんが、こういうことになっているのですよ。それを、ABCとランク分けするのですね。それでチェックをする。これは一体できるのかということです。
だから、指導力不足に名をかりた、まさに勤務評定だ、人格評定だということになるわけですが、それはいかがですか。大臣、御感想を聞かせてください。
○遠山国務大臣 何をもって不適切と言うかということについての基準は、おっしゃるように、私は明確にしないといけないと思います。その例として、先ほど来御説明をしているわけでございます。ただ、不適切という言葉から想定されるわけでございますので、法文上、具体的あるいは詳細に規定することは困難であるわけであります。
分限免職の要件につきましても、勤務成績がよくない場合、あるいはその職に必要な適格性を欠く場合などと規定されているところでありまして、これと比較しても、今回の改正が法文上特に不明瞭な規定ぶりになっているとは考えないところでございます。
今後は、しかしながら、その判断が公正に行われるように、本法が成立しました場合に、各都道府県教育委員会に対しまして、指導が不適切である場合として具体的に想定される例を施行通知等により示すことも検討してまいりたいと考えております。
○石井(郁)委員 今の議論のように、やはり判断の基準そして手続、これは極めてあいまいなんですね。まだもことしているという中で、これは法案が通ってからやるという話じゃないんですよ。こんなあいまいな形で通していいのかという問題があるわけですよ。
文部科学省が新しい教員の人事管理のあり方に関する調査研究をされていると思うのですね。三年計画で十六県、政令指定都市で行われている。ことしから全府県にこれを拡大しています。この調査研究をどのようにされているのか。三年計画はまだ結論が出ないと言うかもしれませんが、ここでも指導力不足教員の認定方法などが項目に入っているんですよ。これはぜひ、私は資料としてこの委員会にお出しいただきたい。各都道府県にどういう調査をされているのか、今どこまで進んでいるのか。やはりこれをお出しいただかないと、私は審議できないというふうに思います。それが第一点です。出なければ、法律を通すという前提の問題ですから、国会として到底責任を持てないということがあります。私は、これを強く要求します。
それから、時間がありませんので、もう一点申し上げたいのは、やはり指導力不足教員と精神疾患との混同をしてはいけないと思うのですね。
今、世の中全体がストレス社会で、企業社会でも、管理職の皆さんだってうつ病になったりいろいろ追い込まれたりするということがあって、若い人だって精神疾患にもなるという状況があるわけですけれども、学校現場も例外じゃないんですね。大変精神疾患の方がふえておられるわけです。こういう健康上の問題、一体文部科学省として勤務実態調査、健康調査というのを行っているでしょうか。それを御答弁いただきたいと思います。
○矢野政府参考人 教員が心身ともに健康を維持して児童生徒の教育に携わることは大変重大な課題であるわけでございます。このため、私どもといたしましては、会議や行事の見直し等の校務分掌の効率化を図ること、さらには、教員が気軽に周囲に相談したり情報交換できる職場環境をつくること、また、カウンセリング体制を整備する、その際、早期発見、早期治療に努めることといったようなことを指導いたしているところでございます。
それで……(「調査は」と呼ぶ者あり)後で申し上げます。
そこで、まずお尋ねの公立学校の教員の健康状況の把握でございますけれども、これは基本的には服務監督権者でございます教育委員会の権限と責任において適切に行われるべきものでございますことから、今後とも教員の心身の健康の保持、増進について都道府県教育委員会等に対して指導助言を行ってまいりたいと考えているところでございます。
なお、先ほどの調査の件でございますが、十二年度の調査はまだ調査報告が出てまいっておりません。したがって、私どもが承知している調査結果の概要的なものを整理したものならば、それを整理してお出しすることはできようかと存じます。
○石井(郁)委員 私は、やはり本当に文部科学省の態度は無責任だと思いますよ。肝心なことになったら、都道府県にお任せします、都道府県でおやりくださいと。今重大なのは、こういう法律を決めて、都道府県にこれを押しつける、押しつけるというか、執行していくわけでしょう。私が健康実態調査や勤務実態調査をぜひやるべきだと言ったのは、まさにそれに関係している中身になってくるからなんですね。
それから、指導力不足教員でいいますと、これは大阪でも、私はこれも許せないと思っているんですけれども、疾病等により……
○高市委員長 石井委員に申し上げます。質疑時間は終了いたしております。
○石井(郁)委員 はい。
疾病等によって指導力に著しい欠如が見られる、これさえ大きな項目の一つに入っているんですよ。
こういうことをどんどんとなし崩しにやっていいかどうかということがありますし、地方公務員の場合だったら、ちゃんと健康実態調査をしているんじゃないでしょうか。なぜ文部科学省は、これほど教員のいろいろな問題が起きているときにそういう実態調査をされないのか。これもやはり、こんな状態をつかまなくて、私は、この法律を通すことは絶対許せないというふうに思います。(発言する者あり)
資料の提出を強く要求したいと思います。
時間が参りましたので終わります。以上でございます。


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