5月23日 文部科学委員会
教科書問題について質問


151-衆-文部科学委員会-11号 2001年05月23日

平成十三年五月二十三日(水曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 高市 早苗君
   理事 斉藤斗志二君 理事 鈴木 恒夫君
  理事 田野瀬良太郎君 理事 高橋 一郎君
   理事 平野 博文君 理事 藤村  修君
   理事 西  博義君 理事 都築  譲君
      小渕 優子君    岡下 信子君
      河村 建夫君    杉山 憲夫君
      砂田 圭佑君    谷垣 禎一君
      谷田 武彦君    谷本 龍哉君
      馳   浩君    林 省之介君
      増田 敏男君    松野 博一君
      水野 賢一君    森岡 正宏君
      大石 尚子君    鎌田さゆり君
      葉山  峻君    肥田美代子君
      牧  義夫君    松沢 成文君
      山谷えり子君    山元  勉君
      池坊 保子君    斉藤 鉄夫君
      武山百合子君    石井 郁子君
      児玉 健次君    中西 績介君
      山内 惠子君    松浪健四郎君
    …………………………………
   文部科学大臣       遠山 敦子君
   文部科学副大臣      青山  丘君
   文部科学副大臣      岸田 文雄君
   文部科学大臣政務官    池坊 保子君
   政府参考人(人事院事務総局総務局総括審議官)   吉藤 正道君
   政府参考人(人事院事務総局人材局長)       藤原 恒夫君
   政府参考人(内閣府原子力安全委員会事務局長)   木阪 崇司君
   政府参考人(外務省総合外交政策局国際社会協力部長)高須 幸雄君
   政府参考人(外務省アジア大洋州局長)       槙田 邦彦君
   政府参考人(文部科学省大臣官房長) 結城 章夫君
   政府参考人(文部科学省大臣官房文教施設部長)   小田島 章君
   政府参考人(文部科学省生涯学習政策局長)     近藤 信司君
   政府参考人(文部科学省初等中等教育局長)     矢野 重典君
   政府参考人(文部科学省高等教育局長)       工藤 智規君
   政府参考人(文部科学省科学技術・学術政策局長)  大熊 健司君
   政府参考人(文部科学省研究振興局長)       遠藤 昭雄君
   政府参考人(文部科学省研究開発局長)       今村  努君
   政府参考人(文部科学省スポーツ・青少年局長)   遠藤純一郎君
   政府参考人(文化庁次長)      銭谷 眞美君
   政府参考人(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神保健福祉課長)松本 義幸君
   参考人(核燃料サイクル開発機構理事長)      都甲 泰正君
   参考人(核燃料サイクル開発機構理事)       笹谷  勇君
   参考人(核燃料サイクル開発機構理事)       清野 貫男君
   文部科学委員会専門員   高橋 徳光君
    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 文部科学行政の基本施策に関する件

     ――――◇―――――

○高市委員長 石井郁子君。

○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子です。
 私は、教科書の検定問題で伺います。
 扶桑社発行の中学歴史教科書については、検定調査審議会から百三十七カ所の修正意見がつきました。その修正意見に従いまして書き直したために検定合格となりました。しかし、その後、これは荒井信一茨城大学名誉教授、和田春樹東京大学名誉教授らによって、事実に関する誤りと問題点のみについて五十一点指摘されているわけであります。
 例えば、大日本帝国憲法をアジアで最初の近代憲法としている。しかし、これは、アジアで最初の近代憲法は、一八七六年にオスマントルコ帝国で公布されたミドハド憲法という指摘があるなど、こうしたたぐいで五十一カ所であります。私は、歴史教科書としては、これは余りにも恥ずかしいものだと言わなければならないと思うのですね。
 また、今問題になっているのは、韓国政府からのこの歴史教科書に二十五カ所の修正要求、そして中国政府から五月十六日には八カ所の修正要求ということでございます。だから、極めて重大な、外交問題にまで発展している教科書問題でありますけれども、検定された教科書を読んでみて、余りにもずさんだ、またそういう点では、検定のあり方そのものも疑われると言わなければならないと思うのです。
 この教科書では、太平洋戦争を大東亜戦争と呼ぶなど、侵略戦争と植民地支配の合理化で貫かれています。侵略と植民地支配を反省するというのが日本政府の立場であったはずでありまして、国際公約にも反するものだと言わなければなりません。憲法と教育基本法に反するこうした歴史教科書は、やはり政府の責任で合格措置を取り消すということが私は解決法だと思いますが、いかがでしょうか。

○岸田副大臣 今先生から御指摘いただきました歴史学者からの五十一カ所の修正につきましてはちょっと承知しておりませんので、それにつきましては具体的な答弁をちょっと差し控えさせていただきたいと存じます。
 この御指摘の歴史教科書の検定でありますけれども、近隣諸国条項も含めた検定基準に基づいて、教科用図書検定調査審議会の審議を経て適切に実施されたものというふうに認識しております。
 ですから、我が国の検定制度、教育の見地のみならず、言論の自由も含めたさまざまな見地から、守るべき大変大切な制度だと思っております。この制度のもとに適切に処理され、そして合格されたものだと思っておりますので、これを取り消すというようなことは現状では考えておりません。
 また、明確な事実の誤認というものがない限りは、これをまた修正等も考えていない、これが文部科学省のスタンスであるということをぜひ御理解いただきたいと存じます。

○石井(郁)委員 私は何かとても変だと思うのですね。この五十一カ所の事実に関する誤りと問題点を見ていないというのはどういうことですか。これは重大な問題ですよ。明確な事実に関する誤認があるわけでしょう。ないという前提で今御答弁されているのですけれども、あるのですよ。
 それで、もう私のきょうの持ち時間、本当に少ないので、やはり事実の誤りを多数含んでいる、これがこの教科書です。しかも、これは国内外からそういう意見が出されているのですよ。こういう教科書を子供たちに渡せないのは明白だと私は思うのですね。
 そういう点で、今近隣諸国条項に照らしても、これは再検討しなければいけない、合格取り消しだということがやはり解決の道だというふうに私は申し上げているわけでございますが、これは大臣、最後に御答弁いただいて、ちょっと次の問題がございますので、いかがですか。

○遠山国務大臣 日本の教科書検定制度はしっかりした制度のもとに行われております。また、その合格決定というのは厳密に厳正に行われていると思います。そこで合格されたものをどうして取り消す必要がありますでしょうか。副大臣がお答えしたとおりであります。

○石井(郁)委員 これは大変な問題だというふうに思っておりますので、今事実の問題を言っていますからね。それは事実をちゃんと直視してください。
 さて、そこで、私、きょうはこの短い時間で、大臣はもちろんこの教科書をお読みのことと思いますけれども、私も読んでみまして、到底これは日本の歴史教育の問題として看過できないということを多々感じているわけでございますが、その一つとして、女性の人権、人格について余りにも配慮がないのですよ。配慮を欠いているという点でちょっと具体的に指摘をしたいというふうに思います。
 それで、大臣、ちょっとこれをお読みください、この赤線のところです。
 この教科書の六十二ページなのですね。委員の皆さんには申しわけないのですけれども、ちょっとコピーは用意しませんでした。というのは、私は、これを読み上げるということは到底できないという点からでございます。
 さて、二行ほどですから、大臣、どのように思われますか。

○遠山国務大臣 今部分的に拝見いたしました。いろいろな感情はもちろん起こりますけれども、ただ、これは、本当にきちんとした、厳正な審査によって決定された、合格した教科書でございます。それについてコメントすることは差し控えます。

○石井(郁)委員 では、大臣にもう一つ伺いますが、大臣は、もし教師だといたしまして、中学校でしょう、このクラスには女生徒もいるのですね、この部分を生徒たちに読み上げることができますか。

○遠山国務大臣 教師の指導力を信じております。

○石井(郁)委員 あなたの御意見を聞いているのですよ。
 委員の先生方に申し上げませんけれども、これはアマテラスオオミカミが天の岩屋に入って、出てくるというその場面でございます。非常にどぎつく書かれているのですよね。だから、これは中学生にふさわしくない、教科書にふさわしくないというふうに思っているし、それからこれはセクシュアルハラスメントでないか、それに当たるのではないかというふうに思うのです。そういう意味で私は問題にしているのですね。
 セクシュアルハラスメントについては、文部省もセクシュアルハラスメントの防止等に関する規程の制定という文書を出していらっしゃいますよね。これは「職員が他の職員、学生等及び関係者を不快にさせる性的な言動並びに学生等及び関係者が職員を不快にさせる性的な言動」だと。私は、これは本当に子供にとってみたら不快になる、とても女の子はたまらない表現だというふうに思うんですよ。何でこういうことを教科書に書かなくちゃいけないのかということがあるわけでありまして、私はそういう点で問題にしているわけであります。女性の文部大臣でございますので、そういう点での非常に強い関心と、またいろいろお持ちかなということで伺いました。
 もう時間になってまいりますけれども、この点は、この教科書の中に実は随所に見られるんですね。そういうことで私は取り上げたいというふうに思っています。
 例えば、この徳川家斉、四十人のめかけを持って、五十五人の子供がいた。これは事実かもしれません、ここは。しかし、ただ単にこの事実、もうめかけなんという言葉が今の子供にどうなのかということがありますけれども、ただそういう事実だけ書くということもありますが、もう一つは、これは白表紙本のときにこういうことがあるんですね。明治憲法のもとで、国民は各種の権利が保障され、選挙で衆議院議員を選ぶことになったと書いていたんですよ。国民はでしょう。国民はという中には、しかし、この当時女性は入っていないじゃないですか。当然これは検定で修正されたということはあるんですが。
 事ほど、やはり女性というのが視野にないんじゃないか。女性の権利や人格というのが歴史的な中でどんなふうに扱われて、どんなふうに発展してきたのかという視点は、もうここの中には本当に見ることができないという点で、私は、その象徴的なこととして先ほどの六十二ページを取り上げました。
 さて、こういう教科書でございます。これが厳正な検定のもとで出てきたと言われたら、本当に、逆に検定制度そのものが大変問題だということになると思います。歴史の史実や真実を書かないで、事実をゆがめる教科書を持たされて困るのは子供たちです。こういう教科書で、二十一世紀に日本の子供たちが、アジア、世界の国々と本当に人権感覚、民主主義の感覚を持って対等にやっていけるんだろうかということで、いけるはずがないというふうに私は思います。
 こうした偏向教科書です。これは合格措置を取り消すべきだということを重ねて申し上げまして、もう時間が参りましたので、きょうはこの教科書の内容の一端だけ申し上げましたけれども、ぜひ教科書問題の集中審議を本当にお願いしたいということを委員長にお願い申し上げまして、質問を終わります。
 以上です。


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